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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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たったひとつ(1)

久しぶりに原作のスキマを妄想

二期に入ると、妄想ポイントがあまりないですね。

なので、大事に妄想しなきゃと思うのですが、やっぱり勢いに任せてしまう
ダメな人です、はい。

ダメダメ感もひっくるめて、すべて許しましょう! って方だけ、どうぞ。


拍手[22回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

カオルの描いた壁画を見上げながら、カオルがそっと出した手を、
鋼牙の手が優しく握った。
カオルは、鋼牙の手のぬくもりを感じながら、鋼牙が長い旅から無事に
帰ってきたことの喜びを改めて噛み締めた。

そのとき…
唐突に、この何ヶ月かのことが頭をよぎった。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「1週間ほど戻らない」

鋼牙はそう言って屋敷を出たきり、ひと月過ぎても戻ってこなかった。
なかなか帰らない鋼牙を、カオルは、ゴンザとふたり、広い屋敷で
待ち続けた。

朝、目が覚めれば、玄関先から外へと向かう小道までが見通せる窓に
飛びつき、鋼牙の姿を探し、夜、寝るときにも、同じように窓の外を眺めた。

そして、時には月に、時には星に、時には光のまったくない闇夜にさえ

「鋼牙が無事に帰ってきますように…」

と祈ってから、冷たい心を抱えてベッドに就くのが日課になっていた。

ゴンザも、もちろん、鋼牙を心配したが、日に日に元気を無くしていく
カオルのことのほうが余程気に掛かり、あちこちに手を尽くして鋼牙の
行方を捜してみた。
すると、元老院からの指令で、7体の使途ホラー殲滅(せんめつ)の旅に
出たと判るのに、そう時間はかからなかった。

なぜ戻らないのか判ったものの、あちこちの管轄にいる7体ものホラーを
相手にするのだから、いかに黄金騎士と言えども、そう簡単には帰っては
これないだろう、と容易に想像がついた。
しかも、相手は並みのホラーよりも高い知能を持ち、何人もの魔界騎士や
魔界法師が敗れ去っているという ’使途ホラー’ だ。
元老院が直々(じきじき)に出した指令という点からも、解決の難しさが
解ろうというものだ。

鋼牙が無事に帰ってこれるのかさえ、ゴンザにも確信は持てなかった。

そのため、ゴンザは、カオルに心配をかけさせぬよう、’使途ホラー’ が
どういうものかという部分は伏せて、カオルに指令のことを告げたが、
それでも、カオルの気持ちはあまり晴れなかった。

なぜなら、いつ、何をしていても、

(今、鋼牙が闘っているのかもしれない…)

(ひょっとしたら、怪我をして苦しんでいるかも…)

と、つい考えてしまうからだった。



「カオル様らしくありませんよ。
 元気を出してくださいませ」

思い余ったゴンザが、そう励ましたこともあったが、カオルには、
「自分らしさとは何なのか」 さえ、わからなくなっていた。

(鋼牙に出会う前は、誰かのことが心配で、何も手につかなくなること
 なんてなかったのに…

 あれっ?
 鋼牙に出会う前の自分って、どんなだったっけ?)

自分を見失ったような落ち着かない状態に、さらに焦りを覚えて、
息苦しささえ覚える。

そんなときだった。
何気なく手にとったタウン誌の片隅に、壁画の原画を募集している、
という記事を見つけた。

カオルは、すぐに、描いてみたいと思った。
自分ができること… それは、絵を描くことだと、やっと思い出したのだ。

何かに打ち込むことで、不安につぶれそうな心を奮い立たせたかったし、
何よりも、絵を描くことで、鋼牙にエールを送れるんじゃないか?
そう思ったのだ。

(無事でいてほしい…
 たとえ、異国の地にあっても、雄々しく神々しく輝き、空翔けてほしい)

そういう気持ちを込めて、カオルは一心に描いた。

その想いが伝わったのか、数ある作品の中からカオルのものが見事に
選ばれ、ここに壁画として描かれることになったのだ。


(そんなあたしの気持ち、鋼牙に伝わっているのかな?)

壁画を仰ぎ見る鋼牙の横顔を、そっと見る。
鋼牙がその視線に気づき、ふっとカオルのほうを見る。

カオルは慌てて何かを言おうとした。

(言いたかった言葉があったはず… あっ、思い出した!)



「おかえり」

カオルは、噛み締めるように言った。
ずっと言いたかった一言だった。
鋼牙は、柔らかい表情を浮かべた。

「ただいま」

それは、たった一言なのに、この数ヶ月間、ずっと言えないでいた言葉…



(やっと、言えた…)

カオルは泣き笑いのような表情を浮かべ、鋼牙をそれを見つめながら、
ふたりして、同じように思っていた。



to be continued(2へ)
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コメント
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はじめまして
初めて書き込みしますLeaderと申します。お見知りおきくださいませ。
牙狼ファン歴が浅い私ですが、確かにTV1期より2期は隙がない感じで、あれこれ膨らませるのって大変そうだなぁと思いました。

今回のお話はとにかく続きが気になって仕方ない!!
こういう雰囲気のお話大好きです。
続きを楽しみにしております。
Leader 2012/11/01(Thu)21:54:03 編集
Re:はじめまして
Leader様、初コメントありがとうございます!
コメントいただけて、とっても嬉しいです!

うふふ、二期のスキマを妄想するのは大変? って聞かれたら、そう大変でもないんじゃないかな~って思ってますよ。
あ、いや、なんとなくそう思うだけですけどね。
鋼牙がいて、カオルがいれば、それだけで、selfish の頭の中に花が咲いちゃうのですよ!
ビョ~キです… (苦笑)

ところで…
「こういう雰囲気」って具体的にはどんなことなんでしょうね?
(どんな雰囲気なんだろ?)
書いている本人にしてみると、何かを狙って書いてるわけじゃないんですよ。
「こんなふうにしか書けん~」って具合なんです。

続きが、Leader様の期待通りかはわかりませんが、楽しんでいただけたら嬉しいですっ
【2012/11/02 22:31】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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