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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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Out of control(2)

これって、[大人限定]かしら?
…と思いつつ。


拍手[10回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

その日、予感のようなものはあったのだ。
カオルを泣かせてしまいそうだという予感が。

それは…




元老院からの指令で3日ほど家を空けて帰ってきた夜。
自分の屋敷でゆったりと風呂に入り、清潔なシーツにふっくらとした布団がしつらえてあるベッドの上に足を投げ出してほっと息をつく。

家を出ているときには四六時中研ぎ澄まされていた感覚が、今はどこにも張り詰めたものはなく緊張感の全く消えた身体は、指一本動かすのも億劫なほど緩み切っている。
鋼牙と入れ替わりに風呂に入っているカオルを待つともなしに待っているが、瞼が重くて、とてもじゃないが開けていられない。

そのまま鋼牙は身体の欲するままにまどろみの中に沈んでいった。



いったいどのくらいそうしていたのかわからないが、ふと何かが触れたような感覚に目を覚ます。
安心しきっているようで、そこはやはり魔戒騎士。ちょっとしたことでも気は抜けていないようだ。
目を覚ますと同時に、感じた気配の先にあったものを掴んでいた。

「鋼…牙… あの、ごめんなさい。起こしちゃったね」

鋼牙の掴んだのがカオルの手だとわかったのは、彼女が申し訳なさげに目を伏せてそう言ったときだ。
そのどこか儚げな風情が溜まらなく愛おしいと思ったのは、ほんの少しだが家を空けて帰ってきたばかりなのだから、しようがないではないか。

どんな指令でも、命がけなのだ。
そんな指令を無事にやりとげて、ようやく帰ってきたのであれば、思う存分、愛する者をその腕に掻き抱いて、その花のように甘やかな彼女の香りを胸いっぱいに吸い込んで、柔らかな身体の感触を思う存分味わい尽くしたい…
そう思って、いったい何が悪いのだ。

…と、寝起きといういささか判断力の欠く状態で、やや暴走しかけた鋼牙。
その自分本位な考えからカオルに手を出しかけたが、さすが黄金騎士というべきか、すんでのところで理性が働いた。

(今夜カオルに触れれば、彼女を滅茶苦茶にしてしまいそうなほど求めてしまいそうだ。
 それは避けるべきだろう…)

「カオル、もう休もう…」

そう言って彼女に背を向けて、煩悩と闘いながらやり過ごそうとする鋼牙だったが、そんな彼の想いがわからないカオルにとっては、中途半端に火をつけられて放置されたのでは、困惑することしかできないし、もっと言えば「迷惑」以外の何物でもなかった。
が、まあ、そんなことに気付かないのも、鋼牙だから仕方がない。

思い余ったカオルが、普段なら絶対にしないであろうに、自分から抱き着いてモーションを掛けてきても

(煩悩退散、煩悩退散…)

と無視を通す。

が、しばらく我慢していると、カオルが鋼牙から離れていった。

(ん? 諦めたか?)

そう思って、心の中で安堵の溜め息をついた鋼牙だったが、それとは逆に、カオルを取り囲む空気が固いのを感じる。
目を閉じたまま、全神経はカオルに注ぎ、彼女の小さな気配も逃さない。




「カオル?」

声を掛けながらそっと覗き込めば、彼女が慌てて目元をぬぐっている。
すぐに肩に手を掛け、無理やりにでも顔をこちらに向かせる。

「…泣いているのか?」

「…ううん、泣いて、ないよ」

取り繕うが、どこか不自然なカオル。
ここに来てようやく、女心に疎い鋼牙でもさすがにわかった。
自分の欲望を押しとどめることは、カオルにとってもよくなかったのだ。

自分の欲望をコントロールできそうにないように思った。
そのことで無理を強いて、彼女を泣かせてしまいそうだと。
でも、制御しきれなかったことで、別の意味で泣かせてしまった。

