忍者ブログ

きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

最近の’妄想’
2025/12/31 ・・・ ようこそ
2023/12/24 ・・・ 金牙新年!
2023/12/03 ・・・ 冬ごもり大作戦(2)
2023/11/19 ・・・ 冬ごもり大作戦(1)
2023/10/15 ・・・ とある秋の日
2023/08/06 ・・・ いちばんの存在(6)
2023/07/30 ・・・ いちばんの存在(5)
2023/07/09 ・・・ いちばんの存在(4)
2023/07/02 ・・・ いちばんの存在(3)
最近の’お礼’

運命と後悔と信じること

メルヘンを書けばメルヘンが続くし、スキマを書けばスキマが続く…
あたしのことを、切り替えが下手なヤツだと、笑いたきゃ笑うがいいサ…
(なぜ、やさぐれる? 苦笑)

今回のテーマは

「鋼牙の知らないカオルの話 & カオルの知らない鋼牙の話」

です。
あっ、と言っても、プチ妄想ですからね?
いつもの軽いノリですから!




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「カオル、もっとお前の話を聞かせてくれ」

「どんな?」

「俺の知らないことなら何でもいい」

「鋼牙の知らないあたしのこと?
 なんだろう?

 あたしの知らない鋼牙の話ならたくさんありそうだけど」

「…」

「あれっ?
 そんなものなどない、じゃないの?」

カオルの知らない鋼牙の話…
胸の刻印のことを秘密にしている鋼牙は、いろいろな想いを込めて、

「そうだな」

という言葉を言った。
だが、そんなことなど知る由もないカオルは、

(いったい何を鋼牙と話そう?)

と、嬉々として考えていた。

(あっ!)

カオルはひとつ聞いてみたかったことを思い出した。

「ねぇ、鋼牙?」

「なんだ?」

「ん~とね、ひとつ思い出したことがあるんだけど…」

鋼牙は、カオルの言葉を待った。
どんなふうに話そうかを考えているカオルを、鋼牙は愛おしそうに見ていた。

「あのね、メシアが復活しようとしていたときなんだけどね…
 あたし、ゴンザさんに聞かれたことがあったの」

カオルは話しながら、そのときのことを思い出していた。





それは、鋼牙と零が、ふたりで東の番犬所に乗り込んでいったときのことだ。
ゴンザとふたりで、鋼牙たちの背を見送りながら、カオルがポツリと呟いた。

「運命って不思議ですね。

 だって、お父さんも私も同じようにホラーに襲われて… 黄金騎士に
 命を救われた…」

幼い頃に死に別れた父は、家族を省みずに画家として創作活動に没頭していた。
そんな父にわだかまりを感じていたカオル。
だが、今では、その父と同じように画家になることを目標とし、父も自分と
同じように黄金騎士に助けられたことを知った。
不思議な因縁の父娘… そして、黄金騎士の父子。

「その運命を後悔なされてますか?」

ゴンザがカオルに聞いた。
それは、とてもあたたかな声だった。

「…」

カオルは言葉もなく、静かに首を横に振った。





「そうか、そんなことがあったのか…」

初めて聞かされたその話に、鋼牙は少し胸を熱くした。
その鋼牙に、カオルがおずおずと切り出した。

「ね、鋼牙?
 鋼牙はどう思ってる?

 その… あたしと出会えたこと…」

少し恥ずかしそうに視線を外して歩きながら、カオルが聞いた。

鋼牙の足がふと止まった。
そんな鋼牙に気付き、少し遅れてカオルも足を止めて振り返った。

カオルを静かに見つめる鋼牙。
その視線を受け止めきれず、なんとなく下を向いてしまうカオル。

そんなカオルに鋼牙はゆっくりと近づいた。
そして、そのまま抱きしめた。

長身の鋼牙に抱き締められると、カオルはスッポリと腕の中に収まって
しまう。
鋼牙の匂いと、鋼牙の体温に包まれたカオルは、一瞬、身を固くしたが、
すぐにすべてを委ねるように身体から力を抜いた。



「カオル…」

すぐ近くで響く鋼牙の声に、カオルは顔をあげた。
もう気恥ずかしさはどこかに消えた。
至近距離でふたりの視線が交差する。

「これが運命かどうか… 俺には判らない。

 でも、これがもし運命だと言うなら、俺はあまりに過酷な運命をおまえに
 与えてしまった。  …すまない」

鋼牙の謝罪の言葉に、カオルは必死にかぶりを振った。

「だが、俺に後悔はない。
 おまえと出会えて、俺は…」

カオルの大きな瞳が潤んでいた。
その瞳に鋼牙が映っている。



このとき、カオルは思っていた。

(この先、どんな運命が待っているのかはわからない…
 …わからないけど、あたし…

 …あたしは、鋼牙を信じよう!

 ううん、きっと、あたしは鋼牙を信じられる… そんな気がする)



日は少し西に傾き、柔らかさを増した光が、’英霊の塔’ を鈍く照らしていた。
鋼牙が牙狼の鎧を初めて召喚し、そして、いずれその亡骸が納められるで
あろう ’英霊の塔’。
その塔のそばで、鋼牙の腕の中のカオルは、このうえない幸せを感じていた。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


この妄想は、ご存じ、MAKAISENKI 第11話「咆哮」の中の鋼牙とカオルが
そぞろ歩くあのシーンから始まります。

「咆哮」の辺りは、「To be, or not to be」という妄想でも書いていますが、
今回は、ピンポイントで、

「鋼牙の知らないあたしの話? なんだろう?」

というカオルちゃんの台詞の後のふたりの会話を勝手に妄想してみました。

あのときの鋼牙さんは、カオルちゃんに ’破滅の刻印’ のことを秘密に
していたので、「あたしの知らない鋼牙の話」というカオルちゃんの
言葉にいろいろ想うところがあったことでしょう。
ですが、カオルちゃんにしてみれば、いつもは魔戒騎士の仕事に忙しい
鋼牙さんとふたりきりで過ごせる貴重な時間!

鋼牙さんから、何か素敵なことを聞かされたのかも… という感じです。



そもそも、この妄想を始めるきっかけは…
第21話「牙城」から第22話「盟友」にかけて、ギャノンの骸に囚われた
鋼牙を、「会いたい一心」で取り戻すことができたカオルちゃん。
その気持ちのよりどころは何だろう? というものです。

確実に、鋼牙を信じられる出来事があったはず!

そういう視点で、眺めたとき、この「咆哮」のシーンの後が… という
ふうになりました。

ちなみに、途中に出てきた回想シーンは、第一期の第22話「刻印」に
あります。



さて、いろいろ長々と書きましたが、そんなことはどうでもいいです。
あのシーンの後のことを、皆様もいろんなふうに妄想していただけたらなぁ
なんて思ってます。(それだけです!)

拍手[31回]

コメント
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



hitori 様[07/08]
tomy 様[07/27]
麗羽 様[08/23]
夕月 様[12/22]
夕月 様[07/15]
こちらから selfish 宛にメールが送れます。
(メールアドレス欄は入力しなくてもOK!)

PR
忍者ブログ [PR]
Template by repe