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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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あま~い誘惑(3)

さあさあ鋼牙の登場です!
たくさんのスイーツに驚くでしょうか、ねぇ?
妄想の続きをどうぞ!


拍手[6回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

コートを脱いで幾分表情を緩ませた鋼牙は、ローテーブルの上に並べられたおびただしい数のコンビニスイーツを軽く目を見開いた。
『こいつはまた… すげぇ数だなぁ』

ザルバが呆れたような声でそう言うと、

「カオル様が買ってきてくださいました」

と、ゴンザが手短に状況を伝えると、

「だぁって、栗とかサツマイモとかかぼちゃとか… 秋はおいしいものがいっぱいだから。
 どのコンビニもこの時期はスイーツが充実してるのよ?
 だから、どれもこれもすっごくおいしそうで選べなくって…」

と少し拗ねたようにカオルは言い訳じみたことを口にする。

『確かにな。
 俺様には ’秋の味覚’ の美味さなどはわからんが、食料の少なくなる冬を目前としてエネルギーを蓄えようとする人間のつくりには納得できる』

「エネルギーって… ザルバはかわいそうね。
 こぉ~んな美味しいものがわからないなんてぇ…」

カオルは心の底から気の毒そうにそう言うと、

「あたしなんて、あぁ、四季のある国に生まれてよかったぁ! 春夏秋冬、ありがとう! って思っちゃうよ?

 あれっ?
 春夏秋’冬’ と、ありが’とう’ って、なんか韻踏んでない? やだ、なんかすごくない?」

と今度は自分がたまたま言ったフレーズにご満悦で、ひとり手を叩いて喜んでいる。

『まぁ~ったく。
 地軸が傾いていることが、そこまで嬉しいかねぇ』

心底呆れたように零したザルバに、ゴンザを苦笑しながら、

「鋼牙様もお茶をご用意いたしますか?
 いつものようにコーヒーがよろしいですか?」

とそっと聞いた。

「…コーヒーを頼む」

ちょっとだけ迷った後に、鋼牙はそう返す。
ゴンザはすっと姿勢を正してわずかに頭を下げると、その場を後にして鋼牙のための用意に向かった。

そんな主従のやりとりなど全く眼中になく、カオルはスイーツに夢中で、

「あっ、ねえねえ、鋼牙もどれか食べる?
 えっと… これは、モンブランで、こっちは地域限定のスフレ… で、こっちがかぼちゃのシュークリーム」

と、ひとつひとつ鋼牙にスイーツを紹介し始めた。
が、鋼牙に薦めていたはずが、なんとな~く、いつの間にか、自分はどれにしようかな、という雰囲気に変わっていっていることにザルバも鋼牙も気が付いた。
今や、鋼牙はそっちのけで、人差し指を顎に当ててう~ん、う~んと悩んでいるカオル。
なんとなく目と目を見かわす鋼牙とザルバ。
やがて、ザルバが尋ねた。

『カオル、おまえはどれにするんだ?』

「あたし? あたしは ’クイニーアマン いちじく&チーズクリーム’ か ’もちっとどら かぼちゃプリン&ホイップ’ のどっちかかなぁ、って…
えーっ、でも、さっきはかぼちゃのチーズケーキ食べちゃったからなぁ… チーズとかかぼちゃじゃ被っちゃうよねぇぇぇ」

『なんだ? カオルはもうチーズケーキを食べたのか?』

「そうだよぉ。だから、2個目はチーズでもかぼちゃでもないほうがいいと思うんだよねぇ」

『おいおい… さすがに2個は食べすぎなんじゃないか?
 おまえさん、何日か前も、そろそろダイエットしなきゃ、とかなんとか言ってなかったか?』

「もう、ザルバったら! せっかく忘れようと思ってたのに、そんなこと言わないで!
 確かにっ! …確かに、そんなこと言ってたよ」

とカオルは鋼牙の目(この場合耳か?)を気にして、最後は声を小さくした。

「でもね、ほら… 秋はどうしたって、エネルギー溜めなきゃっていう身体が訴えてるんだもん。
 遺伝子レベルでなのか、ホルモンなのかはよくわかんないけど、とにかくそんなの抵抗なんてできないじゃない」

