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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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鏡の障壁

調子に乗ってもうひとつ、MAKAISENKI のスキマ妄想、いいですか?

ギャノンの骸(むくろ)に閉じ込められてしまった鋼牙を救おうとする、
仲間たち。
ことごとく弾き返されちゃってるシーンについてです。

あっ、いえ、そんなすごいもんじゃないです。
あんまりショボイので、書かずにおこうと思っていたんですが、書いても
いいかな? って ’勢い’ が今ならありそうで。
(気の迷いと言えばそれまでですが)

今更言うまでもないですが、公式が一番! というお方は先には進まない
ようにお願いいたします。




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

鋼牙を救おうと、レオと零が駆けつけてきた。

(諦めの悪い魔戒騎士どもだ。
 これでもくらえ!)

シグマはレオたちに術を放って、魔界竜と闘わせることにした。
ふたりを術の中に引き込んだシグマは、ギャノンの骸(むくろ)を見下ろした。
そこには、骸に取り込まれた鋼牙の姿がぼんやりと浮かび上がっている。
身体の自由を失い、心までも空っぽになった姿だ。

「いいザマだ、冴島鋼牙。

 人間を守りし者、魔戒騎士。
 その頂点に君臨するおまえが、イデアに取り込まれて人を救う…

 はははは。
 間違いなく、おまえの名前は歴史に名を残すことになるだろう」

シグマは、これほどおもしろいことはない、とばかりに高らかに笑った。
ところが、ギャノンの躯に近づく者の姿があった。

(ん? 誰だ…)

涼邑零だ。
シグマの見せた魔戒竜を打ち砕いて、術から抜け出したのだった。

(ほほぉ、さすがは銀牙騎士。
 実力は確からしい。

 これは面白い。 
 冴島鋼牙に近づけるものなら近づいてみるがいい」

見下すような視線で、シグマはギャノンの骸の中に入っていく零の姿を
見送った。





零は、骸の中へと入った。

「鋼牙!」

零の呼びかけに、鋼牙の姿がぼんやりと現れた。

(帰って来い、鋼牙!)

だが、鋼牙が友に見せた顔に、零は驚いた。

笑っているのだ。
さぞや苦痛に歪んだ顔をしているものと思っていたのだが、鋼牙は穏やかに
笑っていた。
柔らかな光の中で微笑む鋼牙は、やがてすぐに零に瀬を向けて遠ざかっていく。

(待て、鋼牙…
 まさか、ここにいることを望んでいるのか?
 答えろ、鋼牙…)

「鋼牙ぁ!」

声を限りに叫んだ瞬間、弾かれるように骸の外へと身体が吹っ飛ばされた。

「うわぁっ」

地面に叩きつけられた身体はもちろん痛かったが、零は身体ではない部分にも
痛みを感じていた。

(ギャノンの中は、鋼牙にとって、剣を振るわずにすむところなんだ。
 人から憎まれることも、罵られることもない。

 おまえはそこにいるほうがしあわせなのか、鋼牙?

 おまえは牙狼であることに、魔戒騎士であることに疲れてしまったのか?
 あれほど揺るぎなかったおまえが?)

零は、痛む身体を起こしながら、心に湧き起こった疑惑について考え続けた。





レオと零を残して、シグマは骸を伴って空高く浮かび上がった。
イデアの復活の地に向かうためだ。

空の上でシグマは、

「ふふん」

と、鼻で笑った。

「やはりな。
 銀牙騎士と言えども、冴島鋼牙を救えなかったか。
 いい気味だ」

シグマは、満足そうに不敵な笑いを浮かべた。
しかし、程なくして、ギャノンの骸に高速で近づいてくる者があった。

「今度は誰だ?」

ちらりと後ろを振り返る。

「ほぉ~ 今度は女魔戒法師か」

そう呟くと、シグマは烈花の動きをじっと見守った。





烈花は骸に飛び移ると、異様な赤い塊をしばし眺めた。
だが、一刻の猶予もない。
そっと骸に手を近づけていった。

一瞬まばゆい光に包まれたと思ったら、すでに骸の中にいた。

鋼牙の背中がすぐ近くに見えた。

「鋼牙!」

鋼牙の背中に烈花が呼びかける。
鋼牙は振り向きもせず、そのまま立ち去ろうとする。

(なぜだ、鋼牙!)

