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きんのまなざし ぎんのささやき

君ヲ想フ(2)

様子のおかしい鋼牙。
牙狼剣も振るえず、鎧も召喚できない鋼牙。

さぁて、いったい、どうなっちゃったのでしょう?

それはね…



まぁ、読んでみてくださいな。




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鎧の召喚ができないと聞いて、カオルとゴンザは思わず、鋼牙のほうを
見た。
鋼牙はふたりの視線を集めて、居心地悪そうに視線をそらした。
その反応がいつもの鋼牙らしくないとカオルもゴンザもそれぞれに感じたが、
それを確かめる暇もなく、話し続けるザルバの言葉に耳を傾けた。

『少し言葉足らずだったようだな。
 安心しろ。 鎧が召喚できないのは、しばらくの間だけだ。

 多分、俺様の読みが正しければ、1日もたたないうちに元に戻る
 はずだ…』

それを聞いてカオルはほっと安心した。
だが、ゴンザのほうは一層険しい顔をして口を挟んだ。

「それだけではないのでしょう?

 緊急事態だと言ったときのあの様子…
 まだ何かあるのではないですか?」

ゴンザの言葉にカオルは驚き、ザルバを見た。

『まぁな…

 だが、その前に…

 鋼牙、お前はもうクタクタだろう?
 風呂にでも入ってゆっくり疲れを取ってこい。

 ゴンザ…
 すまないが、コイツに風呂の場所を案内してやってくれ。

 それから、この話の続きはリビングですることにしよう。
 話は少し長くなるかもしれないからな。
 立ちっぱなしよりも、ソファーに腰を下ろして聞いた方がいいだろ?

 カオル…
 俺をリビングまで移動させてくれないか?』

そういうとザルバは口を閉ざした。
カオルとゴンザは顔を合わせ、無言でうなずき合うと、ザルバに
言われた通りに動き始めた。

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ザルバを台座ごと移動させ、リビングのローテーブルに置いたカオルは
ソファに腰を下ろした。
程なくして、ゴンザがリビングに入ってきた。

「鋼牙様はお風呂に入られました…」

誰に言うともなく言いながら、ソファのほうへと歩いてきた。
カオルは少し身体をずらし、ゴンザの座る場所を作ると、ゴンザは
軽く頭を下げてから、カオルの隣に浅く腰掛けた。

ふたりが揃ってザルバを見つめると、ザルバはようやく口を開いた。

『それでは、話すことにするか…

 今夜の鋼牙の相手は、ホラー、シーレーン。

 コイツは、心がひどく不安定になっている人間が大好物なホラーだ。

 つまり、心の病を患いそうな程にひどく落ち込んでいる人間や、
 狂ってしまいそうな程に嘆き悲しんでいる人間が好みらしい。
 そういう精神状態が危うい人間は、いろいろな味が混ざり合って
 美味いんだとさ。
 シーレーンの好みなんぞ知ったこっちゃないがな。

 ところでだ…
 ヤツ好みの人間がそう都合よく、目の前にいつも現れるわけはない
 だろう?』

ザルバの問いに、カオルとゴンザはうなずいた。

『ヤツはどうすると思う?』

ふたりの反応を見るように、ザルバはカオルとゴンザを等分に見た。

『シーレーンはな… 歌うんだ』

その答えに戸惑うふたりを満足そうに見ながら、ザルバは先を続けた。

『シーレーンの歌は、聞いた者の記憶を混乱させてしまうんだ。
 いや、記憶を呼び出すと言った方が正しいかもな…

 その人間が人生の中で最も驚き、悲しみ、怒り、嘆いたときの記憶を、
 そっくりそのまま呼び起こすんだ。

 つまりだな…
 とある人間が、20歳のときに大失恋をしたとする。
 そいつが、シーレーンの歌を聞いたら、その20歳のときの記憶が、
 今現在の記憶とすり替わっちまうんだ。

 そうして、その当時のズタズタだった精神状態… ヤケクソになったり、
 妙にテンションが高くなったり、死にたくなったり… そういう不安定な
 状態になっちまうんだ。

 そうなったところで、シーレーンが喰っちまう… と、こういうわけだ』

少し混乱しているカオルに代わり、ゴンザが尋ねた。

「つまり、鋼牙様はその歌をお聞きになったのですね?
 そして、過去のいつかのときの記憶にすり替わっていると…」

『その通りだ。

 シーレーンはそんなに戦闘能力が高いホラーじゃぁなかった。
 だから、鋼牙はそう苦労もせずに倒すことができたんだが、ヤツは
 闘いの最中に、例の歌を歌い始めたんだ。

 鋼牙を喰うためというよりは、記憶を混乱させることで動揺させ、
 逃げるチャンスを作りたかったんだろうな。

 だが、ヤツの歌がもう少しで歌い終わる…という前に、鋼牙は
 とどめを刺した。
 ヤツの歌は最後まで聞かなければ効力を発揮しないからな。

 ところがだ…
 シーレーンのヤツは、苦しい息の下で最後まで歌いきっちまったんだ。

 鎧を返還した後、しばらくしてから、鋼牙の記憶がおかしなことに
 なっていると気付いた… というわけだ。』

「それで、今、鋼牙はどんな状態なの?」

カオルが心配そうに尋ねた。
カオルの脳裏に、つい先ほどの鋼牙の様子が思い浮かんだ。
鋼牙は、カオルに対して少し警戒心を抱いているようだったし、
カオルの視線を受けて戸惑っているようだった。

『鋼牙は今、最も心が乱れていたときの精神状態になっている。

 最も自分を責め、嘆き悲しみ、持って行きようのない怒りを
 感じていたときの…』

カオルの隣でゴンザがあっと息を飲んだ様子が感じられた。
カオルは瞬きもせず、ザルバをじっと見つめる。

『そう、あのとき…
 鋼牙を庇って、大河がバラゴに殺されたときの状態だ』

「なんですって?
 それでは、鋼牙様は見た目は大人でも、精神状態は子どもだった
 あのときの… ということになるのですか?」

『あぁ、そのとおりだ』

「こうしてはいられない。
 わたくし、鋼牙様の様子を見てきます」

ゴンザは慌ただしく、ソファーから立ち上がり、リビングを出ていった。



to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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