きんのまなざし ぎんのささやき
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リベンジ!(1)
うっかりしていました。
妄想ポイントを見落としていたのです。
MAKAISENKI 第9話「化粧」は、高峯龍之介のアツい演技が印象深く、
再試聴を無意識のうちに避けていました。 (苦笑)。
でも、この回の鋼牙とカオルのシーンは、一期の頃のふたりを彷彿とさせる
いいシーンだったんですね。
天真爛漫というか奔放という感じのカオルちゃんと、それにイラつく鋼牙さん。
MAKAISENKI で、これほどガキっぽい鋼牙さんはないのではないでしょうか?
う~ん、かわゆし!
…というわけで、少し時間軸が戻りますが、よろしければお付き合いを。
妄想ポイントを見落としていたのです。
MAKAISENKI 第9話「化粧」は、高峯龍之介のアツい演技が印象深く、
再試聴を無意識のうちに避けていました。 (苦笑)。
でも、この回の鋼牙とカオルのシーンは、一期の頃のふたりを彷彿とさせる
いいシーンだったんですね。
天真爛漫というか奔放という感じのカオルちゃんと、それにイラつく鋼牙さん。
MAKAISENKI で、これほどガキっぽい鋼牙さんはないのではないでしょうか?
う~ん、かわゆし!
…というわけで、少し時間軸が戻りますが、よろしければお付き合いを。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
「もういいのっ
あたしのことは放っといて!
どうせ、あたしといる時間は無駄な時間…」
カオルにそう言われたとき、鋼牙が最初に感じた違和感は、どこかに吹き飛んでしまった。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
先日、鋼牙はカオルと芝居に行った。
カオルはずいぶん楽しみにしていて、それなりに楽しんでいるようだったが、鋼牙のほうは? というと、その芝居の陳腐さと、そんなことには構わずに主役をもてはやす観客の馬鹿さ加減とに耐え切れず、途中で席を立ってしまった。
「どうせ何もかも偽物。
命のやりとりはあんなもんじゃない。
そういうこと?」
「芝居なんてくだらない。
時間の無駄だ、ってこと?」
ホールを出て、足早にエントランスに向かう鋼牙の後を、カオルが追いすがる。
ふいに足を止めた鋼牙が、カオルの元まで戻り、大きく見開かれたカオルの瞳を覗き込むようにして答えた。
「そうだ。
俺は時間を無駄にしたくないんだ…」
鋼牙には時間がない。
赤い仮面の男によって胸に刻まれた ’破滅の刻印’ が、じわじわと鋼牙の命を削り取っているのだから。
もとから魔戒騎士にとって ’死’ とは、常に身近に感じられるものではあった。
陰我を具現化したホラーの存在を感じ取ったときや、直接、目の前にしたときには、多かれ少なかれ ’死’ の匂いを、魔戒騎士たちは感じ取っていた。
’死’ を恐れていては剣を振るうことはできなかった。
だが、 ’死’ を感じなければ、自分の命も他人の命も守れはしなかった。
そんな ’死’ と隣り合わせの魔戒騎士であっても、’破滅の刻印’ が与える’死’ の感覚は、相当に耐え難いものであった。
それは、時や場所を選ばずに痛みとして騎士たちを襲ったのだ。
青く晴れた空を仰ぎ見たときも
赤く染まった夕日を眺めるときも
満点の星空に手を伸ばしたときも
友人たちと他愛もないことで談笑しているときも
家族とともに心のこもった手料理を囲んでいるときも
年老いた親にいたわりの言葉をかけているときも
恋人と愛の言葉を交(か)わし、抱き合っているときも
闘いに明け暮れて、ささくれだった魔戒騎士の心を癒してくれる、そんな優しいひとときですら、胸の痛みが、そう遠くない ’死’ を、まざまざと突きつけてくるのだ。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
(時間を無駄にしたくない… あのとき言った俺の言葉で、カオルを傷つけたのか?)
