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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

最近の’妄想’
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最近の’お礼’

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名前は(3)

いつもいつも、拍手やコメント、ありがとうございます!
バタバタしていてお礼がまともにできていませんが、ものすごくエネルギーいただいています!
ほんとに感謝、感謝でぇぇぇすっ!

さてさて、その感謝を妄想に込めて…
多少なりともお楽しみいただければと思いますぅ♡

拍手[6回]




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

これからのことを思って険しい表情をしていた零だったが、カオルの声に手を止めて顔をあげ、駆け寄ってくるカオルに向かって微笑みを浮かべた。

「零くん… はぁ… はぁ…」

零の近くまで来て足を止めたカオルが、胸を押さえて跳ねる呼吸を鎮める。

「どしたの?」

内心、帰りを急ぎたい気持ちを隠して余裕の表情を作り、カオルの呼吸が整うのを待って、零はそう声をかけた。

「ごめんね、急いでるんだよね。
 でも、ひとつだけ伝えたいことがあって…」

そう言って、惑うように言葉を切るカオルに、零は、

「ん?」

と首を傾(かし)げて見せた。
カオルは何をどう話せばいいだろうと迷っていたが、時間のない零を待たせるわけにもいかないと、思いつくままに話すことを決めて顔をあげた。

「あのね、零くんの名前のことなんだけどね」

「名前?」

何の脈略もなく切り出された話題に、零は少し驚き、瞳を揺らした。

「そう、名前! 零くんの ’零’ って名前…」

話の向かう先に皆目見当もつかないので、零は黙ってカオルを見つめた。

「数字の0は…」

カオルは何もない空間に右手で「0」の字を書いて見せながら言う。

「レイとゼロって、2つの呼び方があるじゃない?」

「…ああ」

「あたしね、レイもゼロも ’何もない’ ってことだと思ってたんだんけど、どうして違う呼び方なんだろうって不思議に思ってたの」

カオルの言葉に零の顔から微笑が消え、わずかに眉を潜(ひそ)ませて表情が曇った。

「でね、調べてみたらわかったんだけど…
 ゼロはね、’まったくなんにもない’ってことなんだけど、レイはね、そうじゃないんだ、って」

「…えっ」

「レイは ’まったくなんにもない’ ってことじゃなくて、’すっごく少ない’ ってことらしいよ?」

カオルはそう言って、零の反応を伺うように下から覗き込むように見た。
それを聞いて、零は目を大きく見開いた。

そして、脳裏には過去の記憶がよみがえる。





「あのさ、俺…、名前は零だけど…ゼロだけど…
 ちゃんとここに居るから…」

ホラーの返り血を浴びたカオルが、毎度のことホラーに襲われているところを救った零。
カオルに「ありがとう」と言われ、これまでの余裕綽々(しゃくしゃく)な態度から一変にして、ナイーブな一面を見せていた。




あのとき、どうして始末するべき存在だったカオルを助けたのか…

なんでもその手に持っているはずの冴島鋼牙が、何も持たない自分から大事にしていた家族を奪った仇だと思い込み、そんな奴が魔戒騎士の掟を破ってまでも大事に守る女が憎くて堪(たま)らなかったはずなのに。

いや、そのことに答えが欲しいわけではなかった。
あのときの気持ちや考えも、今となっては思い出せないし…

けれど、今になってふと思うのは、銀河という名を捨て、「何も持たない」という ’零’ を名乗っていた自分は、やはりどこかで何かにすがりたかったのかもしれないな、ということ。

自分を斬ろうとした零に向かって、「あいつ(鋼牙)と仲良くして」なんて言うおめでたい女だっていうのに。
…いや、そんな彼女が開いてだったから、なのかもしれない。




そんな過去の回想を破るように、カオルは、何やら考え込んでいる零に声をかける。

「零くん?」

はっとした零は、ふっと柔らかい表情を浮かべて

「ん?」

とカオルを見返す。
そんな零にカオルはにっこりと笑顔を見せて言った。

「あたしにはよくわからないけど、ゴンザさんを頼るくらい、今は大変な状況なんだよね?
 でもね、零くん。零くんは、ゼロかもしれないけど、でも零でもあるから、その… 大事なものはちゃんと持ってると思うから!
 だから、きっと… 零くん、がんばってね?」

