きんのまなざし　ぎんのささやき

じっくり…　と思っていても、ダ～っと書いて書き上げてしまうと、
す～ぐにアップしたくなる単細胞のselfishです。

今朝も眼が覚めた瞬間、妄想してました。
…マズいです。
病気がどんどん進行している気がします。
しかも、その妄想を膨らましていたら、別の妄想に伝染してるし…
どうしましょう、妄想のスパイラルにハマってしまって…

みなさんも気をつけないと、感染しますよ～

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鋼牙が屋敷に帰ると、いつものようにゴンザが迎えてくれた。

「おかえりなさいませ、鋼牙様。」

「あぁ、今帰った。」

「カオル様はご一緒ではございませんか？」

「そこで一緒になった。」

鋼牙が背後に視線を投げかけると、鋼牙の影からカオルが中に入ってきた。

「…ただいま…」

「あ～、よかった。
　心配していたのですよ。」

「ごめんなさい、ゴンザさん。
　…あの、あたし、もう休みます。
　おやすみなさい…」

それだけ言うと、カオルはとぼとぼと自室に向かい、階段を上っていった。

「どうしたのでございますか？」

元気のないカオルの様子が気になり、ゴンザは主（あるじ）に問うてみた。

「…
　さあな。」

明確に答えようとしない主の返事に、ゴンザは、普段なら口にしない、
なじるような調子で言った。

「鋼牙様っ
　カオル様は、鋼牙様を心配して飛び出していったのでございますよ。」

「…」

『ゴンザぁ～、鋼牙はわかっているさぁ、馬鹿じゃないからな。
　だが、まだまだお子ちゃまなのさ。』

「ザルバっ！」

「…
　左様でございますか。
　では、わたくしからはもう何も申し上げません。
　ですが…」

「…」

「カオル様は、カオル様なりに鋼牙様のことを気遣っておいでです。
　鋼牙様がそれにどう答えるのか、ゴンザもまた気がかりであることを
　お忘れくださいませんよう…」

そう言うと、深々と頭を下げた。

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それから後、カオルは鋼牙から少し距離を置くようになっていた。
鋼牙は、少々の物足りなさは感じつつも、鋼牙の命を狙う涼邑零という
男のこともあり、カオルに煩（わずら）わされず助かった、というくらいに
思っていた。
ただ一点、時折、咎（とが）めるような執事の視線を感じることを除いて。

今現在の鋼牙は、修行の間で剣を振り回していた。
昨晩、境界を越えてホラー狩りに行ったことを番犬所に戒（いまし）められ、
また、涼邑零にも馬鹿にされたため、その憤怒を剣の修行で晴らそうと
していたのだった。

そこへ、ゴンザから、カオルが今晩は遅くまで帰らない、という伝言が
入ってきた。
ホラーを取り逃がしていることもあり、カオルの身が心配された。

（心配…　？
　俺がカオルを？

　まただ…
　先日からカオルのこととなると、妙にイライラしたり、落ち着かない気分に
　させられる。）

一瞬、自分の身のことについて考えてみるが、今はそんなことよりカオルの
ために何をすべきかを考えなくてはならない。

まずは…　と、ザルバにカオルの行方を探るよう命じた。
一般的な時間の経過としては、ものの数秒だったはずなのだが、鋼牙に
とってはそれがとても長く感じられた。

「ザルバっ…　？」

『急（せ）かすなっ
　今探知しているっ…』

「…」

鋼牙はザルバを待った。
…が、行き先が知れるのを待ちきれずに、

「悪いが、俺も用事ができた。」

とゴンザに向けて言った。
鋼牙の言葉が終わらぬうちに、心得たゴンザが、慌ててドアを開ける。

「行ってらっしゃいませ。」

鋼牙を玄関で見送り、ゴンザは密（ひそ）やかに思った。

（鋼牙様は、りん様、そして大河様を早くに亡くされ、そのせいで、肉体や
　精神は早過ぎるほどに急速に成長されました。
　ただ、その代償として、心の成長がどこかに置き去りとなってしまわれた。

　だが…
　今になって、ようやく、カオル様の存在によって、心が大きく成長されようと
　しているのです。

　ご自分でお気づきですか？　鋼牙様？
　カオル様は、鋼牙様にとって、トリガーなのです。

　鋼牙様、どうか、カオル様を救って差し上げてください。
　カオル様は、間違いなく鋼牙様を変えてくださるお方なのですから。）



fin
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triggerは、拳銃の引き金ですが、起爆剤というか、物事を引き起こす
原因、きっかけってことです。

今回は、selfishの言いたかったことを、ザルバやゴンザさんに言って
もらいました～
鋼牙をお子ちゃま呼ばわりしたり、一言釘を刺したり…

第15話「偶像」の後、第16話「赤酒」ではいよいよ…　な展開なのは
みなさんすでにご承知でしょう。

それを前に、ぜひ、鋼牙に一番身近なザルバやゴンザさんに何か
ズバリと言ってほしかったんです。
…っていうのは、後付けですが…

[28回]