忍者ブログ

きんのまなざし ぎんのささやき

また巡り逢える(2)

鋼牙と零の会話部分がうろ覚え…
なんか、こんな感じじゃありませんでしたっけ?

そこはさらっと終わろうと思っているのに、ついつい楽しくて書いてしまう…
「勢い」で書くとこうなります… という見本ですね。

読まれる方は、適当にさらっとでお願いします。




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「帰ってたんだ…」

丘の上まで急ぐわけでもなくゆっくりと上ってきた零が、微笑みながら、
いつもと変わらない調子で、鋼牙に言った。

鋼牙の行っていたのは ’約束の地’。
そこに行って、帰って来た者などいない、という、いわくつきの場所だ。
そこから戻ってきた友を迎えるには、零の迎え方は、あまりに軽い調子
だった。

だが、鋼牙にとっては、「必ず鋼牙は帰って来る」という零が疑いもなく
信じていたことを表しているように思え、それほどまでに深く信頼してくれる
友の存在をありがたく感じた。


そして、零は、’約束の地’ に関することを、何一つ聞こうとしなかった。

なぜなら、今、この場所に鋼牙がいるのは、そんな話をするためでは
ないことを、零は十分承知していたからだ。


男たちの視線がぶつかる…

(さすがだぜ、鋼牙。
 あの ’約束の地’ から無事に戻って来たとはな…)

(とうとう、名だたる騎士たちのトップに上り詰めたか…
 零、おまえの実力を確かめさせてもらおう)

(おまえの留守を守ってきたのは、伊達じゃないからね。
 存分に俺の剣を喰らいやがれ!)

それぞれの心に想うことは、口には出さずとも、よく解っていた。

当然の流れで、ふたりは剣を交えることになる。




「鋼牙… ふたり分ではどうかな?」

(なに! ふたり分?)

零の剣を受けた鋼牙は、零の隣に幻を見た。
それは、父、大河の姿だった。

(なぜ、父さんがここに?)

「鋼牙、サバックの優勝者に与えられる褒美のこと、覚えているだろ?」

サバックを勝ち抜いた者には、世の理(ことわり)に反して、死者と再会できる
という褒美が与えられた。
零は、会いたい者として、鋼牙の父、大河を選んだということらしい。




父には、’約束の地’ でも会った。

「強くなったな」

父に抱き締められたときの温かさ、力強さが蘇った。

剣をすり合わせ、父の視線とぶつかった。

父の目は温かかった。
そして、騎士としての力強さもいまだ、十分持ち合わせていた。

「零…」

友の導きに、鋼牙は感謝した。
だがすぐにセンチメンタルな情はかなぐり捨てて、低く吠える。

「ふたりだろうが構わん。
 遠慮なく来いっ」

それを聞いて、零がにやりと笑う。

「お~し、それじゃ、行くぜっ」

双剣を握る手に力を込めて、零が踏み込んでくる。
一歩遅れるように、大河の幻もついてくる。
そうかと思えば、大河の動きが一瞬早く、零の重い打撃が後からずしりと
追いかけてくることもあった。

大河の幻は、零の刃(やいば)を借りて、鋼牙を真正面から攻め、受け、
薙ぎ払った。
鋼牙も奇をてらうことなく、正攻法で向かっていった。

それは、勝負というよりは、まるで立会稽古のような趣きすらあった。
ある種、静謐な時間が流れているようにも、零には感じられた。

相手を負かそうとする意識は微塵もなく、相手の太刀筋から何かを会得しよう
という真摯な探求心が見えた。
そこには、相手を尊敬し、信頼し、畏怖する気持ちが確かにあった。




やがて、ふたりの間で大きく間合いが取られた。
静かな睨み合いの後で、目だけの会話がなされた。

(いくぞっ)

(こいっ)

それまでのお行儀のいい攻めを、ふたりは同時にかなぐり捨てた。
闇雲に力と力がぶつかり、意地と意地がぶつかった。
息をもつかせず、攻めと受けが目まぐるしく変わっていく。

零の渾身の一撃を鋼牙は怯(ひる)まずに受け止め、剣を間にしてギリギリと
力をぶつけ合う。

至近距離で、鋼牙と零の視線が火花を散らす。


ふたりとも相手を射殺すような、感情が剥き出しの目をしていると、まったく
同じタイミングで

(あっ!)

と何かに気が付いた。

大河だ!

