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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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冬ごもり大作戦(1)

更新が鈍すぎですね。すいません…
でも、やめよう、とも思っていないので、細々続けていくつもりですので!

ゆるゆると妄想は続くのです(きっと!)

拍手[2回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

11月某日。
北の大地が白いもので包まれるのもそう遠くはない時期であるが、朝、鋼牙が目覚めて窓の外を見ると、昨日と大して変わらない曇り空が広がっていて、いつものように一日が始まるものだと思っていた。
だが、朝食の席についたとき、ちょっとした変化があることに気付いて、ふと眉をひそめた。

「カオルは?」

目の前の、カオルの席には彼女の姿がない。
それだけではない。テーブルの上には朝食の用意もされていなかった。
湯気の出るポタージュスープをよそい、鋼牙の前に置こうとしていたゴンザが、一瞬手を止めたもののすぐに気を取り直してスープ皿を置いた。
そして、

「それが…」

と言って、少し困ったように眉を下げた。




ずんずんずんずん

カオルの部屋へと向かう鋼牙の足取りは少し荒っぽかった。
口を真一文字に引き結び、目つきもちょっぴり険しい。
頭の中では、ほんの少し前に聞いたゴンザの話を思い出してた。




朝食の席にいないカオルについて尋ねられたゴンザは、

「昨晩遅くにカオル様がおっしゃられたのです。明日は食事の用意は不要だと…」

話を聞いて鋼牙はその理由を想像した。

「朝早くから出かけたのか?」

だが、ゴンザは首を横に振った。

「いいえ、お部屋にいらっしゃいます」

「ん? では、これから出かけるということか?」

「いえいえ、今日は一日どこにも行かずお部屋にいると…」

「では、どこか身体の具合でも悪いのか?」

「そうではございません」

ゴンザの返事を聞いて、鋼牙は怪訝そうに首をかしげるしかなかった。
すると、そこへ

『どうせ、昨日の夜、遅くまで絵を描いていて、しばらく寝ていたいってことじゃないのか?』

と、ザルバがふたりの会話に入ってきた。
鋼牙はザルバに視線をちらっと向けたが、すぐにゴンザの顔を見た。

「うーん、そういうわけではないのですが…」

少々歯切れの悪いゴンザに、ザルバがいらいらする。

『じゃあ、どういうわけなんだ?』

ちっとも要領を得ない会話に、つい口調もきつくなったが、それでもゴンザは

「それが…」

と言いにくそうだ。
けれども、鋼牙もザルバもじっとゴンザを見つめて返事を待つものですから、ゴンザも呼吸を整えてから、要点を手短に言い放った。

「カオル様は、冬眠をするつもりだそうです!」

「…」

『…』

鋼牙の眉間の皺はより一層深くなり、ザルバは口がぽっかーんと開いたままになった。
数秒の無言の後、

『はあああああっ?』

かなりドスの効かせてザルバが問い返す。

『冬眠だって? どういうことなんだ!
 カオルは熊じゃないだろうが?
 ましてはヘビでもカエルでもないよな?
 それがどうして冬眠なんだ?

 あ、なに、あいつ、人間やめるつもり?
 まあ、ちょっと普通の人間とはかけ離れた思考をするところがあるにはあるが…
 いやぁ、それにしたって人間やめちゃだめだろう?
 待て待て、そもそもやめられないし!』

ザルバがひとりでマシンガンのように畳みかける。

「はあ… いえね、わたくしもお止めしたんですよ。
 飲まず食わずで一日中寝てるなんてできませんから、おやめください、と。
 でも、カオル様は『だ~いじょうぶだって!』とおっしゃって…」

ゴンザが、肩をすくめて困り顔だ。

『ったく、なに根拠のないことを自信持って言い張ってんだか。
 カオルらしいと言えばカオルらしいと言えなくもないが…
 やれやれ、たまに思うぜ。あいつ、ほんとに馬鹿なんじゃないかと、な』

盛大な溜息とともにザルバがまあまあヒドいことを言う。
すると、ずっと無言だった鋼牙が口を開いた。

「ゴンザ、カオルは昨日もあまり食べていないのではないか?」

それを聞いたゴンザがガバッと顔をあげて言った。

「そうなのです!
 昨日は、朝食は普段通りだったのですが、昼食はスープだけ。
 午後のお茶の時間にはスイーツは召し上がらずに、夕食はリゾットが食べたいということでメインはいらないと…

 どこか具合が悪いのかと思いお聞きしてみたのですが、そうじゃない、心配はいらないと言うんです。
 確かに、顔色も悪くはないし、どこかが痛そうでも、つらそうでもないのですが…

 『明日は冬眠をするから! 一日中寝て過ごすから食事は用意しなくていい』とおっしゃられて、よほどお疲れが溜まっているのでしょうか?」

気遣わし気にオロオロするゴンザ。

『まったく… いくら疲れているからって食事を抜くことは身体によくないだろうに…
 食べるもんも食べなけりゃ疲れなんか取れっこないぜ』

心配気なゴンザと呆れたような口調のザルバ。
そんなふたりを尻目に考え事に耽(ふけ)っていた鋼牙は立ち上がった。
釣られて、ゴンザもザルバも鋼牙を見上げる。

「カオルのところに行ってくる。
 ゴンザ、カオルの分の朝食も用意しておいてくれ」

それだけ言うと、ゴンザが「はい」と返事をしないうちに、鋼牙は部屋を出て行った。




鋼牙はカオルの部屋の前に立った。

コンコンコン

形ばかりのノックをして、カオルの返事も待たずにすぐにドアを開けて部屋に入る。
見ると、カオルのベッドがこんもりと膨らんでいる。
ゴンザに話したように眠っているようだ。
鋼牙はふうっと小さく溜息をついてから、カオルのベッドに近づく。

「おいっ」

機嫌が悪そうなことを隠さない低い声でカオルに呼びかけると、閉じられていたカオルの目がゆっくりと開き、声の主を探すように視線が宙を彷徨(さまよ)った。
そして、鋼牙の姿を認めると、大きく目が開いて「うわっ」と小さな驚きの声が漏れたが、すぐさま布団を持ち上げて、目を覗いた顔の下半分を隠した。

「お… おはよう…」

戸惑いつつ発せられた朝の挨拶に帰すことなく、鋼牙は

「起きろ」

とだけ言うのだった。


to be continued
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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