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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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最近の’お礼’

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自分にできること(6)

何週もお休みして申し訳ないです!
PCが調子悪くなったり(今もご機嫌を窺いながらデス、はい)、突然の爆弾低気圧が降らせた大雪で除雪、除雪の日々から来る疲労に、妄想どころじゃなくてですね…
(こんな試練は勘弁してほしい!)

ようやく今夜は妄想に浸れる~ (やっほーい!)
よろしくお付き合いください!

拍手[6回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「御馳走様でした」

手を合わせてレオは軽く頭を下げると、シグトは、

「お粗末様でした。
 レオさん、お腹、ちゃんといっぱいになりましたか?」

と心配そうに顔を覗き込む。
レオはにっこりと笑ってから、すっかり満腹になったお腹に手をやって

「もちろんですよ。遠慮もせずにいただきました」

と答えた。

「それはよかった…」

心底ほっとするシグトに、

「温かい食事というだけで御馳走ですけど、シグトさんの料理はどれもほんとにおいしかったです。ありがとうございました」

と正直な感想を述べてレオが頭を下げると、

「いえいえいえ、とんでもないです!
 こんなもんでしか感謝の気持ちを伝えられなくて、ほんっと、申し訳ないっていうか…」

と慌てたシグトは手を振る。
そして、

「あ、あの、俺、片づけてくるんで、レオさんはちょっとゆっくりしててください!」

と言いながら、レオの食べ終わった食器を持って台所に下がっていった。

レオがいなくなってまたふたりきりになり、レオは、さてどうしたものか、となんとなく自分のお腹を撫でた。
夜食も食べずにいたレオを気遣ってか、たーくさん並べられて料理の数々を、空腹のせいもあってあれやこれやと口にしていたら、若干食べ過ぎてしまった。

  フッ

ふと笑い声が聞こえた気がして、レオは慌てて烈花を見た。
が、そこに笑顔はない。
ただ、ほんの少しだけその表情は柔らかいような気がした。

「シグトのやつ、加減を知らないようだ。
 無理して食うこともなかったんだぞ?」

チラリと横目で見られて、そう言われる。

「あー… いえ、無理などはしてないんですが、さすがにちょっと食べ過ぎました」

烈花に答えながら、空腹が満たされたせいか、足りなかった睡眠時間のせいか、急に覚えた眠気に、無理矢理あくびをかみ殺す。
その様子を見ていた烈花は、やおら立ち上がると

「シグトの片付けが終わるまでは、号竜の試運転もできない。
 その間、少し身体を横にして休めばいい。
 部屋の用意もしてあるから、案内するぞ?
 それとも、そこのソファで横になるか?」

と言った。
レオを気遣う言葉に、思わずレオはきょとんとして反応ができずにいた。

「…なんだ?」

ほんの少し眉間に皺を寄せた烈花が、訝し気に低めた声で問う。
それにハッとしたレオは、

「あなたにそんなこと言ってもらえることにちょっと驚いてしまって…
 あっ、いえっ、意外っていうか。その… ふ、深い意味はなくて、ですねっ」

としどろもどろで言い訳めいたことを言う。
すると、烈花は、はぁーっと溜め息をついて、

「さすがにオレも、血も涙もないような鬼ではないからな。
 尽力してくれたおまえに感謝もしているし、労(いた)わりの気持ちくらい当然ある。
 …で、どうする? 部屋へ行くか?」

と言った。
それを聞いて嬉しくて顔がニヤけそうになるレオ。
だが、ちょっと睨むようにこちらを見ている烈花に慌ててその顔を引き締める。

「いえ、ここで大丈夫! このソファーで十分です!」

「そうか…
 では、準備ができたら起こすから、気兼ねなく休んでくれ」

烈花はすぐに体の向きを変えると、ドアへと歩き出す。
ドアまでたどり着いた烈花がドアノブに手を掛け静かに開けると、その背に向かってレオは

「…ありがとう」

と礼を言った。
烈花はそれに左手を上げるだけで応じると、振り返ることなくドアを閉めて出て行った。

烈花を見送ったレオは、ふうっと身体から力を抜いた。
そして、大きなあくびをひとつ。

「お言葉に甘えて、少しだけ横になろう…」

そう呟くと、ソファに横になり、右を向いたり左を向いたりしながら落ち着く体勢を探すと、あっという間に眠りについた。





結局、レオが次に目を覚ましたのは、お天道様が一番高い位置から傾きかかった頃で、慌てまくったレオは、挨拶もそこそこに引き上げていった。
だが、もちろん、号竜の調子についてだけはしっかりシグトにヒアリングしていくのを忘れずに…

足早に去っていくレオの後ろ姿を見送りながら、シグトが

「なあ…」

と烈花に声をかける。

「なんだ?」

親しい間柄の気安さから、少しぶっきらぼうな返事をする烈花。

「レオさんとなんか話したのか?」

「は?」

シグトの質問の意図がわからず、怪訝な声になる。

「なんとなくなんだけどさ。レオさん、おまえになんか遠慮してるっていうか、思うところがあるっていうか…
 ちょっとなんかあんだろ?」

「…」

烈花は無言でシグトをじっと見る。
シグトはそれをスルーして、相変わらずレオの背中を見つめている。

「でも、なんだか、その ’わだかまり’っていうの? それがちょっとばかりなくなったみたいな、そんな感じに思えたんだよねぇ。さっきは…
 だから、なんか話でもしたのかなって思ってさ」

なんだ?
シグト、おまえ、オカンのくせして、なかなか鋭いじゃん。
ん? いや、オカンだから鋭いのか?
こどもの嘘やら隠しごとは、オカンには結構 ’筒抜け’ っていうからな。
いやいや、おまえはオレのオカンじゃないからなっ!
断じて、おまえから生まれたわけではないっ!

そんなことを思ったか思わないかはわからないが、烈花は苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。

そして…

「…別に」

とだけ言って、シグトを置いてさっさと ’あかどう’ に戻るべく歩き出した。

カツカツとヒールの音を響かせて歩きながら、烈花は思っていた。

(別に… 別に、ほんのちょっと見直しただけだ。
 あいつは、あいつにしかできないことを… あいつだからできることを、ただ一生懸命にやってるってことを。
 ただ、それだけだ)



シグトは、烈花の背中と、逆方向にもう見えなくなりそうなレオの背中をチラチラと見てから、天を仰いだ。

「さあってと…
 かえって夕飯の買い物にでも行きますか!」

大きく深呼吸をしてから、烈花を追いかけて走り出す。

「おーい、烈花!
 待ってくれよーっ」



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


自分のできることを粛々と実行する。
それって、selfish の中では ’冴島鋼牙’ の姿なんです。
で、その背中をレオは間近で見たと思うので、仕事に対する姿勢として受け継いでるんじゃないかなぁと思うわけです。

過去に、シグトの手から鋼牙を奪い返せずに烈花に「情けない」と言われていたレオですが、時を重ねて成長し、烈花もちょっとは見直してるんじゃないかなぁ、と。

最初は、いろいろ烈花とレオが会話をして認め合うような流れも考えてはいたんですが、烈花さんのあの性格です。
会話らしい会話、しなくてもいいかな、と思うようになっちゃいまして、こんなふうな妄想となりました。

長らくお待たせした割りには地味な結末かもしれませんね。
せめて、シグトの ’オカン’ ネタで、クスッと笑っていただけたらいいんですけど。


あっ!
決して、シグトの ’できること’ は料理だけ、ということではありません!
それだけはお間違えのないように~


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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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