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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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最近の’お礼’

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何にする?(3)

見切り発車で始めちゃったから、オチを探してウロウロ…
困った困ったと悩んでいたら、アップが1日ずれちゃいました!
あはは、ごめんなさーい!


拍手[11回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

(うーん、気持ちいい~♪)

温風に弄ばれるようにカオルの髪が躍っている。


最初のうちは、ブラシを使ってなんともぎこちない手つきで髪を撫ですかしていた鋼牙だったが、結局は扱いなれないことに焦れてしまってブラシを放り投げ、大きな、決して繊細とは言えない骨ばった手でガシガシとカオルの髪を掻きまわすに至った。
けれども、その遠慮のない… ようにみえて、実は絡まらないようそれとなく気遣ってくれている鋼牙の手のほうが、カオルにとってはずっとずーっと気持ちよく感じられた。

ただし…




  カチッ

ドライヤーのスイッチが切られた。

「できたぞ」

という鋼牙の声に、にっこり笑って

「ありがと~」

と礼を言ったカオルが仕上がりをチェックしようと鏡を見た瞬間、カオルの顔から笑顔が消えた。

確かに、髪は乾いていた。乾いていたが、なんというか、その… ボサボサだった。
とはいえ、せっかく鋼牙が乾かしてくれたのだ。
思わずこぼれそうになった溜息をすんでのところで飲み込んだカオルは、鋼牙の放り出したブラシを手に取って、気持ちばかり撫でつけてみた。

(はぁ… だめだ。
 あとでまた、乾かし直そう…)

心の中でそう決めたカオルは、鋼牙を振り返った。

「これで2つだな。残り1つはなんだ?」

そう言いながら、鋼牙はベッド脇にあるサイドテーブルの上のアンティーク調な置き時計に目をやった。
それに釣られてカオルも見ると、タイムリミットまで残り10分と少々といった時間が確認できた。

「ああ、3つの目お願いよねぇ…」

そう言いながら、カオルは思案顔となる。




鋼牙にかなえてもらいたい願いならたくさんある。

  いつも一緒にごはんが食べたいな…
  どこか旅行にも行きたいし…
  絵のモデルにもなってほしい…

そんな他愛のないものから、

  怪我はしてほしくないなぁ…
  必ず無事に帰ってきて…

とても切実なものまで。
そして、

  いつまでもあたしのことを好きでいてほしい…
  いつか… いつか、鋼牙の赤ちゃん、産みたい、な…

口にするには恥ずかしくてとても言えないようなものもあるのだった。

こんなふうに、鋼牙にだからこそ叶えてほしいお願いはたくさんある。
でも、大切なお願いであればあるほど、罰ゲームなんかのお願いとしてしまうことに抵抗があった。

カオルはすうっと息を吸うと、鋼牙を真正面から見つめた。

「3つ目のお願いは… もういいの。やめておくわ。
 お願いは2つまでで十分だから…」

それを聞いて、鋼牙の眉間がわずかに寄せられる。

「ほんとにいいのか?」

「うん」

「だが… あと、5分あるぞ?」

再び、時計に目を走らせた鋼牙が、今ならまだ間に合うぞ、と念を押すように言ってきた。

「んー、じゃあ、その5分は…」

そう言うとカオルはゆっくりと鋼牙に近づき、少しはにかみながら鋼牙の腰に手を回して胸に顔を埋(うず)め、

「こうしていて、いい?」

と小さな声で言った。
柔らかなカオルの拘束をじんわりと受け止めながら、鋼牙は

「ああ」

と返事をして、カオル身体を優しく抱きしめる。

「’こんなこと’ でいいのか?」

「うん、’こんなこと’ でいいの…」

そうして、しばらくの間、静寂に包まれる。
ただ、鋼牙の手が、カオルの髪を撫でる動きだけがゆっくりと繰り返されていた。





(この時間が永遠になればいい…)

鋼牙はそんなふうに思っていた。
カオルに出会うまでは、’倒すべき存在’ だけを意識し、’闘うこと’ が鋼牙の全てだった。
だが、彼女と出会い、’守りたいという想い’ を知り、’愛しいという感情’ を覚えた。

闘いの日々の中で立ち止まることなど知らずにいた自分が、帰るべき場所を持ち、そこで癒されることに喜びを感じていることに、不思議な感慨を覚える。
鋼牙は思わず、フッと自嘲気味に笑っていた。

(それは俺の ’弱さ’ だろうか?)