鋼牙に追いすがろうとした烈花は、すぐに何かの力で弾かれる。

「うっ」

激しく地面に叩き付けられる烈花。

(何かが行く手を邪魔をしている…)

烈花はすぐに立ち上がり、鋼牙を追いかける。
もう少しで鋼牙に届きそうだった。

(鋼牙!)

だが、そのとき、烈花にとって、思いも寄らないことが起きた。

「来るな」

鋼牙が振り向きざまに、激しい拒絶の言葉を浴びせたのだ。
まるでその言葉が力を持ったかのように、強い波動が烈花を襲う。
それと同時に、烈花の意識は骸の外へと吹っ飛ばされた。
そしてすぐさま、身体のほうも骸から弾かれる。
烈花は遠ざかる骸を見送りながら思った。

(あたしじゃ駄目なんだ。
 あたしじゃ…)





「ククク…」

シグマは、沸き起こる笑いを抑えるように下を向いていたが、どうにも
我慢がならなくなったのか、天を仰いで嘲笑を爆発させた。

「あっはっはっはっ

 もはや誰も冴島鋼牙を取り戻すことはできん!

 あいつに張ったのは、鏡の結界。
 結界に近づく者の心を映し出して拒絶するものだ。
 冴島鋼牙の姿を見せてはいるが、あれはおまえたちの心そのもの!

 おまえたちが望むこと、おまえたちが思うこと、それがおまえたちを
 拒絶する盾となるのだ。

 涼邑零。
 おまえは、魔戒騎士であることに疲れている。
 心の狭い、愚かな人間を守ったとて、憎悪され、罵倒されるだけだ。
 剣を持たず、ひとりの人間として生きれたらどんなにいいだろう…
 おまえは、心の底ではそう思っているようだな。
 銀牙騎士ともあろう者が、その程度とは聞いて呆れる。


 女魔戒法師よ。
 おまえは、女としての情をこの男に持っているようだな。
 だが、この男はおまえを振り向こうとはしない。
 どうやら、男の心は他の誰かのもののようだ。
 どんなに思い焦がれたとしても、おまえが焦がれるほどに、自分では
 駄目だと打ちのめされる。
 魔戒騎士に味方する法師など、結局はその程度ということだ。

 ふははは、鏡の結界を破れる者などいない!

 これで、冴島鋼牙はイデアの一部となることは、避けようもないことだな!」

シグマは満足そうにほくそ笑んだ。





鏡の結界。
人間の弱さをシールドに変えてしまう厄介な結界。

だが、カオルにとってはそれは何の障壁にもならなかった。

なぜなら、カオルは、守りし者として闘う鋼牙を信じていた。
牙狼として生きることを選んだ鋼牙を受け入れていた。
そして、そんな鋼牙に恥じない自分でいようと真摯に思っていた。

(…ううん、違うの。
 ただ、あたしは、鋼牙に会いたいだけ。

 会って… あの人のそばで、笑っていたいだけなの)


その想いだけでカオルは走った。
鋼牙の元へ真っ直ぐに…



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


お粗末様でした。

零くんが弾かれた理由、烈花が弾かれた理由、それは鋼牙にあるのではなく、
零くん自身、烈花自身にあるんじゃないの? …そういう妄想です。

多分、みなさんもそんなふうに考えられてた方もいらっしゃると思うので、
「何を今さら…」と思われたことと思います。

まぁ、いいんですよ。
書いてみたかったんで書いた、それだけのものです。
あぁ、楽しかった!

