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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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さざなみ(1)

ものすごくお久しぶりです!
1週間以上も妄想をアップしないなんて「初めて」です!
いやはや、ツラかった!
ちょっとしたイベント(?)がありまして、妄想どころじゃなかった
もので…
それも終わったので、これからまたどんどん妄想していきますよ!

さて…
かねてから「書きたいな!」と言ってました「君ヲ想フ」の続き
ですが、絶賛妄想中です。
えぇ、まだ「妄想」ですが、それが何か?
(おやおや、開き直っちゃったよ  苦笑)

それでも、いつものようにスタートさせてしまう selfish は
懲りない女。(あ~あ…  苦笑その2)

子ども鋼牙の記憶がなくなった後のお話… 気になる方は続きを
ど~ぞ!



もし、お読みでない方がいらっしゃいましたら、続きを読む前に
「君ヲ想フ」をお読みくださいね。



拍手[25回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

鋼牙は、日が翳(かげ)って薄暗くなった自分の部屋で目覚めた。
頭の中心部分がぼぉっとして、わずかに吐き気も覚えた。
鉛でも飲んだような重い身体を起こすと、ベッドの傍(かたわ)らに
突っ伏すようにして眠るカオルがいた。
その頬には涙の軌跡が…

鋼牙の眉根が微かに歪むが、それもわずかな時だけで、すぐにカオルの
肩に手を伸ばす。

「カオル…
 風邪を引くぞ」

スローモーションで目を覚ましたカオルが、はっと起き、鋼牙に気づく。
頬の涙を指先で拭いながら、何かを確かめるように鋼牙をじっと見た。
そして、おずおずと尋ねる。

「鋼牙… なの?」

質問の意味がわからず、鋼牙は怪訝な顔をする。

「俺が俺でなくて何だというんだ?」

口調は優しいものの、その言い回しは疑いようもなく、いつもの鋼牙…
その瞬間、カオルは切なげに眼を閉じた。

(ほんとに行っちゃったんだ…)

そう思いながらカオルの眼に新たな涙が溢れそうになった。

「どうした?」

様子のおかしいカオルを気遣い、声を掛けるが、カオルは慌てて立ち
上がり、鋼牙に見られないように顔を背けた。

「なんでもないの。
 …あたし、鋼牙が起きたこと、ゴンザさんに知らせてくるね」

逃げるように部屋を出ていくカオルを引き止めようと声をかける。

「おい…」

だが、それを振り切るようにカオルは部屋を出ていき、その言動に
混乱する鋼牙はひとり残された。

こめかみに感じる鈍い痛みに手をやりながら、大きく息を吐くと、
シーツの上の自分の手に視線を落とす。
そこには、不格好に何枚も貼られた絆創膏があった。
剥がれかかっている部分から、そっと剥がしてみる。
まだ皮膚が張りきっていないその傷に、鋼牙は少しも覚えがない。
ふっと違和感を覚え、左手を見る。
いつもなら、そこにいるはずのザルバもない。

訳の解らないことだらけだったが、ここでこうしていても埒が
明かない。
ベッドから抜け出して書斎へ向かおうとして、ふらついた。
自分の身体が言うことを聞かないのも、また、「解らないこと」の
ひとつだった。


雲の上でも歩いているような妙な浮遊感を感じながら、ようやく
書斎にたどり着いた。
そこには台座に据えられたザルバがあり、鋼牙は少なからずホッと
した。
ザルバを無造作に抜き取り、定位置である左手の中指に嵌める。
その冷たい感触に、身体が一気に覚醒した気がする。
ザルバを嵌めるとき… それは、鋼牙にとって、自分が何者で
あるかを自覚する瞬間だった。

『ふぁ~あ』

鋼牙の指に収まり、ザルバの意識もまたこの世界で目覚める。

『よぉ、鋼牙!
 俺様を嵌められるってことは元に戻ったんだな?
 調子のほうはどうだ?』

いつもの軽口でザルバが語りかけた。

「ザルバ、俺の寝ている間に何があった」

鋼牙は先ほどのカオルの様子を思い出しながら、性急に尋ねた。
だが、ザルバの答えはつれないものだった。

『…さあな。

 お前の指から外されてから、今の今まで、俺様も何があったのか
 知っちゃいないからな』

「どういうことだ?」

『お前… シーレーンを倒したことを覚えているか?』

鋼牙の質問には答えずに、ザルバは質問で返した。

「あぁ…

 だが、その後の記憶が判然としない…」

鋼牙は必死に記憶を手繰(たぐ)ってみたが、どうにも思い出せない。

『それもそのはずだ。
 お前は、シーレーンの歌を聴いちまったからな…
 まんまとヤツの術にかかっちまった… ってわけだ』

「なに?」

『お前はそのときから今までの記憶がない。
 そうだろ?

 その間は、過去の記憶がお前の身体に居座っていたんだからな』

ザルバの話を聞き、鋼牙はシーレーンのことを思い出した。

(確か…
 シーレーンは、人が最も心をかき乱されたときの記憶を呼び起こし、
 その複雑に絡み合う「負の感情」を嗜好(しこう)するホラー…
 だったはず)

「それで、俺はどうなった?
 どんな記憶が?」

ザルバは、片方の眉だけを器用に上げ、すぐに表情を元に戻してから
言った。

『大河が… お前の親父が、死んだ直後の記憶になっていたよ』

鋼牙は、天井を仰ぐようにして、大きな溜め息をついた。
ザルバは、そんな鋼牙にお構いなしに、やや事務的に話を続けた。

『お前の記憶がガキの頃になっちまったからな。
 俺を嵌めていることすら苦痛だったようだぜ。
 そうだろう?
 あの頃は,まだ俺と契約する前だったからな…

 それでも、どうにかこうにか屋敷まで帰ってきて、俺からゴンザと
 カオルに簡単な経緯を説明しといてやった。
 だが、それ以上何の手も打てない。
 お前の記憶はじきに戻るだろうから、それを待つだけだったのさ。

 それで… 俺もお前と同じさ。
 お前が元に戻り、俺を起こすまでゆっくりさせてもらったぜ。

 そういうわけで、屋敷に戻ってから今までの間のことは俺も
 知らない。
 まぁ、ゴンザかカオルにでも聞くんだな』

ザルバの話を聞き、鋼牙は少し考えに耽(ふけ)った。

そのとき、都合のよいことにゴンザが書斎に顔を覗かせた。

「あぁ、鋼牙様、こちらでしたか。
 カオル様に、鋼牙様が起きられたと聞いたのですが、お部屋に
 いらっしゃらなかったので探しました…」

『こいつはちょうどいいところに…
 ゴンザ、鋼牙が元に戻った。

 すまないが、コイツの記憶がない間に、何があったのか、話して
 やってくれないか?
 俺様も知らないことなんでね』

ザルバは、ゴンザに話を振った。

「あぁ~ それはよぉございました。
 一時はどうなることかと思いましたから…」

ゴンザが安堵の溜め息をついた。
鋼牙は平静を装いながらも、ゴンザに話を急(せ)かした。

「それで?
 何があったんだ?」


to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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