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きんのまなざし ぎんのささやき

悲しみの色(3)

続きを楽しみにしてくださる人がいるようで…
とてもありがたいことです~

ひとり残されたカオルちゃん…
気になる方はその目でお確かめを~





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カオルは、冷たくなった身体をそっと自分で抱きしめる。
大丈夫と鋼牙には言ったが、朝までの間、その孤独に耐え切れるものか
ひどく心細く感じた。


そのとき、唐突に、カオルの部屋のドアがグイっと開けられた。
ドアに預けていたカオルの身体は、バランスを崩して後ろ向きに倒れそうに
なる。
声もあげられず、空(くう)を掴(つか)もうと手を泳がせる。
その手を力強い手が捕え、カオルの細い肩を逞(たくま)しい胸が支えた。

カオルが自分の頭越しに仰ぎ見ると、そこには鋼牙が立っていた。

「…えっ、なんで?」

ひどく間の抜けた問いをしてしまう。

「…心配だから、その…
 もう少し、いることにする」

「!」

ひどく驚いて声も出せなかったカオルは、慌てて大きくうなずいた。
そして、鋼牙のほうに向き直ると、カオルの顔に、飛び切りの笑顔が
浮かび上がった。

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部屋の奥に案内しながら、カオルが鋼牙に尋ねる。

「えっと、どうしよう…
 お茶でも入れようか?」

「いや、いい」

「…う~んと、とりあえず、適当に座って!」

そう言われたので、鋼牙は通された部屋を見渡した。
ごちゃごちゃと様々なものが詰め込まれた部屋は、以前いた、東の管轄の
屋敷にあるカオルの部屋を彷彿とさせた。

「ごめんね、散らかってて…」

謝るカオルを尻目に、鋼牙はカオルのベッドの上に腰を下ろした。

カオルのほうは、なんとなく立ったまま鋼牙に尋ねた。

「え~っと… お腹とか空かない?」

「いや、大丈夫だ」

「あっ、コート脱ぐ?」

「いや」

「…そう…」

会話が続かず、カオルは困った。
そんなカオルに

「俺に気を遣わなくていい。
 風呂に入るなり、寝るなり、カオルの好きなようにすればいい…」

と鋼牙は言った。

「…うん、そうだね」

ようやく、カオルの表情から硬さが取れた。
それじゃぁ… と、カオルは、ベッド横の床においてあるクッションの上に座った。
カオルの居場所が落ち着いたところで、今度は鋼牙から尋ねた。

「…もう、怖くないか?」

「うん、大丈夫…

 あっ、でも、ひとりじゃないから…」

せっかく戻ってきてくれた鋼牙が、それなら… と帰ってしまうのが嫌で
カオルは慌てて言葉を足した。

『カオル~
 もっと素直に、帰らないで って言ったらどうなんだ?』

「んもうっ、ザルバたら」

コワイ顔を作ってザルバを睨んでみるが、鋼牙がいてくれる嬉しさから、
その顔も長くは続かない。
嬉しそうなカオルを見て、ザルバもつい口が軽くなった。

『お前から電話があったとき、鋼牙のやつ、俺を忘れて屋敷を飛び出そうと
 したんだぜ。
 そのくらい慌ててたってことだよなぁ』

「ザルバ」

鋼牙はザルバを制した。
魔戒騎士たるもの、魔導具を忘れるなどということは無きに等しい。

(鋼牙が、あたしのためにそんなに慌てたなんて…)

カオルは、嬉しいと思う反面、申し訳ないとも思った。
そこで、カオルはちょっと居ずまいを正した。

「あのね…

 コワくて動けなくなったとき、ほんとは、レオくんを呼ぼうと思ったんだけど、
 レオくんにはどうやって連絡したらいいか判らなくって…

 それで、鋼牙のところに電話したの。

 ごめんね…」

申し訳なさそうに頭を下げ、鋼牙に謝った。

「そんなことはいい。

 それより…」

ちょっと言いよどむ鋼牙だったが、意を決して言い切った。

「レオの次が俺なのか?」

「えっ、だって…
 …鋼牙は忙しいでしょ?」

カオルは驚きながらも聞いてみた。

「それはレオだって同じだ。
 …で、どうなんだ?」

「ん? 何が?」

「だから、レ…」

もう一度、レオか俺か、を聞こうとした鋼牙だったが、わくわくしながら
鋼牙の言葉を待っているカオルの様子を見て、カオルがわざとトボけて
いることに気づくと、

「もういい」

と話を切ってしまった。

「え~っ
 もう一回、聞いてくれたらいいのに…」

抗議の声を上げながら、ついついニヤけてしまうカオルだった。



to be continued(4へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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