両手を握りしめて励ますように言うカオルに、零は鼻の奥にツンとした痛みを覚え、笑顔が揺らぐ。
が、それも一瞬のことで、プハッと吹き出すようにわざと笑った。

「やべー
 俺、カオルちゃんに励まされちゃうほど死にそうな顔でもしてた?」

手で口元を隠してクククと笑う零に、カオルはポカンとしていた顔を一転させ、不機嫌そうに唇を吐き出す。

「もう、なによぉ! あたしは別に…
 零くんにがんばってほしいなぁって、ちょっと思っただけで。
 って、いつまで笑ってんの!」

そう言ってカオルが詰め寄ると、零はヘルメットを装着し終えていて、サイドスタンドを上げてバイクに跨っていた。
そして、キーを回してセルボタンを押してエンジンをかける。

  ドルルルン

お腹の底に響くような音に、カオルはビクンと身体を揺らして一歩離れた。
素早くミラーを見て調整したあと、カオルに視線を送る。
カオルとばしっと視線が合ったときに、零はにっこりと微笑み、

「笑ってごめんね。
 …ありがと、カオルちゃん」

とだけ言った。
そして、カオルの返事は聞かずに、クラッチを握りしめるとギアをローに入れてアクセルを強めに開き、バイクを動かし始めた。
あっと思う間もなく、零の背中が遠ざかっていく。
カオルは慌てて彼の背に向かって大きく手をあげて振ったら、それに応えるかのように零が手をひょいっとあげてくれた。

「あーあ、行っちゃった…」

そう呟いたカオルは、すとんと手を下ろす。
さて戻ろうかと、クルリと踵(きびす)を返して歩き始めたが、すぐに、

「あっ、お茶!
 鋼牙たちを待たせてるんだった!」

と気づいて、屋敷に向かって駆け出すのだった。




  ドッドッドッドッ




『ゼロ?』

「…」

『今はあなたをこの名で呼ぶのはやめたほうがいいかしら?』

「…」

何も言わない零に、シルヴァも口を閉ざして従った。




やがて、しばらく無言でバイクを走らせていた零だったが、おもむろに口を開いた。

「シルヴァ」

『なあに?』

「ゼロだろうが、零だろうが、関係ないのかもな!
 …俺には魔戒騎士としての使命がある」

腹に響くエンジン音に負けないように、零は声を張りあげるようにしてシルヴァに言った。
そして…

「俺のことをどう呼んでくれても構わない。
 俺は… 俺は、’俺’ としてここにあるんだから」

誰にも聞かせるつもりはなく小さく呟かれた言葉を、シルヴァは気づかぬ振りして聞いていた。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


やっぱり最後は、シルヴァとの語らいに落ち着いてしまいますねぇ、零くんのお話は。

さてさて。
レイもゼロのお話です。
この2つは元は同じらしく、「0」の概念はインド発祥とのこと。
それが
  ヨーロッパに伝わって「何もない」というゼロ
  中国に伝わって「何もない」「ほんの少し」というレイ
と異なる進化(?)を遂げたらしいです。
なんか深いですねぇぇぇ
中国は「0」の中に、「何か」の存在を感じたんでしょうか?

で、そういうことを最近知って、こんなふうな妄想が生まれました。

何で知ったかって?
え~っ、それ、聞かないほうがいいですよ?
なんか、台無しにしちゃうかも、だからぁぁぁ

えっ、そこまで聞いちゃったら気になるって?
そりゃあそうか…

えっとですね、あるお菓子のパッケージの裏面にそういう話が載ってたんです。
そのお菓子は、亀○製菓の「某果物」の種、です。

…ほらね、ちょっと零くんのイメージと大きくかけ離れちゃってて台無しでしょ?
「某果物」の種をボリボリ食べながら、「零く~ん」と妄想するなんて… ねぇ (;^ω^)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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