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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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悲しみの色(1)

第10話「秘密」を見たときから、

「この話の後は絶対妄想する!」

と、そう思ってましたぁ!

10話の妄想を書くのは、まだ早すぎるのかもしれないのですが、もう
書きたくてたまらないので書いちゃいます。

ただ…
いざ書き始めてみると、毎度のごとく、話の流れがどんどん変わって
いってるんですよねぇ~
まさか、「悲しみの色」なんていうタイトルがつくとは思いもせず…

どんなものになるかを、その目で確かめたい方 (そして、selfish の
勝手な妄想を笑って許してくれる方) は、どうぞご覧ください。



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

鋼牙は、疲れた身体を書斎の椅子に沈めて目を閉じた。
ズフォーマーを待ち続ける忍耐が求められた本日の闘いによって、
鋼牙の精神力はずいぶん擦り減っていた。

どのくらいそうしていたか… ふと、電話が鳴っているのが聞こえた。

冴島家の電話が鳴ることは、そうはないことだ。
宣伝や営業関係の電話などは皆無だし、鋼牙や零がかけてくるのは
余程のときだけ。
そうでないとすれば…

鋼牙は、霊獣の絵の礼を言っておこうと、椅子から身体を剥がすようにして
立ち上がると、書斎を出て廊下を進んだ。

「もしもし、冴島でございます」

執事のゴンザの落ち着いた声が聞こえてくる。
ゴンザも、電話の相手はカオルだと思いながら出たであろう。

だが、次の瞬間、ゴンザの声が緊迫感を孕んだものに変わった。

「カオル様、いかがなされたのです!
 カオル様っ」

鋼牙は足を速めた。

「あっ、鋼牙様っ
 カオル様の様子が…」

そう言いながら、ゴンザが受話器を差し出す。

「カオルっ」

心のうちの焦りを押さえ込んだ鋼牙の声が呼びかける。

「た… たすけ… て…
 もう… だ… め…
 こぉが…」

泣き出しそうな、震える声が受話器から流れた。

「今、何処だ」

的確な問いを、短い言葉で尋ねる。

「ちか…く… のコン… ビ…… ニ…」

最後の「ニ」を聞くか聞かないかのうちに…

「待ってろ。
 今、行くっ」

受話器を置き、鋼牙は玄関へと急いだ。

「鋼牙様、お待ちください!」

振り返ると、鋼牙を追いかけてゴンザが走ってきた。
手には、台座に収まっているザルバがあった。

「すまない、ゴンザ…」

鋼牙は、ゴンザからザルバを受け取ると、玄関ドアを開けて、またたく間に
夜の闇に溶け込んで行った。

後には、心配そうに見送るゴンザがぽつんと残った。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

カオルのアパートの近くにあるコンビニまで来てみたものの、店内にも、
表の駐車場にもカオルの姿はなかった。

「ザルバ…」

鋼牙は、相棒にカオルの探索を頼もうとすると、

『もう、始めてる。
 ちょっと待ってろ』

長い付き合いのザルバには、何も言わなくてもするべきことが判っていた。

『鋼牙、近いぞ。
 右手の路地に入ってくれ』

「…」

鋼牙のほうも、返事をする代わりに足早に歩き出した。
路地に入ってから、そう何歩も歩かないうちに、とあるアパートの入り口
脇にある茂みの影を見ろ、とサルバが指示した。

「カオル…」

心底安心したような声で、鋼牙は声を掛けた。
茂みの影には、目をきつく閉じ、耳をふさぐような状態でしゃがみこんだ
カオルの姿があった。

鋼牙はそっとカオルの肩に手をかけると、カオルはびくりと身体を震わせ、
おびえきった目で鋼牙を見上げた。

「こぉが…」

立ち上がろうとしたが、ずっとしゃがみこんでいたと見えて、膝が思うように
伸ばせず、飛びつくような格好で鋼牙の胸にしがみつく格好になった。

「どうしたんだ、カオル」

「ごめんなさい…
 えっと…
 あのね…」

カオルはまだ混乱しているような状態で、うまく説明できなかった。
変わりにザルバが鋼牙に言う。

『カオルがもう少し落ち着くまで待ってやったらどうだ、鋼牙』

「そうだな…」

鋼牙は、カオルを胸に抱いたままじっとしていることにした。
通りのほうを背にしていたので、もし、そこに人が通りかかったとしても
鋼牙のコートの中にすっぽり納まっているカオルには誰も気づかなかった
に違いない。

鋼牙に抱かれていても、最初のうちは小刻みな奮えが止まらず、浅い呼吸を
繰り返していたカオルだったが、そのうち、規則正しくゆっくりとした息遣いに
なり、頬にも赤みが差してきた。

「カオル?」

「うん、もう大丈夫」

そう言うと、カオルは鋼牙の胸を少し押すような素振りをし、鋼牙の顔を
仰ぎ見た。



to be continued(2へ)
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コメント
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気になります…。
いつも素晴らしい作品を読ませていただきまして、ありがとうございます。

今回のお話も、わくわく・ドキドキで、余りにも気になるところで to be continued…になってしまい、
気になって寝られなくなりそうです。(笑)

続きを楽しみにしています。(*^O^*)
syo 2012/11/05(Mon)00:09:00 編集
Re:気になります…。
いつも行き当たりばったりな妄想にお付き合いいただいてありがとうございます。
ほんとに、真面目に告白しますが、「勢い」だけで書いてますっ! (断言!)
なので、嘘偽りなく、selfish 自身が一番ドキドキしながら自分の書いたものを読んでます。
(え~っ、そうなっちゃうの? って)

他のサイト様の1話より、ずっと短いところで ぷつっ とを切っちゃうので、読んでいる人はもどかしいだろうな~と思うのですが、このくらいの長さで selfish の 「勢い」 がなくなるんです… (苦笑)

「勢い」をチャージしながら、 selfish のペースで書いていきますので、また、お付き合いくださいませ。
そんでもって、syo様が 「これ好き」 っていう妄想がありましたら、また教えてくださいね。
【2012/11/05 22:38】
無題
こんばんは、11月になって、続けのアップ、毎日が楽しみです、読みきりでなくつづきものは、次が読めるたのしみと、つぎのてんかいを、想像する推理、マアこれは、想像力、0には、歯がゆい時間ですが待つ楽しみ、読める楽しみでまってます。
かなまま 2012/11/06(Tue)18:36:32 編集
Re:無題
10月の1ヶ月間、出稼ぎ先で真面目に仕事を頑張ったんですよ~
(あれっ、いつも頑張っていないみたいに聞こえちゃいました?)
そのお陰で11月は少し余裕が出てきました。
そうすると、いろいろ出てきちゃうんですね~ 妄想が。 (笑)

設定とか構成とかあんまり考えずに勢いで書くので、だ~って書いて疲れたところで 「to be continued」 となります。
そういったワケで、連載になるか読み切りになるかは、書いてみないことには判らないという、困った執筆スタイルが定着してしまっています。

selfish は、自分の書いた妄想から、みなさんがさらにいろいろ楽しく妄想してくれるといいな~って思っているので、かなまま様もお好きなように妄想してくださいね!
【2012/11/06 22:27】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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