安息の場所を持つことで、それまでに培ってきた ’強さ’ に陰りが生じてしまっただろうかと、ふと思った。

(いや…)

鋼牙はすぐにそれを否定する。決してそのようなことはない、と。
それがあるからこそ、新たな闘いの地へと力強く踏み出すことができているのだと、そう強く思えたから…

(カオル…)

出会った頃には思いもしなかったほど、彼女は鋼牙の中で大きな存在となった。
そんなことを思いながら、鋼牙は腕の中の華奢な身体をぎゅっと抱きしめた。




(はぁ、落ち着く…)

鋼牙の腕の中で目を閉じていたカオルだったが、ハッと気づいた。
鋼牙の胸から顔をあげて時計を確認すると、長針はすでに天頂を過ぎていた。

「あっ、もう時間切れだね!」

できればもう少し、と思わないでもなかったが、その未練を断ち切ろうと、わざと明るく言ったカオルが、鋼牙の腕の中から出ようとした。
けれども、それは叶わなかった。
カオルの身体をしっかりとホールドした鋼牙が、彼女を離さなかったからだ。

「鋼牙?」

戸惑いがちに鋼牙を見上げるカオルに、鋼牙の熱くなったまなざしが注がれていて、思わず息を飲む。

「ここにいろといったはずだ」

そんな強気な言葉が出たかと思うと、すぐに小さな声で付け加えられた。

「…今はとても離せそうにない」

それを聞いて、カオルが泣き出しそうな笑顔になり、鋼牙の首にぶら下がる。
そして…

「うん、離してほしくない…」

と言う。
そんなカオルの素直でかわいい反応に、鋼牙はカオルを抱きしめたまま、ベッドに倒れ込む。
カオルを上から見下ろす鋼牙は、乱れてしまった彼女の髪を優しく撫でて言う。
「一晩中でも、か?」

「えっ」

「おまえを一晩中離さなくてもいいのか?」

「///」

予想もしなかった艶っぽく甘すぎる言葉に、カオルはみるみるうちに赤くなっていった。
恥ずかしくって、照れ臭くって、でもとっても嬉しくって、とても鋼牙とは視線を合わせられず、鋼牙の問いにも答えられないカオル。
鋼牙は彼女の耳元に唇を寄せると、

「時間切れだ。
 ’許容’ とみなすぞ」

と、身体の芯に響くような魅惑的な声でカオルを震えさせ、そのまま耳を食(は)み、彼女に甘い吐息をこぼれさせた。







翌朝。
カオルがゆっくりと目を開けると、こちらを見ている鋼牙の顔が見えた。
その穏やかな表情に、カオルも自然に笑みが浮かぶ。
それを見て一層目を細めた鋼牙が

「おはよう…」

と言い、カオルも少しかすれた声で

「…おはよう」

と答えた。

とてもとてもしあわせな朝。
カオルは甘えるように、鋼牙の胸に擦り寄ると、鋼牙もカオルの背に腕を回し、しっかりと抱きしめる。

そんなふうにして、お互いの体温を心地よく感じていたとき、カオルが突然、くすくすと笑いだした。

「なんだ?」

訝しむ鋼牙に、カオルは顔をあげる。
その表情は何かイタズラでも企む子供のようだ。

「ちょっとね、昨日のことを思い出してて…」

(なんだかとっても鋼牙が甘かったな)

そして、こう言った。

「3つめのお願いなんだけど、’明日またオセロで勝負して!’って言えばよかったなぁ~
 あ~あ、失敗しちゃったぁ!」

ふふふ、と楽しそうに笑うカオルに反して、鋼牙は難しい顔だ。

「次は必ず勝ってやる!
 …だが、当分の間はお断りだ」

そんな鋼牙を見て、カオルは再び吹き出した。
すると、鋼牙はむっとしてカオルの頬をムニッと挟むと、カオルの唇はタコのように突き出される格好となった。

「んむぅーっ(んもうっ)」

カオルは鋼牙の胸を叩いて、やめてくれるよう訴える。
大人げなくも、こどものように戯れて笑い合う朝のひととき。
最後に、チュッと触れるだけのキスを重ねて、えいやっと勢いづけてふたりは起きた。

ほんとうに、幸せな朝だった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


あんまり、ちゃんとオチませんでしたが、ま、こんな感じで… へへへ

当初から、鋼牙さんが素直にお願いを聞いてくれるもんなんだろうか、というのが気にはなってましたが、まぁ、負けず嫌いなところがあって「約束は約束だ!」と割り切ってくれるんじゃないかなぁ(そうあってほしいな~)ということで、こんなふうに書いてみました。

ふふふ、あなただったら、鋼牙さんに何をお願いしますか?
そんな妄想もぜひぜひ楽しんでみてくださーい!
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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