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嘘と真実(1)
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それは、ゴンザの一言が始まりだった。
「カオル様…」
いつものように鋼牙とふたりで朝食の席につき、ゴンザの愛情がこもった温かい食事を終えたカオルが、食後のコーヒーを口にしていたとき、ゴンザが声を掛けてきた。
コーヒーを飲む手を止めたカオルは、カップをソーサーに置きながら、
「ん? なぁに?」
と首だけゴンザを振り返った。
「実は、ひとつご相談がありまして…」
そう言われたカオルは、今度は身体ごとゴンザに向けた。
そして、何かしら、というふうに首を傾(かし)げた。
「カオル様がこちらの屋敷に来られたときのお荷物で、まだ未開封のものが2~3あるのですが…
もしすぐに使用しないようなものでしたら’蔵’のほうへ移動しようかと思うのです」
ゴンザが’蔵’と呼んでいるのは、この屋敷の敷地とは違う別の場所に持っている、普段使わないものを収めた収納場所のことだった。
カオルがこの屋敷に居を移したのはもう2年も前のこと。
そのときからしまいっぱなしになっていた段ボールがあるということを、カオルだけではなくゴンザも忘れていた。
「昨日、たまたま屋敷の物置を整理してましてね、そのときにカオル様のものがあるのに気づきまして…
いえ、どうしてもすぐに、というわけではないのです。
ただ、もしも大事なものが入っているのであれば、出しておいたほうがよいのではと思いまして…」
そんなゴンザの言葉に、カオルは、あぁ、と軽く目を見開いた。
「ごめんなさい。すっかり忘れていたわ…
そうね、今は仕事のほうもちょっと落ち着いてるし、さっそく今日にでも見てみるね?」
「そうでございますか?
では、後程こちらにお持ちしますね?」
そんな会話が交わされたのが、今から2時間前のことだった。
そして、今現在…
朝食後、いつものごとく身体のコンディションの確認のため地下の修練場でひと汗流した鋼牙が、やや顔を上気させながらリビングの前を通りかかった。
半分くらい開かれた状態のドアの間から、何気なく室内に目を向けたのは、特別に何かを意識してのことではなかったが、中の状態が目に飛び込んできて鋼牙は驚きに目を見開いた。
書斎に向かおうとしていたその足ももピタリと止まり、当初の目的地を変更してリビングに入る。
すると、冴島邸の大きなダイニングテーブルの上に、未開封だった段ボールの中から取り出されたのであろう種々雑多なものが所狭しと並べられている全貌が見えた。
これには、ザルバも思わず、
『これは… すごいな』
と言葉を失った。
ダイニングテーブルの上には、絵を描くのに使うような画材のほかに、画集のようなものや少々くたびれたようなスケッチブックが無造作に積まれていたり、そうかと思えば、洋服の類の山や、マグカップなどの食器が少しとポップな色合いのカトラリーなどもあった。
その他にも、決してかわいいとはいえないちょっと微妙な感じの操り人形があったり、けん玉やヨーヨー、トランプといった懐かしい感じのするおもちゃまである。
鋼牙はテーブルに近づいて、テーブルの端に置いてあったものを手に取った。
それは、スリンキーとかレインボースプリングとか呼ばれるおもちゃ(階段をひとりで勝手に降りていくバネのおもちゃを知っているだろうか? アレのことだ)で、いざ手に取ると、ビヨヨ~ンと伸びて落としかけてしまい、ぎょっとしながら元に戻したりしていると、鋼牙とは対角線上の位置にある椅子に座って、漫画を読みふけっていたカオルが鋼牙に気付いて顔をあげた。
(恐らく、この漫画も段ボールの中から出てきたものだろう…)
「あっ、鋼牙!
ごめんなさい、荷物、まだ片付いてないのぉ~」
へへへ、と申し訳なさそうに笑うカオルに、
『おいおい、カオル。おまえ店でも始めるつもりなのか?
って言っても、なんだか売れそうなものは全然ないみたいだがな』
とザルバが突っ込む。
「ええっ、なんかそれ、失礼なんですけどぉぉぉ。
ザルバにとってはそうかもしれないけど、あたしにとったらお金にも代えがたいものだってあるんだから!」
とザルバに向かって、唇を尖らせつつ反論するカオル。
が、次の瞬間には鋼牙を見て、
「っていうか、ごめん、すぐに片づけるから!」
と再び謝った。
「それはいいが… これ、昼食までには片付くのか?」
「あっ、それは大丈夫!
その頃にはきれいさっぱり片付いてるから全然問題ないよ」
にっこり笑って自信満々に言い切ったカオルに、
『ほんとかぁぁぁ!?
今だって漫画読んでて、ちっとも片づけている感じはなかったがな?』
とすかさずザルバの揶揄(からか)いの声が飛ぶ。
「やっ、それはぁ… ちょっと休憩してただけだから!
そろそろ再開しようかな、って思ってたところだったんですっ」
ほんとか? ほんと、ほんと… などとザルバとカオルがじゃれているのを、鋼牙は少し呆れつつもほほえましく眺めていると、カオルが、あっ! と何か思い出したような表情をして、鋼牙を振り向いた。
「あのね! すごく懐かしいものを見つけたの!」
そう言うと、ダイニングテーブルの上を何か探すように忙しく視線を彷徨わせる。
「あっ、あった、あった…
これなんだけど」
カオルがそう言って取り上げたのは1冊の手帳。
パラパラとページをめくってお目当てのページを探していると、鋼牙が近づいてきてカオルのそばまで来た。
「ああ、ここ、ここ!」
どうやらそのページを見つけたらしいカオルの顔が明るく輝く。
「ねぇ、見て?」
そう言って差し出された手帳は鋼牙は受け取って、中身を見る。
ざざっと斜め読みした鋼牙は、それがいつ、誰の手によって、何のために書かれたものだったかに思い当たり、うめくように呟いた。
「…こ、れは…」
to be continued(2へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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