泣き伏せっているカオルの姿に、鋼牙の動揺がそのまま表情に出る。
「カオル…」
鋼牙がカオルの肩に手をかけようとする。
『なぁんだ…
カオルもなかなかの役者だな』
カオルの肩に触れる寸前、ザルバが感心するように呟いた。
「なんで判ったの?」
ガバっと顔をあげたカオルは、もちろん泣いてなどおらず、鋼牙のほうにちらっと悪戯めいたまなざしを向けた。
「ははは…
いやいや、さすがにカオル様、迫真の演技でございましたねぇ」
訳が判らず戸惑う鋼牙は、ゴンザの言葉で、ようやく事態が理解できた。
(ハメられた…)
恥ずかしさと悔しさで顔が歪む。
カオルが、また芝居に行こう、と誘うが、
「俺はもう芝居はこりごりだ!」
そう言い放ち、リビングを後にして書斎へと向かう。
それでもなお、チケットをヒラヒラさせながらカオルは追いかけてくる。
(まったく…
ここまで鋼牙を怒らせといて、それでも平気で追いかけてくるのは、カオルぐらいだゼ…)
ザルバはひとり、溜め息をついた。
(それにしても、鋼牙もうまくダマされたもんだ…
ダマされた気恥ずかしさを、こうまで露骨に表に出す鋼牙も、最近ではかなり珍しいな。
まぁ、相手がカオルなら仕方ないか… クックックッ)
突然、左手が持ち上げられ、不機嫌な鋼牙がザルバを睨む。
「何か言ったか?」
ザルバは涼しい顔で答える。
『いや、何も…
それより、少し疲れたから、しばらく休ませてくれないか?』
「…」
疑わしそうにザルバを見ながらも、鋼牙は無言で左手を下ろした。
書斎に入ると、机の上のいつもの台座にザルバをカチャンと置いてやった。
『また、あとで起こしてく… れ…』
そう言い残すと、ザルバの意識がプツッと消えた。
「ねぇ、鋼牙ぁ~
もう一回だけ! もう一回だけチャンスをください!
これはほんとにイイ役者さんが揃っているって評判いいんだよ?」
一息ついた鋼牙の背中に、カオルの懇願する声が聞こえてきた。
「まだ言ってるのか?」
鋼牙は不機嫌そうに言うと、思いっきり眉間に皺を寄せて振り返った。
カオルは鋼牙の顔を一目見るなり、首を少しすくめた。
「ごめんなさい…」
小さな声で謝りながら、鋼牙の顔色を窺う。
「でもね、ほんとに、ほんとに、このお芝居は素敵だから…」
「そんなに行きたいなら、ほかの誰かと行けばいいだろう?」
なおも誘おうとするカオルに、最後まで言わせず、鋼牙は感情を交えない声で言った。
腕を組んで、カオルのことを上から見下ろして… だ。
そんな鋼牙の姿を見て、カオルは力なく項垂(うなだ)れた。
(ウソ泣きのお芝居…
やっぱりマズかったかなぁ~)
後悔の念がカオルの頭に浮かんだ。
to be continued(2へ)
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「もういいのっ
あたしのことは放っといて!
どうせ、あたしといる時間は無駄な時間…」
カオルにそう言われたとき、鋼牙が最初に感じた違和感は、どこかに吹き飛んでしまった。
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先日、鋼牙はカオルと芝居に行った。
カオルはずいぶん楽しみにしていて、それなりに楽しんでいるようだったが、鋼牙のほうは? というと、その芝居の陳腐さと、そんなことには構わずに主役をもてはやす観客の馬鹿さ加減とに耐え切れず、途中で席を立ってしまった。
「どうせ何もかも偽物。
命のやりとりはあんなもんじゃない。
そういうこと?」
「芝居なんてくだらない。
時間の無駄だ、ってこと?」
ホールを出て、足早にエントランスに向かう鋼牙の後を、カオルが追いすがる。
ふいに足を止めた鋼牙が、カオルの元まで戻り、大きく見開かれたカオルの瞳を覗き込むようにして答えた。
「そうだ。
俺は時間を無駄にしたくないんだ…」
鋼牙には時間がない。
赤い仮面の男によって胸に刻まれた ’破滅の刻印’ が、じわじわと鋼牙の命を削り取っているのだから。
もとから魔戒騎士にとって ’死’ とは、常に身近に感じられるものではあった。
陰我を具現化したホラーの存在を感じ取ったときや、直接、目の前にしたときには、多かれ少なかれ ’死’ の匂いを、魔戒騎士たちは感じ取っていた。
’死’ を恐れていては剣を振るうことはできなかった。
だが、 ’死’ を感じなければ、自分の命も他人の命も守れはしなかった。
そんな ’死’ と隣り合わせの魔戒騎士であっても、’破滅の刻印’ が与える’死’ の感覚は、相当に耐え難いものであった。
それは、時や場所を選ばずに痛みとして騎士たちを襲ったのだ。
青く晴れた空を仰ぎ見たときも
赤く染まった夕日を眺めるときも
満点の星空に手を伸ばしたときも
友人たちと他愛もないことで談笑しているときも
家族とともに心のこもった手料理を囲んでいるときも
年老いた親にいたわりの言葉をかけているときも
恋人と愛の言葉を交(か)わし、抱き合っているときも
闘いに明け暮れて、ささくれだった魔戒騎士の心を癒してくれる、そんな優しいひとときですら、胸の痛みが、そう遠くない ’死’ を、まざまざと突きつけてくるのだ。
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(時間を無駄にしたくない… あのとき言った俺の言葉で、カオルを傷つけたのか?)
