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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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さらさら揺れる君の願い(おまけ)

まぁ~ どうしましょう!
読み切り1本勝負(?)だったはずなのに、七夕記念(?)妄想の「さらさら揺れる君の願い」に「to be continued」と書いてしまってます。 Σ(゚Д゚) ガ~ン!


こりゃあ、何か続きを書かないとよろしくない気がしてきました…
う~ん…  う~~~ん… (~_~;)

拍手[35回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

いつものようにホラーを探し当て、いつものように牙狼剣で切り、陰我に縛られた哀しい魂を鋼牙は救った。
その足で元老院へ向かい、さっさと報告を済ませると、鋼牙は帰宅の途についた。

七夕だというのに生憎の天気で、夜目の利く鋼牙がいくら目をこらしても、空に見えるのは数えるほどの星だけだった。

(カオルは、残念がってるだろうな)

などと思いながら、鋼牙自身もまた少し残念な気がしていた。
だが、屋敷の前まで来たところで笹飾りが見えると、思わず鋼牙の表情も緩んだ。




「おかえりなさいませ」

夜もすっかり更けたというのに、執事はいつもと変わらず穏やかに鋼牙を迎えた。
血の繋がりこそなかったが、この執事は、鋼牙の身を心底心配してくれている。
それを鋼牙はよく知っているからこそ、ゴンザの顔を見ると「屋敷に帰って来た」と思え、安堵するのだ。

「遅くまでいつもすまないな」

「いえ、そのようなことは…」

ゴンザは主人の労(ねぎら)いを慎み深く受け、次に来るであろう言葉を待った。

「カオルは?」

予想通りの言葉に内心ニヤリとしながらも、表面的には素知らぬ顔でゴンザは答える。

「はい、もうお部屋でお休みかと思われます」

「そうか…

 ゴンザ、おまえももう休んでいいぞ」

「はい、それでは失礼いたします。
 お休みなさいませ、鋼牙様」

「あぁ、おやすみ…」



ゴンザと別れて鋼牙は風呂に入った。
一日の疲れを風呂で流した鋼牙は、よく冷えたミネラルウォーターを持って自分の部屋へと向かう。
ほんとうは、カオルの部屋へ行って一目顔を見たい気もしたが、

(やめておこう…)

そう心の中で呟いた。
カオルの顔を見てしまえば、そのまま黙って部屋を出るのがつらく感じるだろう。
そうなれば、せっかく気持ちよく寝ているカオルを起こしてしまう。
それでは、カオルが可哀相だ。

階段を上りながらそんなことを考え、真っ直ぐに自分の部屋へと向かう。
自分の部屋のドアを開けて、きれいにベッドメイクされたベッドの端に鋼牙は腰を降ろした。
ペットボトルの口をクイっと捻り、クリアな液体をごくごくと喉に流し込むと、何の味もしないはずの水がたまらなくうまいと感じられた。
身体の渇きを癒した後、ペットボトルをベッドサイドのテーブルに置き、その脇にあるスタンドをつけた。
そうして、部屋の明かりを落としてしまえば、鋼牙はもう魔戒騎士でも、冴島家の当主でもなくなる。
ただの電池が切れた男だ。

のそのそと布団の間に潜り込もうとして、指の先に何かが触れた。

「ん?」

怪訝な顔で触れたものをつまみ上げてみると、何の変哲もない四角い紙きれのようだった。
スタンドのそばでよく見ると、それはどうやら淡い紫色の短冊のようで、ひっくり返すとカオルの字が目に飛び込んできた。


  ほんとだね。あたしもだよ!


短冊に書かれた短い文面を、一瞬なんのことなのか理解できずにいた鋼牙だったが、ひとつだけ思い当たることがあった。

「鋼牙も書いてね」

とカオルに渡された短冊だ。

その短冊に何を書こうか、
鋼牙は散々迷った。
迷いに迷って、最終的に鋼牙が書いたのは…


  じゅうぶんしあわせだ


こんなものは
短冊に書くようなことではない。お願いごとでもなんでもないからだ。
あまりに奇妙なことを書いてしまったために、鋼牙は誰にも読まれないように笹飾りの一番てっぺんにそれを飾っておいた。

(あの短冊を、カオルは読んだのか?)




願うことなど何もない。
闘いに明け暮れるだけだった自分のような者を、温かく迎えてくれる人がいる。
カオルがいて、ゴンザがいて… 俺は今のままでほんとうに、ほんとうに十分だ。

だが、彼女は違うだろう。ごくごく普通の、魔界とはなんの関係もない(なかった)人間の女性だ。
いつ闘いの中で果てるかもしれない自分のことを、待つことしかできないカオルの寂しさは、如何ばかりか計り知れない。
それなのに…


  ほんとだね。あたしもだよ!

カオルはなんでもない調子で「あたしもしあわせだ」と言ってくれる。
そんなカオルに、鋼牙はたまらないほどの愛しさがこみあげた。


鋼牙は短冊を握りしめて部屋を出た。
向かうのは… 言わずと知れたことだろう。
魔戒騎士の中でも最強と称えられる鋼牙には、星に願いを込めるよりも、愛しい人を抱き寄せておのれの腕の中に閉じ込めるほうが、ずっとずっとお似合いなのだから。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

いやぁ。
今年こそは7月7日の当日に書くことはないぞ! と思っていたのですが、「おまけ」を書いちゃいましたね。
ま、そんなドタバタが selfish にはお似合いなのでしょう。 (^▽^;)

鋼牙さんの短冊の内容を、読み手の皆様にご自由に妄想してもらおうと思って、わざと書かずにおいたのですが、「おまけ」ではひとつの解答例として書いてみました。


  じゅうぶんしあわせだ


どうでしょうか?

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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