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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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いちばんの存在(6)

暑いですね!
頭ん中、茹だってます!
こんな頭で正しい(?)妄想ができるのか心配ですが、今宵も頑張りましょう!(お~!)

拍手[3回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「コーガ?」

コーガが寂し気に見えたのはほんの一瞬のこと。
彼の大きな手がカオルンの頭へと伸び、少々手荒にガシガシと撫でつけるものですから、カオルンは思わず肩をすくめて目を閉じました。

「ライガーはまだゴーザン達に任せておいても大丈夫だろう。
 いい機会だから、もう少し甘えさせてもらって休んだらどうだ?」

そう言うとコーガは立ち上がり、カオルンの頭から手が離れていきました。
カオルンが目を開けてコーガを見たときには、すでにコーガの表情は元に戻っていました。
カオルンはじっとコーガの顔を見つめます。
さっき見たのが見間違いだったのか、あるいはまだどこかにその名残があるのではないか、と、彼の心のうちが何か知れないものかとじっと見つめます。
けれども、コーガは何事もなかったかのように、穏やかな表情を見せるばかりです。

(さっきのはなんだったんだろう…
 聞いてみようか?
 …ううん、きっと教えてくれないよね)

そんなふうに思うと、カオルンはちょっと寂しくなりました。
そうです。きっと、カオルンはさっきのコーガが見せたような顔になっているはずです。

カオルンは、はっとしました。
カオルンはライガーのためにという想いから、睡眠や食事、入浴など自分のことは後回しにしがちでした。
それを「我慢」してやっていたことだとは思いません。

(だって、母親だもの。そんなの当たり前…)

でも、少しばかりひとりで抱え込んで「無理」をしてしまっていたのだということを、今回のことで気づきました。
それと同じように、コーガもライガーが産まれたことでちょっとの我慢だとか無理をしているのかもしれません。

(さっきはなんの話をしていたかしら… そうだっ)




「ライガーにとって一番大事な存在はおまえだよ」

「カオルンにとっての一番も、きっとライガーなんだろうな…」




(わたし… ライガーのことで頭がいっぱいだった。
 コーガの仕事の邪魔しちゃいけないって、そればっかり思ってたけど…)

カオルンがしたことは、ひとりで全部頑張ろうとして、誰からも距離を取ったことでした。
それは、カオルンを手助けしたいという気持ちや、ライガーをかわいがりたいと思うみんなの気持ちを、結果的に跳ねのけるような行動だったのだと今になって気づきました。
寄り添いたいと思う気持ちがあるのに、それができない、させてもらえないのは寂しいものです。

それに…



「カオルンにとっての一番も、きっとライガーなんだろうな…」




(それって、ひょっとしてヤキモチとか?
 えっ、まさかぁ… でも…)

そうだったらいいな、などといろいろカオルンが考えにふけっていると、コーガは

「どうした?」

と顔を覗き込んできました。
カオルンはハッと我に返って、

「あっ、ううん。なんでもない!」

と、どぎまぎしながら答えます。
コーガは少し怪訝に思いつつ、そうか、と引き下がりました。
カオルンは、少し跳ね上がった心拍数をなだめながら、

「えっと… ねぇ?」

とコーガの顔色を伺います。

(どうしよう、何を言おうか…)

カオルンは忙しく考えを巡らせます。

「ん?」

コーガは包み込むようなまなざしでカオルンの言葉を待ちます。

「その… わたし… もっと甘えた方がいいと思う?」

コーガの反応を探るようにカオルンは問いかけます。

「ううん、そうだなぁ…
 ゴーザン達は嬉しそうだったぞ?
 やっと、頼ってくれた、信用してもらえた、と言って喜んでいるようだった」

コーガは、さっきライガーの様子を見てきたときのことを思い出しながら、そう言いました。

「ああ、うん。そうだよね。
 いや、みんなのことは信用していないとかってことじゃないんだけど…
 ううん、えっとね、そうじゃなくって…」

なんとなく歯切れの悪いカオルンに、コーガは首をかしげます。
何が言いたいんだ、というようなコーガに、カオルンはおずおずと言います。

「えっとね、その…
 コーガにも甘えていいのかな、ってことなんだけど…」

それを聞いて、コーガはちょっと目を丸くしました。
そして、

「もちろんだ」

と答えます。

「じゃ、じゃあ… しばらく… その… そばにいてくれる、かな?」

シーツを握りしめる手にぎゅっと力がこもります。
期待と不安が入り混じった目がゆらゆら揺れています。
そんなカオルンの頬にコーガは手を伸ばします。

「カオルン…」

コーガはベッドに腰を下ろしてから彼女の肩を引き寄せます。
カオルンはコーガの体温に、香りに、鼓動に包まれて安心を覚えつつも、身体中の細胞がワッと騒ぐような感覚を覚えます。
それでも、やっぱり気になることは聞かずにはいられません。

「あの、でも、コーガ?
 お仕事のほうは大丈夫なの?」

見上げるカオルンの視線と、コーガの視線とが近い距離で交わります。

「ああ、大丈夫だ。
 大丈夫でなかったら、ちゃんとそう言うから心配するな」

「そう。なら、よかった…」

それを聞いて安心したカオルンは、スリスリとコーガの胸にすり寄ります。



そして、しばらくしたとき。

「ねえ、コーガ」

カオルンが口を開きました。

「なんだ?」

「考えたんだけど…
 わたしにとって、ライガーは一番守らなきゃいけない存在だわ」

「…そうか。 そうだな…」

「でもね、コーガはそばにいて一番安心する存在なの」

「うん?」

「それにね、一番近くにいてほしいって思える存在だよ?
 その… 物理的な意味でっていうか… 精神的な意味でっていうか…」

コーガは黙ってカオルンの言葉を待ちます。

「不思議だね。
 ’一番の存在’ ってひとりじゃないんだね?
 いろんな ’一番’ があるんだな、ってそんなふうに思ったよ」

コーガは、黙ってカオルンの髪を撫でました。

「ねぇ?
 コーガにとってもわたしは何かの意味で’一番の存在’なのかなぁ?」

遠慮がちに見上げるカオルンに、コーガは瞳を揺らして少し険しい顔をしたが、むしゃぶりつくように彼女の唇を荒々しいキスで塞ぎました。
まるで、それが答えの代わりだというような、熱くて執拗な長いキスでした。




その日を境に、カオルンはライガーの育児にいろいろな人の手を借りるようになりました。
そして、夫婦で過ごす時間も大事にするようになりました。
そのおかげで、城中みんなの笑顔が増え、優しく穏やかな環境でライガー王子はすくすくと育つのでした。

王に娶(めと)られて長いこと子宝に恵まれなかった王妃でしたが、その後、次々とコウノトリが飛来することになったとかならなかったとか…
めでたし、めでたし。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


やっと終わりました!
メルヘン 育児篇 完(どどん!) デス。

毎日暑くて、もうイヤんなりますねぇ~
今日は隣の市が全国第2位の暑さ(38.6℃)を記録し、当地でも37.9℃とこの夏一番の暑さになりました。
溶けるって、ほんと、溶けそうですって!

暑さは人を凶暴にさせますねぇ~
「暑い~」ってダラダラしている家族を見ると殺意すら覚えます。
こちとら暑い中、買い物に行って、ガス台の前で汗ダラダラになりながらごはん作ってるですけどっ、てね!

世の奥様方!
毎日、偉いね! すごいね! 優しいよね!
あともう少し(と信じたい!)、暑さに負けずに頑張りましょう!
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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