『いいのかよ、それで。
 後になって絶対後悔するパターンなんじゃないのか?』

「うううっ… だってぇ…」

ジト目で見るカオルに、ザルバは涼しい顏だ。

『二の腕とか、下腹とか、ポヨポヨになっちまうぜ?』

「うっ…」

『そんな身体、誰かさんに見られて恥ずかしくないのか?』

「っ… ちょっとザルバぁっ」

調子に乗ってカオルをおちょくるザルバにカオルはひと睨みしてから、ちらりと鋼牙の顔色を窺い見る。
すると、鋼牙は表情を変えることなくカオルを見下ろしながら

「…いいんじゃないか」

と一言だけ言った。

「えっ、それってどういう意味?」

「別に好きなものを食べればいいんじゃないか、という意味だが?」

「でも、でも、そんなことしたらっ!
 …太っちゃうよ? それでもいいの?」

下から伺うようにカオル。

「別に」

「別に?」

「いいんじゃないか?」

「…それって、’どうでもいい’ ってこと?」

やや不安げに、そして不満げにも見えるように眉を潜(ひそ)ませてカオルは言う。

「そういう意味じゃない。太っても構わないんじゃないか、ということだ」

「へっ、いいの?」

「なんだ? 悪いことか?」

「いや、悪いっていうか…」

どこまでも平然としている鋼牙に、カオルは戸惑ってしまう。

「別に5キロも10キロもってことではないだろ?」

「確かにそうではあるけど… 見苦しくない?」

首をかしげて尋ねるカオルに、鋼牙はやおら腕を組んで考え出した。
そんな鋼牙を見て、

(鋼牙ったら、太ったところを想像しているのかな…)

とカオルはちょっと恥ずかしくなる。
カオルが少し赤くなりながら鋼牙を見守っていると、考えがまとまったのか、鋼牙が顔をあげた。

「大丈夫じゃないか? それに…」

「それに?」

「よくなると思う」

「よくなる?」

カオルは盛大に首をひねる。

「ああ、抱き心地はよくなるだろう?」

「っ!」





そんなところへ…
ドアを開けてゴンザが入ってきた。鋼牙のためのコーヒーが載ったトレイを手にして…

「お待たせしまし… ん? カオル様、いかがなされました?」

真っ赤になって身をすくめるように小さくなっているカオルを、ゴンザは怪訝な目で見る。
カオルは何も言えずに、首を横に振るばかりだ。

『なんでもないぞ、ゴンザ。
 カオルにスイーツをもっと食って太れ、と鋼牙が言っただけだ』

「太れとは言っていない。俺はただ、ちょっとぐらい太っても構わないと言っただけだ」

律儀にザルバの言葉を訂正する鋼牙。

『大した違いはないだろ?
 あと、なんだったっけ? あぁ、そうそう、そのほうが抱…「わぁぁぁぁぁ」』

カオルを赤面させた原因を、ザルバが言い募ろうとしてカオルは慌てて意味のない叫びで遮る。

「ゴンザさん、いいから鋼牙にコーヒーを!
 鋼牙は冷めないうちにどうぞ」

作り笑いで言うカオルを、ゴンザは訝(いぶか)しく思いながらも鋼牙の前にコーヒーを置いた。
そして、

「さ、カオル様。
 次は何をお召し上がりになるか、決まりましたか?」

とにっこり微笑みながら訊いたのだが、どうしたわけか、カオルは複雑な表情をしてみせて、

「えっと… もうやめとこうかな。
 また、明日にでも食べようと思うわ」

と言うのだった。
それを聞いてザルバは

『くっくっくっ』

と笑い、鋼牙は素知らぬ顔でコーヒーを飲んでいる。
ゴンザは状況がよくわからないまま、

「…はぁ、さようですか」

と言うしかないのだった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


ゴンザさんひとりが「きょとん」という状態で終了しました!

カオルちゃん華奢ですもんね。
少しくらい ’増量’ しても大丈夫よ、だ~い~じょ~ぶっ!
くすくす…

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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