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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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名前は(2)

間が空いてしまってすみません!
どんな妄想をしていたのか、思い出すところからなので、お話がうまくつながるか若干不安ですが…
さてさて、今宵の妄想劇場はちと駆け足気味ですが、お楽しみいただければ、これ幸いなり。

拍手[7回]



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鋼牙は椅子に座って腕組みをしたまま目を閉じていた。
一方の零は、窓辺に立ち、じっと外を見ている。

零の突然の来訪と、慌ただしく交わされた依頼要請。緊張感漂う中での情報共有。
それらが終わると、ふたりの魔戒騎士は口を閉ざしたまま思い思いの考えに沈み、静かにゴンザを待っていた。
普段なら感じられない空気の重みがそこには感じられ、魔導輪たちも押し黙ったままだ。

すると、鋼牙の目がふいに開かれ、それとほぼ同じタイミングで、零がドアのほうを振り返った。
それから一拍置かないうちに廊下を急いで近づいてくる足音が聞こえてきて、ノックなどもなしにドアが開かれた。

「零様! 鋼牙様!」

「何かわかったのか!」

心中の焦りを隠そうともせず、零はゴンザに詰め寄る。

「はい!
 恐らくこのホラーでは、というものを見つけました」

そう言って、ゴンザは抱えてきたズシリと重たそうな分厚い書物を書斎机の上に置き、目的のページを開いてふたりに見せた。
零も鋼牙も急ぎ、書かれている文字に目を走らせる。

「…ガッコール」

険しい表情の零がぽつりとつぶやき、ゴンザを振り返った。
ゴンザは零に大きくうなずいて見せてから、零と鋼牙を順番に見ながら口を開いた。

「ガッコール。
 シルヴァの言うように、幼体を人の身体に寄生させるホラーに関する記述がそれです」

それによれば、と、ゴンザは説明を続ける。



このホラー、成体になる前に幼体というべき形態があるのだという。
そして、珍しくも2個の個体による生殖行為から繁殖をするという珍しい特性を持っていた。

ガッコールの幼体は傷口などから人の身体に侵入し、体内を移動しながら相手を探すのだという。
幼体の寿命は、通常は寄生してから2~3ケ月。
かなり幅があるのは、環境に寄る、ということであり、寄生した人間の持つ陰我の深さにより寿命が延びるらしいのだ。
それゆえ、少しでも寿命を延ばし、繁殖の確率を高めるために、ガッコールは陰我ある人間を狙う。

体内に入ったガッコールの幼体は、繁殖相手を求めて体内を這いまわるのだが、見事、別の幼体に巡り合うことができれば、2個の個体は融合し、多くの幼体を繁殖させることができるのだという。

だが、運よく相手に巡り合うという個体はそうはいない。
寿命が来るまでに繁殖ができなければ、そのまま死んでしまうという結末となる。

ただし、繁殖相手を見つけられなくても、生き延びる手立てが2つあるという。

1つは、人間の体内を移動中に、その人間の脳にたどり着いた場合だ。
その場合、その人間に憑依することができる。
つまり、繁殖には失敗するが、憑依した人間の身体を操ることができ、寿命を格段に延ばせることが可能となる。

そして、もう1つは、心臓にたどり着いた場合…
この場合、その人間を身体を喰らうことができる。
宿主を喰らうことで、また新しい別の人間に寄生することになり、幸運な幼体であれば、2人目、3人目、…と次々に宿主を変えて半年以上生きながらえるものもいるらしい。

従って、ガッコールに寄生された場合、繁殖相手に巡り合う前に、脳や心臓にたどり着く前に手を打たなければならない。



体内のガッコールに対して何ができるか?
どのように排除できるのか?
あるいは、体内から追い出すことはできないのか?

そう言ったことを、3人は額を集めて相談を始める。




一方、ゴンザを探して書斎へとやってきたカオル。
ノックしようと握った手をドアに打ち付けようとしたとき、中から人の声が聞こえてきた。
もちろん、冴島邸の書斎のドアは分厚く、誰が何を話しているのかまでは聞き分けられるわけはない。
だが、なんとなく緊迫しているようだと、カオルにも感じられるくらいには中の気配は伝わってきていた。

そこで、カオルは手をそっと下ろした。
そして、何度か振り返りながらも書斎の前から離れるのだった。




一方、書斎では話し合いが結論に至ったようで、3人が書斎から廊下へと出てきた。

「ありがとよ、ふたりとも…」

「いや…」

「うまくといくといいのですが…」

不安げなゴンザの言葉に、

「ははは、うまくいかせるに決まってんだろ!」

と零は努めて明るく言って、ゴンザの肩をポンと叩いた。
零の気遣いに、ゴンザも不安を残しつつも笑顔を作り、

「さようでございますね。成功をお祈りしております…」

と返した。

「零…」

「ん?」

「おまえならやれる。…そうだろ?」

多くは語らないが、言葉よりも雄弁な鋼牙のまなざしを、零はじっと見る。
すると、知らず知らずのうちに力が入っていたのだろう。零の肩からふっと力が抜けた。

「最善を尽くす」

そう言った零の顔に、ごくごく自然な微笑が浮かんだ。
緊張も焦りも何もなく、あるのは ’必ずやり遂げる’ という揺るぎない決意。
どことなく余裕まであるように見える零の様子に、鋼牙もゴンザも、零ならやれるという想いをより強くする。





「じゃ、俺、このまま帰るわ」

いつもの零の雰囲気そのままに零が言う。
お茶の一杯も出せずに帰すことに、ゴンザは残念そうだ。

「何かあれば、また言ってくれ」

「ああ。そのときは頼む」

「零様、お気をつけて…」

「ありがと。ゴンザも元気でな」

そんな挨拶が交わされているところに、リビングのドアが開いてカオルが顔を出す。





「あっ、零くん!
 もう用事は終わったの?」

「おお! カオルちゃん!
 うん、今日はゴンザの知恵を借りにね!」

「そうなんだ…
 あ、お茶の用意できたとこなの。ねぇ、ちょっと一服しない?」

カオルのセリフを聞き、鋼牙とゴンザの顔がピリッと固まった。

(なにっ! カオル(様)がお茶の用意だと!?)

そんなふたりを横目に、零は眉尻を下げ、手でごめんのポーズをとりながら

「ああ… ごめんね、今日はちょっと急いでるんだ。
 悪いけど、また今度…」

と言った。

「そっか… 残念だけどしょうがないね…」

心底残念そうなカオルだったが、零を気遣って笑顔を浮かべる。



「じゃあ…」

いつもの人懐っこい笑顔を浮かべた零は、見送る冴島家の人たちを背にして、玄関ドアの向こうへ消えていった。


  パタン


ドアの閉まり切った音を聞き、鋼牙とゴンザは踵(きびす)を返してその場を動こうとしたが、ただひとり、カオルだけが何を思ったか零の背中を追って駆け出した。
ドアを抜けると、愛車にまたがりヘルメットを着けている零が見えた。

「零くんっ!」


to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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