拍手[33回]

コメント
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確かに!
零くんや烈花さんが鋼牙を救おうとしている間のシグマも、何かしら考えていた事はあったでしょうね。
公式の隙間を埋めるのって、大変だけど楽しい!楽しいけど大変ですよねぇ~www

あ「&」ですが、「哀しい証」と「雨宿り」の両方を読みましたよぉ~っていう意味での「&」ですので、お気になさらず…。
と言うか、紛らわしくてゴメンナサイ!

そして、つい先程かぁ~~なりショックな事実発覚。
私どうやら「桃幻…」、観られない様です。
日々の生活をやりくりして捻出した休み前に、映画は終了との事(号泣)
いくらスピンオフでも一ヶ月は上映してるだろうと思っていたのですが、甘かった…。
購入した前売りチケット、無駄になりました(大号泣)

早いよぉ~~、終了するのぉ~~(ガックリ!)
URL 2013/08/01(Thu)11:16:56 編集
Re:確かに!
スキマを妄想するのは楽しいですよねぇ~
ただ、「埋めよう!」という意識は selfish には無いみたいで、大変だと思ったことがあんまりない感じです。
ぼけ~っと見ていて、「あれ?」って引っかかったところがあったら、そっから妄想してみようかなぁ~ という滅茶苦茶軽いノリです。
そんな軽さでは、もちろん話がうまく繋がるわけないんで、そうなったら「また明日になったら、思いつくかもねぇ~」ってくらいで忘れちゃってます。ははは。
ほんと、そのくらい、いい加減なんですぅ~

「&」の件、よかったです。
せっかく書いていただいたのが消えてたら悪いなぁと思っていたので… (ほっ)

「ショックな事実」の件、一部の劇場は明日までのようですね。
これは、もうなんとお慰めしたらいいものか…
いやいや、下手な慰めは傷を広げてしまいますね。 (泣)

【2013/08/01 22:10】
そうですね!
確かにあれは皆の内面を映す鏡という説は納得です!なんであの時、零には鋼牙の笑顔を見てしまったのかずっと謎だったのですが、ようやく納得できました。零は確かに騎士とは何か?の命題を突き出される事が多くて、結構きつかったですよね、その彼が楽になりたいと思った事を映し出されてしまった…うーん納得です。
烈花ちゃんも鋼牙に拒絶される現実をわかっているから映し出されてしまったのか!
話は変わって「雨宿り」回はselfish様と是空様の夢のコラボや!(彦摩呂風)とひとり小躍りでしたwありがとうございます!
魔戒図録はスーツ鋼牙さんの為に大枚はたいたと自分を慰めています。もっとキャスト写真がほしかった…
くわい 2013/08/01(Thu)22:44:41 編集
Re:そうですね!
「内面を映す鏡」そうそう、そういうヤツ!
うまく言葉が紡ぎだせないので、selfish の言いたかったことがうまく表現できてるか、かなり不安だったのですが…
よかった、なんとか伝わったみたいで!

「零に鋼牙の笑顔が見えた」ってのは謎でしたか?
おぉ~ なんだか、逆に驚かされた気がします。
「内面を映す鏡」という説は、誰でもそう思っているもんなんだろうなぁと思い込んでいたので、「あんた、今更そんな当たり前なことを…」って笑われると思っていましたから… (えぇ、真剣に)

いやぁ、ダメでもともと、書いてみるもんですね。

「雨宿り」にもコメント、ありがとうございます!
コラボとかそんな大層なもんじゃ… (オロオロ)
ただ、是空様の作品に恋して、勝手にラブレターを綴った… くらいな感じです。
(あっ、是空様、引いてる?)

具体的なシチュエーションより、是空様のあの作品のような、感覚的なシチュエーションのほうが、結構、影響受けたりしませんか?
(自由度が高いからでしょうか?)

それと「魔戒図録」。
お手元の「魔戒図録」のスーツ鋼牙さんは、間違いなく、くわい様ただひとりを見つめてますよ!
(…と思っていただければ、と)
【2013/08/02 08:05】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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