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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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さざなみ(3)

鋼牙の記憶がない間、もう一人の鋼牙とカオルはなかなかうまく やっていた模様…

selfish って、どうして鋼牙さんをイジメるのがこんなにも好きなの?

闘うことでは無敵な鋼牙さんも、カオルちゃんに関しては…
そんな鋼牙さんが好きなんだな~

同意いただける方は続きをど~ぞ!

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なんとなくカオルと鉢合わせするのを気恥ずかしく思ったので、鋼牙は
そのまま書斎にこもることにした。
手近な書物を手に取ったが、案の定、少しも中身が頭に入らない。

先ほど聞いたゴンザの話がリフレインする。



 カオル、カオル、とそれはもう、よく懐かれて…

 お休みになられるときには、カオル様に『そばにいてほしい』などと…

 その傷の手当ても、カオル様に絆創膏を貼ってもらいたいと甘えられ…



鋼牙はその都度、眉をしかめたり、顔を赤くしたり、溜め息をついたりして、
いつもの冷静さをなかなか取り戻せないでいた。


(やれやれ…)

鋼牙の心を読むまでもなく、その動揺ぶりに気付いているザルバは、
内心、溜め息をつきながらも黙っていた。
そんなザルバの気遣いもはっきり感じ取っていたので、鋼牙は余計に
動揺が収まらない。

内容に集中できない書物を、何冊も交換しながら手に取っていく。
何冊目かの書物に手を伸ばそうとしたとき、ゴンザが顔を覗かせた。

「鋼牙様、お夕食のご用意ができました」

「あぁ、すぐに行く」

「恐れ入りますが、鋼牙様?
 カオル様に声をかけていただけないでしょうか?
 わたくし、スープ鍋を火にかけっぱなしでして…」

ゴンザは鋼牙の顔色を窺いながら頼んだ。
ゴンザの様子があたかも自分を試しているように見てとれた鋼牙は、
気まずさを感じつつも、それをゴンザに悟られるのは癪に障ると、

「…わかった」

とそっけなく返事をし、開いていた書物をパタンと閉じた。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

薄暗い部屋の中、カオルはベッドの上で膝を抱えて座っていた。
泣いてはいなかった。
何も考えてはいなかった。
ただ、苦しい気分に胸を押しつぶされないように、自分の肺にひたすら
空気を送り続けているだけだった。


  コンコンコン…


部屋のドアがノックされ、カオルはハッとした。

「…はい」

かすれた声で返事をする。
すると、少しドアが開き、廊下の光が部屋の闇を切り裂くように、
一直線に差し込んだ。
逆光の中、長身のシルエットが見えた。

「カオル… 食事の用意が出来た」

「あっ、うん」

できるだけ普通に返事をしようとしたが、妙にぎこちなく思ったのは
カオル本人だけだろうか。
その後の気まずい沈黙に、カオルの身体は自然と縮こまる。

「…電気くらいつけたらどうなんだ?」

ぶっきらぼうに鋼牙が言った。
廊下の明かりのため、鋼牙の表情は暗くてよく判らない。
それでも、自分を気遣っているということに、カオルは気づいていた。
だが、そんな鋼牙に何をどう答えればいいのかは、今のカオルは
判らないでいた。

「…今行くから、先に行ってて」

鋼牙の問いかけには答えず、追い返すようなことを言ってしまう。
しまった、と思ったが、口からこぼれた言葉は取り戻せない。

「…」

鋼牙の瞳が何を捉えているのか判らなかったが、こちらを見ているで
あろう鋼牙の視線から、カオルは逃げ出したかった。

(早く行って…)

そんなふうに思いながら、カオルはぎゅっと目を閉じた。

張りつめたような空気の中、そよりと空気が動いたかと思うと、ドアが
静かに閉められた。

後には、より一層深い闇だけ。
暗がりの中でカオルは、はぁ~っと息を吐いた。
それが、安堵を意味するのか、それとも後悔なのか考えたくもなかった。


(あ~ぁ…)


鋼牙の記憶が元に戻ったのはよいことなのだ。
だが、当然の成り行きで、少年の記憶は消え去った。
ホラーの術でいたずらに引き出された記憶が、また、その意志とは無関係に
無理矢理閉じ込められる…
その儚さに同情して、消えないでほしいと願う自分がいた。
そんな自分が、元に戻った鋼牙に対して後ろめたくてならない。


(気まずい…)


そう思いながらも、食事の席に向かうため、ゆるゆると重たい腰をあげた。



to be continued(4へ)
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拍手[27回]

コメント
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無題
こんばんは、君ヲ想うの続きのさざなみ有り難うございます、鋼牙の知らない鋼牙をカオルが知っているカオルと鋼牙の気持ち、ゴンザさんうまく逃げましたね、あとは、二人におまかせさあーアトハ、ハーピーエンドねがいます。牙狼の最後映画いよいよ来る2月23日からお目見え舞台挨拶の日時が発表され、大阪か名古屋うん名古屋に申し込む予定当たるといいけど当たりますように、神様仏様アーメン。
かなまま 2013/02/09(Sat)22:02:30 編集
Re:無題
いえいえ、こちらこそ好き勝手に書いております。
そう簡単にはハッピーエンドにはしませんので、あしからず…
だって、趣味は「鋼牙イジメ」の selfish ですもの~  うふっ

蒼哭ノ魔竜の舞台挨拶…
今回は玲くんも登壇しますね。
鋼牙と零のツーショットは本当に素敵。
一期のときもよかったけど、MAKAISENKIの「列車」の回での、元老院のふたりは威厳があって息を飲みました。
かなまま様が舞台挨拶に行けますように!
【2013/02/10 09:38】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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