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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

最近の’妄想’
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最近の’お礼’

悲しみの色(2)

ちょっと、もう、どうしよう…

ほんとうは、昨日、公開しようと思ってたんですが、いろんな用事が
重なっちゃってずるずると…

怒ってます? 怒ってます?
いやいや、そんなことより、はやく妄想を! ですよね。



ただ…

まだ、ちょっと 「結末」 が見えてこない… な~んて言ったら、やっぱ、
怒ります? そろそろ、怒っちゃいます?


一緒に悶々としてくれると嬉しいんだけどな…



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落ち着きを取り戻したカオルは、なぜ、自分がこんなにも怯えていたのかを
話し出そうとしてた。
が、鋼牙の斜め後ろにある電柱のてっぺん辺りを見たとき、

「あっ」

と言ったきり言葉を飲み込み、再び、鋼牙の胸に顔を埋(うず)めた。

「どうした?」

と聞く鋼牙と

『あれが見えるのか? カオル?』

と尋ねるザルバの声が重なった。

「どういうことだ、ザルバ」

左手を持ち上げ、鋼牙はザルバに尋ねる。

『カオルの視線の先… お前の後ろにある電柱の上には、ごく弱いが
 邪気の塊(かたまり)がある。
 どうも、カオルにはそれが見えてるみたいだぜ』

(普通の人間には見えることのない邪気のかたまりが?
 なぜカオルにそれが見えるのか…)

鋼牙もザルバもそのことを不思議に思った。
そのとき、カオルが少しだけ、鋼牙の胸から顔を起こし。

「あのね、今日、レオくんが霊獣を見に行くっていうから、無理にお願いして
 連れて行ってもらったの…」

書斎のボードに留めてあったカオルの絵。
あれは、レオと一緒に見た霊獣を描いたものだった。

「それでね出発する前に、五感を鋭くするっていう秘薬を飲んだの…」

それで合点がいった。
だから、カオルには電柱の上に巣くう邪気の塊が見えたのだ。

「だったら、なぜ、家でおとなしくしていないんだ」

少し咎(とが)めるように鋼牙が言った。

「うっ、ごめん…

 あのね、レオくんはね、ちゃんとアパートまで送ってくれたんだよ。
 それでね、

 『今日は、もう部屋から出ないでください。
  まだ、秘薬の効果が残っていますから…
  明日の朝には、秘薬の効果は消えるので、それまでは外に出ては
  駄目ですよ』

 って、ちゃんと教えてくれたんだけど…

 あたし、霊獣の絵が描けたら、早く鋼牙に見せたくなっちゃって…
 それで、レオくんの言ったことすっかり忘れちゃって、部屋を
 飛び出しちゃったの…

 行きはまだ明るくてよかったんだけど、帰りになったらなんだか変なものが
 どんどん見えちゃって… それで…」

そこまでを一気に言ったカオルは、ぶるっと身震いをひとつした。

今いる場所から、カオルのアパートまでは残り100数十メートルという
場所だった。
だが、夜の町には昼間は見えない邪気が潜んでいたし、人と人との間に
昼には存在しなかった醜い邪気がどんどん生まれていた。
レオと公園で見た ’気’ は、色とりどりで軽やかに弾む感じだったが、
夜に満ちている ’気’ は、冷たく重く、こちらを傷つけるような鋭ささえ
持っていた。
きらめく明かりの灯った場所ですら、人の欲望や虚栄、嫉妬などの邪気が
渦巻いていた。
そこから一歩入った静かな路地にも、ねちねちと絡みつくような邪気が
あちこちによどんでいたのだった。

カオルはそんな、街の明かりの中の邪気と、街の暗がりにある邪気との
間で、身動きが取れなくなったのだ。


『結局のところ、カオルは、お前のために怖い目に合ったってことじゃないか?』

「どうやら、そのようだな」

鋼牙が素直にザルバの言葉にうなずいた。

『お前、ちゃんとカオルを部屋まで送っていけよ』

「…わかってる」


鋼牙は、カオルをコートの中に押し隠すように抱き寄せ、できるだけ
邪気に触れぬようにしながら、アパートまでの道を歩いた。

アパートの部屋の前まで来ると、カオルは、

「もう大丈夫だよ。
 鋼牙も今日は疲れてるんでしょ?
 ごめんね… ありがとう」

と笑って見せた。

「…
 今日はもう出るなよ」

鋼牙は何か言いかけたが、思いなおしてそう言うと、後ろを向いて
歩きかけた。
振り向くと、カオルはまだこちらを見ていた。

「はやく中に入れ」

カオルに声をかける。
カオルは、一瞬切なそうに眉をひそめたが、すぐに笑顔を作り、

「うん」

とうなずいて、部屋のカギを開けてドアを開けた。
部屋に入りかけて、もう一度鋼牙のほうを見ると、部屋に入るのを
見届けようとしている鋼牙がいた。
ドアノブを持つ手とは反対の手を上げ、バイバイと手を振る。
鋼牙は、大きくうなずいた。
カオルは意を決めて、後ろ手にドアを閉めた。

鋼牙との間を、冷たく重いドアが遮断する。

カオルの部屋の中にはとがった邪気はなかったが、ひどく元気のない
’気’ が空中を飛べずに、床近くを這いずり回っていた。

「鋼牙…」

そっと愛しい人の名を呼んでみた。

寄りかかったドアの冷たさが、先ほどまでカオルを包んでいた鋼牙の
ぬくもりを一気に奪っていくのを感じた。



to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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