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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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冬ごもり大作戦(2)

間が空いてしまってすいません!
下書きもメモも何も残してなかいので、前回からの続き(とかオチとか)を覚えているか一抹の不安を覚えつつ…
今宵の妄想をお楽しみくださいませ。


拍手[2回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

のそのそとカオルは顔を出し、両手を布団の外に出した。
けれども動いたのはそこまでで、カオルは寝たままの体制で鋼牙を見上げている。

「えっ、ゴンザさんに聞いてない?
 あたし、今日は一日ベッドの中で過ごすって言っておいたんだけど…」

悪びれることなく、そう言うカオル。

「それは聞いている。
 だが食事くらいはちゃんと摂れ」

険しい顔を崩さない鋼牙に、ザルバも援護射撃をする。

『そうだぞ、カオル。
 人間は蛇やカエルじゃないんだから冬眠なんかできっこないんだ』

それを聞いてカオルは眉を曇らせて

「ああっ、ゴンザさんてば ’冬眠’ のことまでしゃべっちゃったんだぁ…」

と小さく呟く。
が、すぐに気を取り直して、ベッドの上で上半身を起こし、

「確かに人間は爬虫類じゃないけど、熊だって冬眠するじゃない。
 熊にできて人間にできないって決めつけなくてもいいんじゃない?
 別に一冬の間ずっとってわけじゃないんだし、一日、二日くらいならやってやれないことはないと思うんだけど」

と反論する。

「なにを無茶な…」

鋼牙は絶句する。

『待て待て、カオル。いいか、よく聞けよ?
 そもそも人間と熊とでは身体のつくりが違うんだ。
 一冬の間、冬眠する熊は代謝を下げられるようになっている』

「代謝って?」

『代謝っていうのは、口から摂取した食べ物を分解して身体に取り込むことだ。
 熊は食べ物を食べなくてもいいように、食べ物を必要としないようにエネルギーがセーブできるんだ』

「つまり… どういうこと?」

『つまりだな、例えば、体温が高いとそれだけエネルギーが必要となる。
 だから、熊は冬眠中は夏のときの体温より5~6℃くらい体温を下げられるらしい。
 体温を下げて代謝を抑えて、なんと心拍数まで1分間に14回くらいまで下がるといった調査結果がある。
 心拍数だけじゃないぜ。もちろん呼吸数もぐんと下がるな。

 ちなみに、熊の体温は37~38度、心拍数も55くらいが通常の状態らしいから、人間と似たようなもんだよな』

「えーっ、熊ってそんなことができるの?
 とてもじゃないけど、人間には無理だね」

『まあな。
 人間がもしも体温を2℃でも下げてみろ。代謝が下がるよりも免疫力が下がる方が問題だな。

 あぁ、そうそう、ガン細胞は35℃代の体温で活発になるんだってな!
 病気になっちまうぞ… っていうか、病気云々よりも歩行困難とか意識障害とか。悪くすりゃ凍死だな』

「なにそれ、こわっ…」

『病気も怖いが、カオルの場合は基礎代謝が下がるのも問題なんじゃないか?』

「基礎代謝?」

『ああ。
 基礎代謝ってのは、人が生命活動を維持するのに必要最低限なエネルギーのことだ。
 これが少ないということは、消費するエネルギーが低いということ。
 つまり、同じ量の食事をしたとして、基礎代謝の高い人よりも低い人のほうがエネルギーを消費できない分、太りやすいということだ』

「ちょっ、ちょっと待ってよ。それ困るっ!
 えっ、なんで? 冬眠したら痩せるんじゃないのっ?」

カオルは俄然、焦りだす。
それを見て、ザルバは何かに思い当たったようだ。

『はは~ん。
 まあ確かに、一冬の間、飲まず食わずで、80kgの熊が16kgくらいの脂肪を使うらしいけどな。
 人間は熊とは身体のつくりが違うんだ。
 人間にとって食事を取らないということは、一時的な体重減少は見込めるかもしれないが、たとえ1日や2日でも健康面に関してはかなりのリスクを背負うと思うぜ?』

ニヤニヤと意味ありげにそう言うザルバに、カオルは居心地悪そうに視線を揺らす。
その様子にようやくカオルの真意に思い当たった鋼牙が

「まさか… おまえ、ウェイトを気にして…」

と口にしかけると、カオルは慌てて遮るように声を張り上げる。

「ああ! ああ! そうだね!
 冬眠なんてしようと思ってもできないってこともわかったし、あと、冬眠してもいいことないってことは、よぉぉぉくわかったよ!
 うん、そうだね。冬眠なんてやめることにするから!
 さぁ~て、そうと決まれば起きるね! うん、起きよう!」

ベッドから飛び降りるようにして起き上がると、

「さあさあ、着替えるから!
 鋼牙たちは先に降りててね!」

と、鋼牙の背中をぐいぐい押して部屋の外へと向かわせた。
そして、

「すぐに着替えていくから、先に朝ごはん、食べてて!」

とにっこり笑って言うと、バタンと部屋のドアが閉められた。

「…」

『…』

しばしの無言の後、ザルバが呟く。

『…カオル、太ったんだな』

「…そうらしい」

鋼牙は、そう言うと溜息をついた。
それを見てザルバは笑う。

『クックック』

鋼牙はそんなザルバを見下ろしてから、ドアの前を離れて階下に向かった。




その日からカオルが ’冬眠’ することはなくなった。
ただし、階段を上るにせよ、廊下を歩くにせよ、よくわからない無駄な動きをするようになり(ザルバ曰く、基礎代謝をあげようとしているらしい)、食事の時間が長くなり(ザルバ曰く、よく噛むことで消化吸収を助け、代謝の低下を防いでいるらしい)といったような行動が見られるようになった。
そんなカオルを横目に、鋼牙とザルバとゴンザは、

(クリスマスと正月が来れば元の木阿弥なんだろうな)

と思っていることは彼女には内緒なのだった。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


冬になると「いろんなものがおいしい」し、「寒いから動きたくない」し、「冬眠したい!」と思いますよね?
まあね、selfish の場合、「おいしい」のは年がら年中で、「動きたくない」のも年がら年中なので、冬に限ったことではないのですが、ね?

今回、冬眠中の熊の生態を調べてみたのですが、ほんとに飲まず食わずなんですね!
しかも、出産までしちゃうとか!
いやあ、同じ哺乳類だけどいろいろ違っていて面白かったです。

あとね、体温上げとかなきゃ! 代謝も上げなきゃ! とも思いました。
多分、頑張るのは春からになりそうですけどねぇw


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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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