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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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勝った! 帰ろう! いや、その前に…

すっかりなまけ癖がついてしまってすいません!
年も改まりまして、気持ちも改めないとと思っています。

あっ、新年あけましておめでとうございます!
今年も、ゆるゆるとお付き合いくださりませ。


拍手[4回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「メシアの牙」と称される太古のホラーが復活した。
ホラーを駆逐するために、人間を糧として作動するイデアを建造しようとしたシグマや、シグマが完成させたイデアでさえも取り込むことで、ギャノンは完全復活を遂げたのだった。
ギャノンの放つ波動は空気を震わせ、大地を揺らがせた。
シグマの野望を阻止しようと集まった魔戒騎士たちの間に、強い動揺が広がる。

そんな中にいて、レオは必死に考える。

(どうすればいいんだ! どうすれば…)

そしてひとつの解に行き当たる。

(そうだ、これなら…)

レオは魔導輪を使って鋼牙へと呼びかける。

「鋼牙さん、霊獣の波動です!
 強い霊獣の波動であのコアを破壊できます!」

霊獣の波動をギャノンにぶち込むことができれば、鋼牙たちにも勝機があるはずだ。

「魔導筆か…」

「光矢流星。かつて魔戒法師と魔戒騎士が協力して放った技だ」



鋼牙たちの元に集まったたくさんの魔戒騎士たち。
そして、真魔界の外側で、闘っている魔戒騎士たちに波動を送ることしかできない魔戒法師たち。
鎧の色も違えば、実力もバラバラな名もないような魔戒騎士も、直接ホラーを浄化させることのできない魔戒法師も、想いはひとつだ。

これまでいろいろあった複雑な気持ちも、ギャノン復活という最大級のピンチの前ではあっさりと凌駕される。

騎士も法師も同じなのだ。

ホラーを倒したい…
人を護りたい…



魔戒騎士たちが放った魔導筆の矢が、光の稜線を描いて一直線にギャノンへと降り注ぐ。
騎士の想いも、法師の願いもまっすぐに、まっすぐに…






ギャノンを倒した魔戒騎士たちは快哉(かいさい)を叫ぶ。

「やったのか?」

「おう! ギャノンを倒したんだ!」

「やった!」

「うおおおおっ」

だが、その後、魔戒騎士たちはちょっとした憂鬱に巻きこまれるのだった。
それは何か…




「おい、あっちは見たのか?」

「いや、まだだ。ここは俺が回収しておくから、おまえはあっちを頼む」

「わかった。おい、何人か一緒に来てくれ」

「おお!」

「いいか? 一本残らずすべて回収するんだぞ!」

「わかった、わかった! いいから、さっさと集めちまおうぜ」

ギャノンが大爆発を起こした地点を中心に、魔戒騎士たちが目を皿のようにして地面をきょろきょろと探していた。
そして、ここにも、あっ、あそこにも、と何かを拾い上げていた。
拾い上げたものはパパッと土ぼこりを払い、大事そうに懐に閉まっていく。

魔戒騎士たちが集めていたのは、魔導筆であった。
光矢流星で放たれた魔導筆は、そのほとんどが壊れることなく回収することができた。
だが、爆風のすさまじさのため、かなり広範囲に吹っ飛ばされていた。

ピンチを救ってくれた魔導筆は、魔戒騎士にとっての魔戒剣と同様に、魔戒法師にとってはとても大切なものだ。
多少壊れていても、汚れてしまっても、できるだけ持ち主に返してやりたいと思い、騎士たちは協力しあいながら回収を進めた。

そして、もう残ってはいないだろうというところまで探し尽くして、魔戒騎士たちは真魔界を後にした。



「なあ、おい」

「ん? なんだ?」

「集めたはいいけどよ。これ、持ち主はどうやって探すんだ?」

「げっ! ひとりずつ聞いてくのか? これおまえのか、ってさ」

「ええっ、そんなん今日中に返せんのかよ」

「だよな…」

「勘弁してくれよ。はやく帰りてぇ」

真魔界からの帰り道。そこかしこでそんな会話が繰り広げられ、魔戒騎士はげんなりした表情を見せるのだった。




真魔界から戻った魔戒騎士を、魔戒法師たちが迎え入れた。
お互いがお互いをねぎらいながら笑顔を交わしていると、ひときわ背の高い白いコートが人混みをスルリスルリと抜けてきた。

「邪美!」

背後から声を掛けられた邪美が、振り返りつつ友をねぎらった。

「鋼牙、お疲れさん」

鋼牙の背後から歩み出たレオも

「邪美さん、ご協力ありがとうございました」

と礼を言って頭を下げた。

「よしとくれよ。
 あたしたち魔戒法師は、自分たちができることをやったまでだよ」

すると、鋼牙が横から口をはさんだ。

「邪美、それなんだが…
 魔戒法師たちから借りた魔導筆を、どう返せばいいだろうか?
 中には壊れたものもあるにはあるんだが、手分けしてみんなでかき集めて持って帰っては来ているんだ。
 でも、数が数だけに、持ち主に返すにはどうしたものかと思って…」

