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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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さざなみ(5)

鋼牙さんとカオルちゃんの間に立った波風…

そんなに大したものじゃなくて、ほんのちょっとした ’さざなみ’ 程度
なのですが、これがなかなか消え去りません。

この悶々とした感じが好きでねぇ~
このまま終わらなくてもいいや って思ったりも…
それはいけませんね?  (苦笑)

鋼牙さんならどんなふうに動くのか?
カオルちゃんならどんなふうに動くのか?
selfish もふたりが動くのを待ってるんです。

そろそろ動いてくれないかな…




拍手[26回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ザルバを書斎の台座に戻し、鋼牙は風呂に入った。
闘いの後の冷え切った身体を、湯船でゆっくり解きほぐした。
白い湯気が充満した浴室でぼんやりと過ごす時間は、闘いに明け暮れる
鋼牙にとって、自分を無にできる貴重な時間だった。

風呂からあがると、清潔で肌触りのよいタオルで身体をぬぐう。
そして、これまた清潔に洗い上げられた肌着を身につけ、濡れた髪を
ワシワシと拭きながらキッチンに向かう。
電気も点けない暗いキッチンで、冷蔵庫を開けたとき、その眩しさに
顔をしかめる。
いつもの位置にいつものように用意されている水を手に取ると、
湯上りの乾いた身体に、クリアな水を落とし込む。

一息ついたところで、キッチンのテーブルの上の夜食が目に入る。
クロワッサンにローストビーフが挟んであった。

鋼牙自身はそれ程、空腹ではなかったが、少し考えてから、オーブンに
火を入れた。
そして、クロワッサンを天板に並べて温まりつつあったオーブンに
突っ込んだ。

シンクに寄りかかりながら、たまに水のボトルを傾けた。
しばらくすると、いいにおいが鋼牙の鼻腔をくすぐった。

(こんなもんか…)

オーブンを開けて天板を引き出すと、素早くクロワッサンを元の
皿に移した。
その皿を左手に持ち、鋼牙はキッチンを離れた。



鋼牙はカオルの部屋の前で足を止め、少し逡巡したが、こうして
いても皿の中身が冷めるばかりだ。

(よし…)

覚悟を決めて、ノックした。


 コンコンコン…


部屋にいたカオルは、真っ白なスケッチブックを抱えて、ぼぉっと
していた。
そこへ突然、ノックの音が響いたため、突然のことで声が出なかった。
恐らくこのノックの仕方は鋼牙のもの…
そう思うと、どう答えるべきか迷ってしまい、返事に躊躇してしまった。

しばらくすると、部屋の外から鋼牙の声が聞こえた。

「カオル?
 起きているか?

 ゴンザが夜食を作ってくれた…
 一緒に食べないか?」

カオルはようやく意を決すると、ドアをカチリと開け、

「う、うん…
 散らかっているけど… 入って…」

そう言いながら、おずおずとドアを大きく開け放った。
鋼牙の顔から視線をそらせたままのカオルに、鋼牙もわざと視線を
外した。

「あぁ」

部屋の中央まで足を進め、後ろから従ってくるカオルを振り返る。

「どうしよっか?
 ベッドの上にでも座ってもらってもいい?
 あっ、お皿持つね…」

カオルは鋼牙からお皿を受け取り、鋼牙は言われた通りベッドに
腰掛けた。

「うわぁ~
 これ、あったかいね?」

お皿に両手を添えたカオルが言った。

「あっためてきた…」

「えっ? 鋼牙があっためたの?」

「そんなに驚くことか?」

鋼牙は、目の前に立っているカオルを見上げた。

「えっ、あ、ううん… ちょっとびっくりしただけ」

「…?
 それは ’驚いた’ ってことなんじゃないのか?」

「あっ…  そうだね」

くすくすと笑い出したカオルを見つめ、鋼牙の目が優しくなった。
そんな鋼牙の視線に気づき、カオルはちょっとまごつきながらベッド前の
床にクッションを敷き、そこに座った。

「せっかくだから、冷めないうちに食べようか?」

「そうだな」

カオルは鋼牙のほうにお皿を差し出した。
鋼牙は手近なものをひとつつまみあげた。
カオルもひとつ手に持った。

合図をしたわけではないが、せ~のでかぶりつく。

「おいしい…」

カオルがしみじみ言った。

「そんなにうまいなら、残りを全部食ってもいいぞ」

鋼牙は素知らぬ顔でカオルに言った。

「やだ…
 さすがにそんなには食べられないって。

 でも、これ… レタスがクタクタだね。
 一緒にあっためちゃったんだね?」

少し意地悪そうな笑みを浮かべながら、カオルが鋼牙を覗き込む。

「そこまでは知らん…」

仏頂面の鋼牙を見て、カオルはまた、くすくす笑った。
軽口も出ながら、鋼牙とカオルはゴンザの作った夜食を平らげていった。

だが、皿が空になってしまうと、また沈黙が支配した。
空になったお皿を先程からずっと見つめていたカオルは、おずおずと
切り出した。

「あの… あたし、何か飲み物取ってくるね」

立ち上がりかけたカオルの腕を鋼牙は捕えた。

「えっ?」

驚いて鋼牙を振り向いたカオル。


to be continued(6へ)
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コメント
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ついに…
大人に戻った後の妄想。ありがとうございまッす!
ついに二人が向き合う様ですね。読んでて何だかドキドキしてます。
鋼牙が上手くカオルの気持ちを受け止めてくれたらなぁ…と思うばかりです。

あ、当ブログの件ですが、メアド要求を実験的に外してみました。
イタズラ・コメントが戻らなければ…なのですが。
CHIGAYA URL 2013/02/12(Tue)10:34:24 編集
Re:ついに…
うちの鋼牙さん、ぶきっちょさんなので、カオルちゃんを受け止め切れるか… (心配だぁ)
ふたりとも大人なので、どうするのか、どうしたいのかは本人たちに任せてます。
で、ふたりに任せた結果、なんだかみなさんをやきもきさせているみたいですね。
(これは… ふたりに責任転嫁しているのか!?)

メアドの件、イタズラ予防なのかな~ とは思っていたのですが、やっぱりそうですか。
でも、selfish がやったように、すり抜けようと思えばすり抜けられますよねぇ?
あとは、イタズラコメントをブロックする設定を工夫してみる、とかでしょうか。
よく使われるキーワードを登録したり、ホスト名を登録したり…
ただ、ホスト名の場合、同じホスト名のイタズラじゃないコメントもブロックされてしまうので注意が必要ですけど。
なんにしろ、イタズラをブロックするために労力を投じるのは嫌なもんですね。
これ以上イタズラがないといいですねぇ。
【2013/02/12 19:54】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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