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似てるから
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書斎に向かって足を進めていた鋼牙が、ふと足を止めた。
そこはちょうどリビングのドアの前。
『ずいぶんにぎやかな声がするなぁ』
ザルバが呟いたのは、鋼牙が思ったことと同じだ。
リビングからは、何を話しているのかは具体的に聞こえないものの、カオルとゴンザの声が聞こえてくる。
その興奮したような声に興味を引かれ、鋼牙は行き先を変更してリビングのドアに手をかけた。
ガチャ
ドアを開けて一歩入ると…
「きゃーっ! なんてかわいいの!
ほら! これ! 見てみてゴンザさん!」
「おおっ! 確かに! この目がなんとも愛くるしいですな!
えぇっと、なになに… フェネック? フェネックというキツネだそうですよ、カオル様」
「いやーん、こっちもかわいいよ!
レッサーパンダの赤ちゃんって、ほんとぬいぐるみみた~い!」
「こちらのエゾモモンガもかわいいですぞ!」
「ほんとだぁっ!
こんなクリックリなおめめで見つめられたらどうしたって笑顔になっちゃうね?
あっ、このオポッサムもかわいいっ!」
「なんとっ! しっぽでぶら下がっておりますねぇ~」
なにやら1台のタブレットふたりで覗きあいながらふたりが楽し気に語らっているのが鋼牙の目に飛び込んできた。
興奮で叫びっぱなしのカオルに負けじと、ゴンザのテンションもなかなかに高くて、鋼牙は驚きのあまり、つい足が止まってしまった。
カオルもゴンザも手元に集中していて、鋼牙には気付いていない。
『なんだなんだ?
あいつらは動物の画像でも見ているみたいだな?』
ザルバが若干引き気味に鋼牙に向かって言うので、鋼牙も
「あぁ」
とやや遠慮がちに声を落として答えた。
その間も、あれがかわいい、これがかわいい、というカオルたちのおしゃべりはヒートアップし続けていたが、そのうちにゴンザが鋼牙の存在に気付いて、慌てて立ちあがった。
「こ、鋼牙様!」
それを契機に、ドアのところで立ち止まっていた鋼牙は足を進めてカオルたちに近づく。
そして、ふたりの前までやってくると
『ふたりとも、ずいぶん楽しそうだな』
と、鋼牙の代わりにゴンザがしゃべりだした。
それに対して、どう答えたものかと口をあわあわと動かすゴンザだったが、カオルがにっこりと笑って言った
「うふふ、楽しいよぉ~
今ね、ゴンザさんと一緒にすごーくかわいい動物の写真を見ていたのぉ~♡」
そう言うと、ほらっ、とタブレットのディスプレイを鋼牙のほうに向けた。
『ふぅ~ん、人間というのは、丸っこくて目が大きくってよたよたと動きがぎこちないのがかわいいって思うんだろ?
なるほどね、確かに、おまえたちがかわいいと言っているのは、それに当てはまっていそうだな』
「もう、ザルバったらぁ。そういう説明は余計よ。
あ、そうだ! 鋼牙はどれがかわいいと思う?」
そう言うとカオルは鋼牙の手を引いてソファの自分の隣に座らせて、タブレットを鋼牙に押し付ける。
そして、タブレットの操作を教えながら、いろいろな「かわいい」という言われる動物を映して見せだした。
「…」
しばらくの間、鋼牙はディスプレイを眺める鋼牙。
が、やがて、スクロールしていた指を止め、とある画像をじっと見つめる。
そんな鋼牙を見て、はっとしてカオルは鋼牙を覗き込む。
「これだ…」
「え?」
「これが …ぃぃ」
「かわいい」というのが気恥ずかしかったのか、鋼牙の声は尻すぼみとなった。
が、そんなことを気にかけている余裕はなく、カオルとゴンザは、鋼牙がかわいいと思った動物が何なのか、食いつくようにタブレットを覗き込んだ。
そこには…
両手を広げてこちらに飛びつくような格好の動物の写真が大写しで表示されていた。
ぱっと見、コアラに似ている。
でも、コアラよりも下膨れで、まるで笑っているようにしっかりと上に上がった口角が印象的な姿をしている。
「クォッカワラビー?」
「世界一しあわせな動物、とありますね」
カオルとゴンザは口々に言い、よくよくその写真を眺めた。
「ふふふ」
見れば見るほどに、その笑顔に見える表情がかわいくて、ついつい笑いがこぼれてしまう。
「かわいいですな」
ゴンザがそう言ってカオルを見れば、カオルも
「うん、かわいい♡」
と答えて笑い返す。
世界一しあわせな動物にすっかり癒されたカオルたちだが、ふとカオルが聞いた。
「ねぇ、鋼牙。
かわいい動物はほかにもいっぱいいるけど、鋼牙はクォッカワラビーのどこが気に入ったの?」
すると、鋼牙はほんの少し視線を泳がした。
そして…
「…似てると思ったからな」
とぼそりと呟く。
それを聞きとがめたカオルが、
「似てる?」
と首を傾げながら、鋼牙を覗き込む。
その視線から逃げるように鋼牙は立ちあがった。
そして、ドアのほうへと歩き出す。
「あっ… 鋼牙っ!」
呼び止めようとカオルが声を掛けるも、鋼牙の足は止まらない。
そして、ドアを開けると、ほんの少し横顔を見せるように振り返り、
「…書斎にいる」
と告げて出て行った。
鋼牙に置いてけぼりにされたようなカオルは、首を傾(かし)げて
「似てる、って…」
と呟きながら眉を潜(ひそ)ませる。
そんなカオルの様子に、くすっとゴンザから笑いがこぼれたので、それを聞きとがめたカオルはゴンザを振り返り、
「ゴンザさん? 何かわかるの?」
と尋ねた。
「はい、恐らく…」
そう言ってゴンザはくすくすとさらにこらえ切れないかのように笑い続ける。
「えっ、なに?
ねぇ、なんなの?」
カオルはゴンザのほうににじり寄り、食いつくように迫った。
「ふっふっふっ、カオル様。
多分、鋼牙様は、このクォッカワラビーがカオル様に似ていると思われたんでしょう」
「???」
まだ、なんとなく腑に落ちないカオルが、クエスチョンマークをたくさん張り付けたような顔でゴンザを見ている。
だから、ゴンザも、野暮だな、と思いながらもさらに説明を続ける。
「ですから、つまり…
カオル様に似ているからかわいいとおっしゃったんだと思いますよ、鋼牙様は」
それを聞いたカオルは、一瞬固まり、そして恥ずかしさと照れとにやけが目まぐるしく交互に現れる複雑な表情を見せた。
「や、やだ、もう…
ゴンザさん、からかってるんでしょう?」
そう言いながら、火照る顔をゴンザから逸らした。
そんなカオルを見ながらゴンザはニコニコとして、もう一度、タブレットの中のクォッカワラビーの画像を眺めた。
fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
クォッカワラビー、みなさんご存じですか?
ご存じない方は、どうか検索してみてください!
癒されますよぉ~
蒼哭のDVDのラストシーンのカオルちゃんがこんな感じかなって…
「おかえり、鋼牙!」って飛びつかれたら… いやぁ、もう、グッとくるぅぅぅ!
コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
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