「ん?
 なんだい、そんなことかい?」

邪美はなんてことなさげに言うと、辺りをぐるっと見渡してから声を張り上げた。

「みんな聞いてくれ!
 魔戒騎士たちに課したわたしたちの魔導筆を返してくれるそうだ」

そして、こんどは魔戒騎士へと呼びかける。

「魔戒騎士の方は、持ち帰った魔導筆を頭上に掲げてくれないかい?」

そう呼びかけられて、魔戒騎士たちは、こうか? と言った感じでゆるゆると魔導筆を持ち上げた。

「できるだけ高く頼むよ!
 そうでないと、怪我をするからね!」

邪美の声に、魔戒騎士は怪訝に思いながらも言われたとおり高く掲げた。
それを見て邪美は満足そうに微笑みながらうなずき、

「ノゴメ!(もどれ!)」

と唱えた。
すると、とある魔戒騎士が手にしていた魔導筆が、ひゅんと風を切って邪美の元に飛んできた。
パシッと小気味いい音が鳴って、邪美の手に魔導筆が収まった。

「ヒュ~」

零が口笛を吹く。

「そうか、その手があったか…」

鋼牙も感心したようにつぶやいた。

邪美に続いて、あちこちの魔戒法師が「ノゴメ!」と言い始める。
それを合図に、魔導筆が何10本、何100本と宙を飛ぶ。
そして、ものの数分で大部分の魔導筆が持ち主の手に戻ったのだった。




一方、カオル。

(え~っ、あたしの筆は魔導筆なんかじゃないからどうしよう…)

眉尻を下げて困り顔のカオルだったが、小さな声で言ってみることにした。

「ノゴメ…」

キョロキョロと辺りを見渡すが、当然のごとく、カオルの筆は飛んでこない。

(やっぱり、だめか…
 しょうがない。ひとりづつ聞いていくしかないかな)

そう思い、足を踏み出そうとしたそのとき

「カオル!」

と耳馴染みのある声が聞こえた。
そちらを振り返ると、やっぱり、鋼牙だった。

「鋼牙!」

足早に駆け寄り、じっと見つめるふたり。

「おかえり」

「ああ。ただいま」

そう言って、言葉もなく、お互いの表情だけで会話をする。
しばらく見つめあっていたが、カオルが、そうだ、と口を開く。

「あのね、あたしも筆を投げ入れたんだ。
 きっと誰かが持っているんだと思うけど、あたしは魔戒法師じゃないから叫んでも戻ってこなくて…
 どうしたらいいかな?」

それを聞いて、鋼牙は、懐から筆を1本出してカオルに差し出す。

「お前の筆はこれか?」

「そう、それ!」

「そうか」

鋼牙は筆をカオルに渡して、筆を持ったカオルの手を握ると引っ張ってふたりの間の距離を縮めた。

「助かった…」

「そう… よかった…」

カオルはふふっと笑って筆を見てから、鋼牙へと顔を向けた。
鋼牙の表情はとても柔らかかった。

「元老院に行かないと…」

少しだけ顔を曇らせて鋼牙は言った。

「そう」

「気をつけて帰れよ」

「うん」

「じゃあな」

「うん」

鋼牙は最後にするっとカオルの頬を撫でてから、

「頼んだぞ」

とそばに控えているゴンザに言うと、踵(きびす)を返して人並みの向こうに消えて行った。
鋼牙の姿が見えなくなってもしばらくは動かなかったカオルだったが、くるっとゴンザを振り返って

「帰ろうか!」

とにっこり笑った。




実は、ここだけの話で…
屋敷に戻ったカオルは、筆をテーブルの上に置いて、手をかざしながら

「ノゴメ!」

と言いながら筆の反応を確かめていたそうな…
残念ながら、ぴくっとも動かず、がっかりしていたらしい。



でも…
カオルの命令に対して筆は無反応だったかもしれなかったが、多分、鋼牙はどんな逆境であっても必ずカオルの元に戻ってくるだろうと思われる。
「ノゴメ!」の言葉がなかったとしても、ね!


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


ものすごい久しぶりに、公式様のスキマを妄想してみました。
MAKAISENKIのギャノンとの闘いあたりです。
大量の魔導筆は、あの大爆発で全部ダメになったのかな? というところから膨らませてみました。

ボランティアのごみ拾いのように、魔界騎士たちが魔導筆を回収している姿は、さぞや面白いでしょうね。
鋼牙さんも探しながら「魔導筆じゃない筆を見つけたら俺んとこ持ってきて!」と周囲に釘を刺してたんじゃないないでしょうか?
「えっ、あった? あああ、触るな、触るな。俺が拾うから!」
とかね? くすくす…




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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



hitori 様[07/08]
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