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あの日(2)
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2005年10月x日
それは、言うなれば ’嵐’。
例の少女がこの屋敷にやってきた。
それ以外はいつもどおり。
鋼牙様に怪我もなし。
ノートのそのページに目を走らせたゴンザは、カオルがこの屋敷に初めてやってきたあの日のことだと思い当たった。
鋼牙がリビングに飾られているあの絵を持ち帰ったときから、立て続けに番犬所から指令が届き始めたことに、なにやらよからぬことが始まっているのではないかと懸念していた頃だった。
その日も指令書が届き、ホラーの返り血を浴びた御月カオルという少女を保護するよう、ゴンザは鋼牙から言いつかっていた。
調べてみると、彼女は自転車便のバイトをしているとわかった。
「あいつを指名して、この屋敷に呼びつけろ」
そんな鋼牙の命に従い、ゴンザはさっそく手筈を整えた。
リンゴーン
屋敷に来客を知らせる呼び鈴の音が響いた。
例の少女がやってきたらしい。
長らく冴島家に仕えているゴンザだが、ホラーの血に染まった人間に会うのは、これが初めてだ。
知らず知らず、ゴンザは緊張に顔をこわばらせた。
意識してゆっくりと玄関の重厚なドアを押し開くと、そこには同じく緊張した少女がいた。
「お待ちしておりました」
ゴンザが調べたところによるとその少女は早くに両親を亡くし、家族の愛情に触れずに育ってきた、ということだった。
父親が画家であったこともあってか、高校を卒業してから美術系の学校に進んで画家を目指しているらしい。
だが、実際はバイト、バイトの毎日で、生活していくのがやっとというところ、とか。
そこにきて、今度はたまたま居合わせたことで、ホラーの返り血を浴びるという不幸が彼女を襲っていた。
ホラーの返り血を浴びれば、100日で死が訪れる。
それも、あまりの辛さに気絶することもままならず、いっそひと思いに殺してくれと願うほどの地獄の苦しみを伴うという最期だというのだ。
ゴンザは彼女を思うと溜め息が出たものだ。
(うら若いお嬢さんが… 痛ましいことだ)
と。
薄幸な少女は、きっと儚くて華憐で…
そんな少女に、いよいよ会うのだ。
彼女の悲しい運命を気取られぬようしっかりと対応せねば、とゴンザは心に思いながら対面した。
…が、ゴンザの密かな決心は、会って早々粉々に砕けて散っていた。
この御月カオルという少女…
とにかく、元気なのだ。
頭ひとつ以上も背の高い鋼牙様に少しも臆することなく食ってかかっている!
しかも、あのザルバにもデコピンを食らわすとは!
その後も、大人しくしているものと思い、夕食の準備ができたと伝えに行けば、こっそりと屋敷を抜け出していたことに気づいたときは、ゴンザを真っ青にさせた。
後日、いきなり大荷物を持って、
「しばらくここに居させてください」
と押しかけられたときもびっくりさせられた。
「ちょっとだけでいいの。絵のモデルを… お願いっ!」
と、すごく無理のある姿勢で動くなと言われたときもある。
(あれは確か、「踊り狂う男」とかなんとかいうテーマだったか?)
とにかく、すべてにおいて、パワフルなのだ。
華奢な身体からは想像もつかないほどの、強く眩しい生命力に満ちている。
そんな彼女だから、ゴンザはごく早いうちに ’同情’ という感情は捨て去っていた。
そして、多分、それは鋼牙も同じなんだろうな、とゴンザは思っていた。
カオルとやいのやいのと言い合う様は、大河を亡くしてから初めて見せる、年齢に相応な素の姿に見えた。
ギャンギャン喚きたてるカオルに対して、うるさい、だの、やかましい、だの言いながらも、そのくせ、仕事から屋敷に帰れば
「あいつは?」
と、まずはカオルの身を案じる鋼牙。
それは、零との闘いでかなりダメージを食らいながらやっとの思いで屋敷に帰りついた日であってもそうなのだから、鋼牙の中での彼女の存在は大きくなっているのは間違いなかった。
だから…
だからこそ、なんとしてもカオルのことを助けたいとゴンザは思った。
彼女は鋼牙の大切な存在になりうるかもしれない、そんなふうに感じていた。
ただし。魔界騎士ではないゴンザは、彼女に襲いかかるホラーから剣で彼女を守れない。
だが、彼にしかできない彼なりのやり方で…
大河を失い、笑顔を封じ込めてしまった鋼牙に、二度と大切な存在を失わせないために…
ノートに綴られた短い文章で、当時の想いがありありとよみがえる。
はぁーっ
ゴンザは深く息を吐いた。
(よかった…
カオル様を救うことができて、ほんっとうによかった…)
しみじみとそう思ったゴンザは、わずかに黄ばんだページをそっとめくった。
to be continued(3へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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