ならば…




「ほんとは、ものすごくおまえが欲しい…」





カオルへの欲望がストレートに表された言葉に、カオルは驚きとともに身悶えしそうなほどに嬉しさと恥ずかしさを覚える。
が、それを思う存分に味わう時間は与えられずに、すぐにチュッと音がして耳のそばに口づけられて、そのまま鋼牙の唇が、触れるかどうかの絶妙な加減でカオルの耳朶(じだ)を柔らかく弄(もてあそ)ぶ。

「は… んん…」

カオルの鼻からかみ殺すように甘い吐息が漏れ、背中がわずかに弓なりにしなった。

「その声がもっと聴きたい…」

熱い吐息とともに耳元で言われ、ちりっと耳朶が甘噛みされ、熱い舌がクチュっと音をさせながら耳を這う。
そんなことをされると、カオルは我慢したくても我慢できずに

「ふぅ、ン… あっ…」

と甘やかな声が漏れる。

わずかに俯き加減になっていたカオルの唇が、下からすくい上げるようにして塞がれると、鋼牙の満足そうな表情が見えたが、それも一瞬のことで、少々荒っぽくカオルの唇を割って入ってきた鋼牙の舌に好き勝手に口内を蹂躙されると、カオルは目をぎゅっとつむった。

鋼牙の両手はカオルの乳房をやわやわと揉みしだき、すでに尖(とが)り始めた先端を親指がいたぶる。
鋼牙に唇を塞がれながらも、カオルの嬌声は止まらないから、そのカオルの反応に煽られるに任せて鋼牙も欲情の昂(たかぶ)りを止められない。

カオルが恥ずかしさに身を捩(よじ)る姿も、潤んだ目で訴えるように鋼牙を見つめる視線も、あまりの気持ちのよさに喘ぐ様子も、時に甘えるように、時に強請(ねだ)るように鋼牙の名前を呼ぶ声も。
すべてが鋼牙の雄の部分を刺激した止(や)まない。

庇護欲も征服欲も嗜虐的な感覚も… 様々な感情や本能が鋼牙の中でむくむくと湧き上がる。

(俺はいったいカオルをどうしたいんだ…)

自分の中で確(かく)とした形になっていない複雑な想いに対して、鋼牙本人ですら正確な解釈は難しかったが、言えることはただひとつ。

(俺にはおまえが必要だ… だが…)




「カオルが欲しい… だが、今夜は加減ができそうにない。…いいか?」

せめてもの気遣いとして、そう訊いてみる。

「無理なら、今すぐ逃げてくれ」

そう言うと、カオルに覆いかぶさっていた身体を少し離して、彼女が逃げる余地を作ってやる。
が、カオルにとっても、今更もう遅いのだ。
離れてしまった鋼牙へと腕を伸ばし、首の後ろに手を回してぎゅっと抱き着く。

「できれば加減はしてほしいけど…
 あたしも… 鋼牙が欲しい、よ?」

カオルの小さな声が鋼牙の耳に届く。
届いたと同時にかすかに鋼牙の身体が強張ったが、すぐに力が抜かれてカオルを真正面から見つめる。

「言ったな?
 加減はしてやりたいが、今のでまたできなくなったかも、だな…」

そう言うと、飲み込まれそうに、ねっとりと熱く深い口づけがカオルを襲った。
たっぷりと鋼牙が満足するまで続いたキスから解放されたとき、カオルはぼーっとしたままハァハァと荒い息を繰り返していた。
そんなカオルを鋼牙は満足そうに見下ろす。

そして、ふたりは…

とても加減したとは思えないほどの密度の濃ーーーーーい時間を過ごしました、とさ。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


いちゃいちゃ鋼牙さん×カオルちゃんを書きたかっただけ、って感じの妄想ですねぇ。
ま、たまにはいいかな…

ふふふ、大したことはしていない(!?)んですけどぉぉぉ
いちゃいちゃの雰囲気だけっ!

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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