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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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朧~おぼろ~(3)

初夢は、一般的に、1月2日から3日にかけて見る夢だそうですね。
そんな、1年の吉凶を占うような初夢ですが、カオルちゃんの夢は
いい夢なのか、はたまた悪い夢なのか…

いずれにしろ、 「カオルちゃんが見たかった夢」 とは、かけ離れたもので
あることは間違いないでしょうね。
夢の中でも逢いたい人ってのは、なかなか現れてくれませんものね。

さて、夢から覚めたカオルちゃんの後日談… 気になる方は続きをどうぞ。



拍手[24回]


:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

後日、冴島邸を尋ねた際のこと。

「カオル様は初夢をご覧になられましたか?」

何気なく尋ねたゴンザに、カオルは少し不機嫌にこう答えた。

「見たんだけどね…

 ぜ~~~ったいに現実にはありそうもないことだったの」

カオルの答えを聞いて、ゴンザは深く立ち入らないほうがよいと判断し、
早々にその話題を切り上げた。

「さようでございますか…

 あっ、わたくし、ちょっと玄関先の雪かきをしないと…」


キィィィ、パタン


ゴンザが部屋から出ていくと、鋼牙はカオルに尋ねた。

「現実にありそうにないとは、どういうことだ?」

(うわっ、バカ!
 それを聞くのか、鋼牙?)

ザルバは心の中で鋼牙にダメ出ししたが、同時に

(俺様は知~らない!)

と、無関係を決め込み、何も言わなかった。

てっきりカオルは怒り出すものとザルバは思っていたのだが、その予想に
反して、カオルは赤くなって黙り込んでしまった。

「どうした?」

鋼牙が追い打ちをかけるようにカオルに声をかける。
カオルはさらにちょっとの間、迷ったが、ついに決心したらしく、

「初夢のこと、聞きたい?」

と、鋼牙に尋ねた。
もったいぶったカオルの態度から、このときになって初めて、さすがの鋼牙も
普通じゃないことに気付いた。

「いや… 言いたくないのであれば言わなくていい…」

だが、当のカオルは、もはや鋼牙の返事に関係なく、すでに打ち明ける気に
なっていた。

「いいの、教えてあげる。
 でも、恥ずかしいから…

 ねっ、耳を貸して?」

そう言われて、鋼牙はためらいながらもカオルのほうに耳を差し出した。
カオルは小さく息を吸ってから、鋼牙の耳に手を添えて囁いた。

「あのね、夢の中で、あたしの胸がものすごく大きくなっていて…
 ほんとに、びっくりするぐらいに、なんだよ!

 亜佐美… あっ、友達なんだけど… は 『よかったね、男が注目するよ』
 って無責任に喜んだのね。
 ほんと、頭にきちゃう…

 そして、零くんはねぇ…
 最初 『太ったんじゃないか』 って勘違いして…
 えっと… それから… 最後には 『成長期なんだよ』 って慰めてくれたの」

「おめでたじゃないか?」 と零が言った箇所は、さすがにカオルも言えずに、
すっ飛ばして説明した。

話し終わったカオルは、鋼牙の耳から手を外し、鋼牙の様子を窺った。

話を聞いた鋼牙は、さっきのカオルの態度にも、話したがらなかった訳も
すべてに納得がいき、クククっと肩を震わせて忍びやかに笑った。

「んもぅ、なんてバカバカしい夢なんだって思ったでしょ?
 笑われるんじゃないかなぁ と思ったのよっ!

 …じゃあ、そういう鋼牙はどうなのよ?
 あたしと違って、いい夢を見たって言うの?
 ねぇっ、教えてよ!」

遠慮がちに笑い続ける鋼牙に、口をとがらせてカオルが詰め寄った。
そんなカオルをちらっと見て、鋼牙も

「耳を貸せ」

とカオルを引き寄せた。
カオルの耳に鋼牙の声が、あたたかな息とともに届く。

「俺は… 夢は見なかった…」

「!」

すぐに、カオルは鋼牙に詰め寄った。

「何それ! ほんとなの?」

鋼牙は黙ってうなずいた。
疑い深そうなカオルだったが、すぐにフッと表情を緩めて、

「…まっ、いっか!
 そういうことにしておいてあげる」

と言って笑顔になった。

人知れず闘いに明け暮れる鋼牙は、眠りにつくと、ほとんど夢を見ない。
いや、実際には見ていたのかもしれないが、朝、目覚めてしまえば、
黄金騎士としての日常が、夢の欠片(かけら)を粉々に蹴散らしてしまうのだ。

’夢’ というものには縁遠い鋼牙であったが、他愛もない夢の話を打ち明けて
明るく笑うカオルを見つめながら静かに思っていた。

(カオルがこんなふうに俺のそばで笑っている…

 それが、俺にとっては ’夢’ のようなことだと… そう思うんだ)



fin
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


最後までギャグで通したいとも思ったのですが、なぜだか、こんなふうに
なっちゃいました。
ギャグにした場合、どこにどうやって落ち着かせればいいのか
判らなかった…
これが、selfish の限界なのでしょう。
あぁ~、お笑いの道は遠い…  orz

クリスマスもお正月も魔戒騎士には関係ない(と思う)のですが、
カオルちゃんの見た初夢の話を聞いて笑い合う…
そんなフツ~のありふれた時間を愛しく思い、あったかい気持ちになる、
そんな鋼牙さんを書きたいなぁ~ ってことでしたっ

コメント
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無題
こんばんは、selfish様おぼろカオルちゃんの初夢、有難うございます。
零君が出てくるのに鋼牙が出てこない、少しぐらい、嫉妬してもいいのにな、そこが鋼牙らしいかな、ほっとするお話を感謝、私も鋼牙と同じで初夢見てない覚えてません、鋼牙と同じなのが嬉しいような、悲しいような複雑です。
かなまま 2013/01/10(Thu)23:19:41 編集
Re:無題
夢で逢いたいのに、なかなか思うようにはいかないところが、非現実な夢の世界らしいかな、と。
でも、鋼牙くんとカオルちゃんは、現実世界でも思うようには逢えないのでかわいそうではあるのですが、ね。

かなまま様は、初夢、ご覧にならなかったのですか?
selfish は、卒業式の夢を見ましたよ。
なぜだか、全員が白いバレーボールを1個ずつ持っていて、教室で卒業式の時間になるのを待ってました。 意味、わかんない… (笑)

夢は忘れるのがよいですよ。 充実した現実世界を送られている証拠ではないですか?
まぁ、妄想世界にどっぷり浸っている selfish が言っても、ちっとも重みはないでしょうけどね。 ははは。
【2013/01/11 08:27】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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