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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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最近の’お礼’

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拍手コメントいただいているのに全然「お礼」が言えず、ほんとにすいません…
お礼しないと、と思いつつ、「お礼」と「妄想」と天秤にかけて、いっっっつも「妄想」が勝ってしまいます。(いかんなぁ~)

そんなわけで、今宵も妄想いたしたいと思います。

拍手[7回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「ゴンザ! ゴンザはいるかっ!」

冴島邸の玄関のドアが乱暴に開かれたのと同時に、焦る声がエントランスに響き渡った。
それに呼応するようにバタバタと慌ただしい音とともにゴンザが億から姿を見せて、不意の来客の顔を見て驚いた声をあげる。

「零様っ! これはいったい…
 どうなさいましたかっ?」

「急で悪いっ!」

そう言うと零は、ゴンザの脇をスイッと通り抜け、勝手知ったる屋敷の中を断りもなくズカズカと進んでいった。
そんな零を追うように小走りでゴンザが追いつくと、零はそれをちらっと確認してから、

「お前の助けが必要なんだ」

と言い、書斎を目指した。
すると、書斎のドアが開き、鋼牙が顔をのぞかせる。

「零…」

「すまない、鋼牙。知恵を貸してくれっ!」

鋼牙に対してかなり食い気味に言葉を被せてきた零の様子に、鋼牙は何も言わずに書斎のドアを大きく開け放ち、黙って零を招き入れた。
いつも飄々としていて余裕たっぷりのこの男が、この慌てようだ。
しかも、確かな実力の持ち主ということもあり、ホラーとの闘い振りにも普段の言動にも、かなりふてぶてしくあったりするヤツが、素直に助けを求めているのだから、零が今抱えている問題はそれなりに骨の折れるものであり、急を要するものなのであろう。

書斎の重厚な机を前に、鋼牙、零、ゴンザが顔を揃えると、すかさず鋼牙が口を開く。

「何があった」

「実は…」

零の口から語られたのは、おおよそこんな話だった。




とある女性に邪悪な気配がすると、零の魔道具であるシルヴァが探り当てたのだと言う。
ただし、その女性に魔導火をかざしてみても、ホラーに憑依されていることを示す印が浮かび上がってこなかった。
憑依されていないのであればよかった、よかった、で済むところなのだが、どうにもシルヴァは納得できない。
その女性に対して、普通ではない違和感をずっと感じているのだと言う。

その違和感が何か…

シルヴァが考え続けてみたところ、成体になる前に幼体とでもいうべき形態があるホラーがいることを思い出した。
そのホラーの幼体は成体になるまでの間、人間や動物の身体の中に潜伏しており、その期間は寄生主はまだホラーに憑依されていないらしい。
シルヴァが思い出せたのはそんなところまでで、もっと詳しくこのホラーについての情報を得る必要があった。
そこで、冴島家の抱える膨大な蔵書と、それを完璧に管理するゴンザの力を借りたい…




零が話し終えると、ザルバは、

『俺様もそのホラーの話は聞いたことがある。
 確か、ミミズ腫れやコブを調べても、すでにソイツは移動してしまった後で影も形もないんだとか…
 だから、幻のホラーとか、忍びのホラーだとか、そんな異名がついていたような気がするぜ』

と自分の知りうることを告げた。
それを受けて、鋼牙は、

「ゴンザ、これだけの情報で探せるか?」

と鋭いまなざしを執事に注ぐ。
零の話を聞きながら、難しい顔をしていたゴンザであったが、

「恐らく…」

と鋼牙に答えて、零を振り返った。

「しばらくお時間をいただけますか?」

と尋ねた表情には、険しさもあったがほんの少し自信のようなものがあるようにも思えて、零はわずかにほっとした。

「ああ、もちろん」

「では、さっそく…」

ゴンザはすぐさま踵(きびす)を返し、書斎を出て行こうとする。
その背に向かって、零は言った。

「頼むぜ、ゴンザ」

その声に足を止めたゴンザは振り返り、力強くうなずき返した。
わずかに口元に微笑を浮かべていたゴンザだったが、次の瞬間には再び表情を険しくさせて、足早に書斎を出て行った。



ゴンザの背中を見送った後、ザルバが口を開いた。

『資料探しはゴンザに任せて… 零、もう少し詳しく状況を教えてくれないか?』

「そうだな…」

ザルバに促されて、零はその女性について知りうる事実を淡々と語りだした。




それからしばらく経った頃。
キャンバスを前に絵筆を動かしていたカオルが手を止め、絵をチェックした。
身体を右に、左にずらしてみたり、そうかと思えば、何歩か下がって全体像を見てみたり…

「まぁ、こんなもんかな…」

言葉の内容よりはずっと満足げにうなずいたカオルは、そこでようやくパレットと絵筆を置き、ちらっと時間を確認した。
そして、午後のお茶の時間から30分近く経っていることに気付いて、

「あれぇ? ゴンザさん、どこか出かけるとかって言ってたっけ?」

と呟いた。

(いつもだったら、お茶にしませんか、と言ってくるはずなのにどうしたのだろう…)

緊急の用向きで零が突然訪ねてきていることなど知らないカオルは、首を傾げつつ、部屋を出て階下に向かった。
まずは、リビングに顔を出す。

「いない…」

そして、キッチンに…

「ここにもいない…」

窓越しに中庭もちらりと見るが、ゴンザの姿はない。

(書斎かな?)

そう思ったカオルは、書斎へと足を向けた。


to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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