泣き伏せっているカオルの姿に、鋼牙の動揺がそのまま表情に出る。
「カオル…」
鋼牙がカオルの肩に手をかけようとする。
『なぁんだ…
カオルもなかなかの役者だな』
カオルの肩に触れる寸前、ザルバが感心するように呟いた。
「なんで判ったの?」
ガバっと顔をあげたカオルは、もちろん泣いてなどおらず、鋼牙のほうにちらっと悪戯めいたまなざしを向けた。
「ははは…
いやいや、さすがにカオル様、迫真の演技でございましたねぇ」
訳が判らず戸惑う鋼牙は、ゴンザの言葉で、ようやく事態が理解できた。
(ハメられた…)
恥ずかしさと悔しさで顔が歪む。
カオルが、また芝居に行こう、と誘うが、
「俺はもう芝居はこりごりだ!」
そう言い放ち、リビングを後にして書斎へと向かう。
それでもなお、チケットをヒラヒラさせながらカオルは追いかけてくる。
(まったく…
ここまで鋼牙を怒らせといて、それでも平気で追いかけてくるのは、カオルぐらいだゼ…)
ザルバはひとり、溜め息をついた。
(それにしても、鋼牙もうまくダマされたもんだ…
ダマされた気恥ずかしさを、こうまで露骨に表に出す鋼牙も、最近ではかなり珍しいな。
まぁ、相手がカオルなら仕方ないか… クックックッ)
突然、左手が持ち上げられ、不機嫌な鋼牙がザルバを睨む。
「何か言ったか?」
ザルバは涼しい顔で答える。
『いや、何も…
それより、少し疲れたから、しばらく休ませてくれないか?』
「…」
疑わしそうにザルバを見ながらも、鋼牙は無言で左手を下ろした。
書斎に入ると、机の上のいつもの台座にザルバをカチャンと置いてやった。
『また、あとで起こしてく… れ…』
そう言い残すと、ザルバの意識がプツッと消えた。
「ねぇ、鋼牙ぁ~
もう一回だけ! もう一回だけチャンスをください!
これはほんとにイイ役者さんが揃っているって評判いいんだよ?」
一息ついた鋼牙の背中に、カオルの懇願する声が聞こえてきた。
「まだ言ってるのか?」
鋼牙は不機嫌そうに言うと、思いっきり眉間に皺を寄せて振り返った。
カオルは鋼牙の顔を一目見るなり、首を少しすくめた。
「ごめんなさい…」
小さな声で謝りながら、鋼牙の顔色を窺う。
「でもね、ほんとに、ほんとに、このお芝居は素敵だから…」
「そんなに行きたいなら、ほかの誰かと行けばいいだろう?」
なおも誘おうとするカオルに、最後まで言わせず、鋼牙は感情を交えない声で言った。
腕を組んで、カオルのことを上から見下ろして… だ。
そんな鋼牙の姿を見て、カオルは力なく項垂(うなだ)れた。
(ウソ泣きのお芝居…
やっぱりマズかったかなぁ~)
後悔の念がカオルの頭に浮かんだ。
to be continued(2へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
ご覧になるにあたって
年代別もくじ
カテゴリー別
[12/31]
[01/22]
[12/24]
[12/03]
[11/19]
[10/15]
[08/06]
[07/30]
[07/09]
[07/02]
[12/31]
[01/22]
[12/24]
[12/03]
[11/19]
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