大河がふたりを包むように大きく腕を広げているのを感じた。

(そろそろ時間が来たようだ…)

さっきより、ずいぶん薄くなって見える大河が笑っていた。
ふたりは同時に剣を引き、横に並んで、大河に対峙した。
大河は大きく成長したふたりの騎士を等分に見た。

(鋼牙。
 俺からお前に言うことはもう何もない。
 おまえの信じる道を突き進むがいい)

そう言って息子を見つめる大河の表情は、どこか誇らしく、一抹の寂しさも
見え隠れしていた。

鋼牙は、父の言葉に黙って大きくうなずいた。

(零。
 君もまた、素晴らしい魔戒騎士だ。
 君のような若者と剣を交えることができて嬉しかったよ。

 そして、ありがとう…
 お蔭で鋼牙とも闘うことができた。 感謝するよ…)

大河は、零にも感謝の言葉をかけ、父のような温かい目で見つめた。
零は、大河に向かって万感の想いを込めて頭を下げた。



日が傾きだし、弱々しくなった光が、穏やかな海に降り注がれ、海風が
優しく騎士たちの間を吹き抜けていく。

大河の姿は端のほうから光の粒子となり、その海風に運ばれるように
あっという間に空へと消えていった。

「…」

ふたりは無言で、大河の消えた空を見た。




いつまでも空を見ている零に、鋼牙は声を掛けた。

「すまなかったな…」

その表情は穏やかで、落ち着いた声だった。

「なに、マジなこと言ってんだよ。
 照れるじゃん…」

零は本当に照れくさそうだ。
そう言われて鋼牙も照れそうになるが、無理に眉根にぐっと力を込めた。

「零、これで何の遠慮もいらなくなったな。
 全力でかかってこい」

「あっ、やっぱり判った?
 どうしてもふたりで闘うと、親父さんの動きに引きずられちゃうんだよね…

 俺の気の済むまで、存分に相手してくれる?」

零がウキウキとして言った。

「あぁ…
 一晩中だって、相手してやる」

「OK! そうこなくっちゃ!
 いくぜ、鋼牙!」

鋼牙との間合いを取り、両手に持った剣をクルクルと回した零が、ピタリと
剣を構え、腰を落として力を溜めた。
そして、次の瞬間、弾けるように鋼牙目がけて突っ込んだ。

零の情け容赦のない攻めが、右から左、そして、正面からの突きと見せかけて、
上から叩き下ろす… といった具合に、次から次へと繰り出された。
そのすべてに一分(いちぶ)の隙もなく、鋼牙の身体に届けとばかりに
重い打撃で襲い掛かった。
そのひとつひとつを見切り、着実に受けては弾いていく鋼牙。



(これでこそ、零だ)

鋼牙は零の剣を受けながら、自然に顔がほころんだ。

零とは何度か剣を交えていた。
その度に、変わらない何かと、変わっていく何かを感じていた。
それは、零も同じだった。


(どうだ、零?
 俺の剣は、少しは強くなっているか?)


零の斬撃の隙をつき、鋼牙の剣も攻めに転じた。
怒涛のような攻防の中、目の前のおもちゃに夢中な少年のように、零の顔が
キラキラしてきたのを、鋼牙はしっかり感じていた。



夕日が水平線に達し、海も砂浜も、ふたりの騎士もすべてをオレンジ色に
染め上げていた。
鋼牙も零も、その体力、集中力ともにそろそろ限界が来る頃だった。

最後の光が水平線の彼方にフツリと消えた瞬間、零が攻撃のリズムを唐突に
変化させた。

(このままじゃ埒が明かねぇ。 イチかバチか…)

無謀とも言えるくらい踏み込んで、鋼牙へと剣を伸ばした。

(届いた!)

零の剣が鋼牙の右手の袖口をかすめた。
鋼牙の手の甲に一筋の赤い線が走った。

だが、ほぼ同時に、零の左の頬に鋼牙の剣も届いていた。
零の頬に血が伝った。


すぐに、お互いに剣を引いた。
サバックでは、どちらかが血を流した時点で勝負が決するのだ。

鋼牙は手の甲を見て、零は頬に手をやった。



「うわぁ~ 勝ったと思ったのになぁ!」

零はそう叫ぶと、ドカリとその場に大の字に寝転がった。
鋼牙は零を見下ろすと言った。

「そう簡単に勝たせやしない…」

零は、鋼牙を見上げながら言う。

「やっぱ、悔しいけど、おまえは強いよ」

「…おまえもな」

そして、どちらからともなく笑った。



to be continued(3へ)
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

拍手[22回]

コメント
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



tomy 様[07/27]
麗羽 様[08/23]
夕月 様[12/22]
夕月 様[07/15]
夕月 様[07/14]
こちらから selfish 宛にメールが送れます。
(メールアドレス欄は入力しなくてもOK!)

こちらからゲームが楽しめます!
(もちろん無料!)



脳が飛び出す回転パズル くるポト
PR
忍者ブログ [PR]
Template by repe