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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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遅れてきたメリークリスマス(1)

クリスマスにはもう間に合いませんが、今からでもいいでしょうか?
どうしてこう、前もって行動(妄想)できないのかな~ まったく!
…と自分でも呆れます。
「もうしょうがないなぁ~」と笑って許せる方に、遅過ぎますが、メリークリスマス!

しかも、なんだかな~ 1回では終わんなかったよ…
年越しまでお付き合いいただけますぅ?

拍手[20回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

イルミネーションが輝きだした街。
冴え冴えと冷え切った空気を気にもとめず、カオルは歩いていた。
いつもよりきれいにヘアを整え、いつもより入念にメイクをして、おろしたてのワンピースにコートを羽織り、キラキラのピアスをつけてピカピカのヒールで歩く彼女は、輝くような笑顔に溢れ、スキップでもしかねないくらい上機嫌だった。

(鋼牙とデート! デートだよ~

 どこに行こうかなぁ…
 映画? ショッピング?
 ううん、鋼牙とならどこでもいい! …なんて、ね? うふっ♡)

昨日までとは打って変わって、なんとなく人通りの少ない大通り。
それもそのはず、今日はクリスマスの翌日なのだ。
クリスマスと週末が重なり、家族や恋人と素敵な時間を過ごした世間の人たちは、昨日の疲れを引きづりつつ、仕事をし、あともう少しで勤務時間が終わりそうなそんな時間だった。

金色に輝くイルミネーションの見える、大きな通りから少し入ったところにある小さな公園の入り口で、カオルは鋼牙を待っていた。
昨晩遅くに仕事を終えた鋼牙は、今朝も通常通り、オブジェの浄化に出掛けて行った。
みんなが心待ちにしているきらめくクリスマスの陰には、いつも以上に暗く深い「影」が存在するものらしい。
その「影」を断ち切り、封じ込め、光の下(もと)へと解き放つのが、鋼牙たち魔戒騎士の役目。
今日も、ぎりぎりまで陰我の芽を摘み取ってから、カオルと外で待ち合わせすることになっていた。

(あっ、鋼牙!)

通りの向こう側から歩いて来る長身の男に気付いて、カオルの顔がパッと輝く。

「待たせたか?」

カオルの目の前に立った鋼牙が、カオルを気遣った。

「ううん、あたしも今来たとこ!」

カオルは見上げるようにして鋼牙に返事した。

「ね、これからどうする?
 行きたいところとかあるかな?
 あ、それともお腹すいた?」

カオルはウキウキと訊く。

「そうだな…」

これからの時間が楽しみでしょうがないといったカオルを、鋼牙は優しい顔で見下ろしながらそう言ったとき、

『鋼牙…』

と遠慮がちなザルバの声が…
鋼牙はザルバにちらっと視線をやり、黙ってうなずく。

『悪いな、カオル。
 野暮用ができちまった…』

鋼牙の代わりにザルバが謝る。
すると、みるまにしぼんでいくカオルの表情。
それでも、次の瞬間には笑顔をつくり、

「あ、うん。
 あたしなら大丈夫だから…

 鋼牙もザルバも頑張ってね!」

と言った。
その姿を切なげに見つめる鋼牙に、カオルはなおも、

「ほんと、気にしないで!
 その代わり、また別の日にちゃんと付き合ってもらうからね!」

と健気に言う。
そんなカオルに、いつもなら、すまないと言って去っていく鋼牙だったが、今夜は少し違っていた。

「カオル、ケータイを出せ」

「え?」

戸惑いつつもケータイを出したカオルに、

「ゴンザに電話しろ。すぐに、だ」

と鋼牙は言った。
カオルは怪訝に思いながらも冴島家へとコールすると、すぐにゴンザは電話に出た。

「あ、ゴンザさん? あたし、カオルで…」

カオルに「す」と言う間も与えずに、鋼牙はカオルからケータイを奪うと、

「俺だ。今すぐカオルを迎えに来てくれ。
 …
 ああ、そうだ。落ち合う場所は、カオルと決めてくれればいい。
 …
 では、頼んだぞ」

と、必要最低限の話をゴンザとしたうえで、ケータイをカオルに返した。

「真っ直ぐ帰るんだ。いいな?
 この埋め合わせは必ずするから… じゃあな」

そう言うと、鋼牙は足早にその場を離れた。
その姿はあっという間に消えていき、あとにはカオルの溜め息だけが残された。

「んもう、せっかくおしゃれしてきたのに!」

いなくなってしまった鋼牙に対して、歯を剥き出して「いーっ」と口を大きく横に広げてみせてから、カオルはケータイを耳に当てた。

「あ、ゴンザさん、ごめんなさい。
 …
 うん、じゃ、お願いします…」

ゴンザとこの後の行動を打ち合わせておいて、電話を切った。

「あーあ…」

再び大きな溜め息をついたカオルは、暗さが増して一層輝きの増したイルミネーションを見上げた。
その明かりはとても美しかったが、カオルの目には少しだけ滲んで見えていた。


to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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