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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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Special day

えっと、えっと、今何時?

きゃ~、バレンタイン・デーが終わっちゃう!!


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

2月14日。
今日という日は、好きな人がいる女性なら誰でも、一年の中で一番
大事な日だ。

ところが、そんな日に限って、鋼牙は屋敷を留守にしていた。

例によって例のごとく、2日前に元老院から指令が来たかと思うと、
そのまま屋敷を出ていったきり、いまだに帰らない。



今日は天気も落ち着いていて、日中はポカポカとした温かい陽射しにも
恵まれた。
さすがに外は冷たい風が吹いているが、ここ、冴島家のリビングは
快適な温度に保たれていて、鋼牙のいない屋敷の留守を守るゴンザと
カオルの、ふたりだけの午後のティータイムが始まろうとしていた。



「鋼牙様からは何もご連絡がありませんなぁ…」

そう言いながら、ゴンザは淹れたての紅茶をカオルに差し出した。
カオルは小さな声で、ありがとう、と言ってから、

「しょうがないよ、仕事だもん。
 鋼牙だってきっと頑張ってるんだから、もうじき帰ってくるよ」

と、ゴンザに笑顔を見せた。
なんだか、逆にカオルから励まされるような恰好になったゴンザは、
その笑顔に応えるようにうなずいてから、

「さようでございますとも。
 きっと、鋼牙様は今夜にでもお戻りになられますよ」

と元気に言ってみせた。

「そうだね。
 …そうだったらいいね」

カオルはそう言って、柔らかい陽射しが差している窓辺のほうを見た。



そのとき… 玄関の呼び鈴がなった。

「おや? 誰でしょうな?」

訝しげな顔で誰に言うともなく言うと、ゴンザは玄関へと向かう。

リビングにひとり残されたカオルからは笑顔が消え、小さく溜め息を
ついた。
ゴンザの前では気丈に振る舞うものの、やはり、鋼牙がいないことは
とても寂しかった。



しばらくしてから、ゴンザがリビングに帰って来た。
手には花束が抱えられていた。

「うわぁ、ゴンザさん!
 どうしたの、それ?」

驚いて声をあげたカオルに、ゴンザは花束の影から顔を覗かせると、

「カオル様へのお届け物ですよ」

と言った。

「あたしに?」

近くで見るとそれは、濃淡様々なピンクのバラの花束で、砂糖菓子の
ように甘いロマンチックなものだった。




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(★印は検索避けです)


「誰からだろう?」

ポツリとそう呟くと、

「カードがついておりますよ」

と、ゴンザが目で教えてくれた。
カオルはすぐに、そのカードを取り上げると、二つ折りになっている
それを開いて中を見た。

エンボス加工がされただけで、何の飾りもない真っ白なカードには、


  For カオル

       From K


とだけ書かれていた。

(Kって…  鋼牙?)

思わず顔が輝く。
そんなカオルを、にこにことゴンザが見守っている。

カオルは腕の中の花束をまじまじと見つめ、それからフワリとそれを
抱きしめた。

「ゴンザさん、これ…」

輝くような顔で、カオルはゴンザを見た。

「はい、鋼牙様からでございますよ」

その言葉を聞くと、カオルの顔がクシャリと泣きそうに歪んだ。

「鋼牙様がこのようなことをなさるとは…

 ようございましたね、カオル様」

慈愛に満ちたゴンザにそう言われると、

「…うん」

とカオルは花束の中に顔を埋めた。




結局、夕食の時間になっても鋼牙は帰ってこなかった。
今夜の食事はどれもとてもおいしかったのだが、目の前の主のいない席を
見ていると、カオルの表情は自然と曇った。

だが、カオルには鋼牙から、バラの花束が届いていたのだ。
それを考えると、カオルの心は少しだけ上を向く。

その花束は、今、カオルの部屋に飾られている。
食後、早々に部屋に引き上げ、そのバラを前にしてデッサンをとる。




その夜遅く、そろそろ日付が変わろうかと言う頃。
鋼牙が屋敷に帰って来た。

「お帰りなさいませ、鋼牙様」

「あぁ…」

出迎えてくれたゴンザへの返事もそこそこに、鋼牙はカオルの部屋へと
急いだ。


 コンコンコン…

ノックするが、カオルの返事がない。

「入るぞ…」

声をかけてからドアノブに手をかける。
ゆっくりドアを開くと、鋼牙の鼻に甘い花の香りが漂ってきた。

今日、鋼牙が届けさせた花が、部屋の中央の丸テーブルに置かれた
大きな白磁の花瓶に活けられていた。
そのテーブルの前の椅子には、カオルが…

デッサンしている途中で寝入ってしまったのか、スケッチブックを
膝に乗せ、鉛筆も持ったままの姿勢であった。
とても穏やかな顔だ。

カオルの寝顔を見ながら、心がどんどん穏やかになっているのを鋼牙は
感じていた。
鋼牙は思わずクスリと笑う。



『せっかく急いで帰ってきたというのに、カオルは夢の中か?』

ザルバの呟きを、鋼牙は、シッと制する。


  パサリ…


膝からスケッチブックが落ちた。
その音に、カオルの目が覚める。



眠そうな目を二度三度と瞬きさせてから、ようやく、目の前に立っている
鋼牙に気がついた。
カオルはニッコリと笑いかける。

「おかえり」

鋼牙はカオルのそばまで来ると、他の誰にも見せないような優しい顔を
して、

「あぁ、ただいま」

と言った。


気づけば、日付は変わっていた。
だが、鋼牙さえいれば、今日がバレンタイン・デーでもそうでなくても
カオルにとっては特別な日なのだった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


ギリギリ間に合った!
あと、10分でバレンタイン・デーが終わります。

21時くらいから書き始めて、途中いろいろ用事を差し挟みながら
だったので駆け足もいいとこですが、足りない部分は、みなさまの
頭ン中で補完してくださいませ!

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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