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きんのまなざし ぎんのささやき

呪縛を解き放て(2)

書きだしたら、ほんとにいろんなことを忘れてる、って改めて思いました。

お互いになんて呼び合ってるんだっけ? とか。

ん~、ま、いっか。
なんとなく雰囲気で読んどいてくださいませ。


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森に狩りに行ったまま帰らない王子が心配で、カオルンは自分も探しに
行きたいと言い出しました。
驚き慌てたゴーザンは、カオルンの身を心配して、

「なりません。
 カオルン様は城で我々が帰るのをお待ちになっていてください」

と止めにかかりましたが、カオルンの気持ちはとても固いものでした。

「ゴーザン、お願い!
 無茶はしないし、みんなの言うことをちゃんと聞くから、あたしも
 連れていって、ねっ?
 レイくん、いいでしょ?」

と顔の前で手を合わせ、小首をかしげてお願いします。
この仕草をされるとゴーザンは弱いということを、カオルンはよく
心得ています。
案の定、

「う~~~ん。
 ほんとうに無茶はしませんね?」

とゴーザンは渋々ながらも念を押すように聞いてきました。

「うん、絶対しません!」

「ほんとですね?」

「ほんとにほんと!」

そんなやりとりの後、カオルンが一緒に行くのをゴーザンは許して
しまいました。
そんなふたりをそばで見ていたレイは、

(やれやれ、ほんとに大丈夫かねぇ?)

などと思いながらニヤニヤしていましたが、ふたりの間で話がついたので、
スッと顔を引き締め、集まった人たちに向かって大声を張り上げました。

「みんな、聞いてくれ!

 王子がどんな状況に陥っているかわからない。
 だから、必ずふたりで組になって行動するようにして、単独行動は
 絶対にしないこと!

 とにかく、少しでも危険だと判断したら、迷わず戻ってくれ!
 いいね?

 じゃ、王子を探しに出発しよう!」

「「お~っ!」」

捜索隊の人々は、必ず王子を見つけて連れて帰ろうと、ときの声をあげ、
一団となって森へ向けて出発しました。
カオルンも真剣な顔で、レイとゴーザンの後ろを馬に乗ってついて
行きます。

森の道を進みながら、レイは人々に的確に指示を出していきます。

「よし、このあたりで何組か残って捜索してくれない?」

「誰か!
 今来た道を戻って、何か情報を掴んだ者がいないか聞いてきて
 ほしいんだけど…」

捜索隊の中には、レイの父親くらいの人も、それ以上の年齢の者も大勢
いましたが、みなレイの言うことに大人しく従いました。

レイは、他国からきた青年ではありましたが、その剣の腕前は、当代一とも
言われる王子に負けずとも劣りませんでしたし、勇気も度胸も人並み以上に
あり、王子からも大きな信頼が寄せられていました。
それに、レイはとてもきれいな顔立ちをしていて、特に若い女性たちには
絶大な人気がありましたが、普段から、身分の上下に関係なく、人懐こい
笑顔を浮かべて誰にでも気さくに声をかけるレイのことを、年齢も性別も
関係なく、みんなが大好きでした。

だから、王子の一大事、というこのときに、王子の親友であるレイの
言うことを、みんなは素直に聞いて、一刻も早く王子を探し出そうと
思っていました。




森を進むたびに少しずつ少しずつ捜索隊の人たちがバラけていき、

最初は大勢いた者たちも、太陽が高い位置に昇った頃には、とうとう
レイたち3人だけになりました。

「…」

3人は無言のまま、目だけキョロキョロと辺りを隈(くま)なく見ています。
ほんのちょっとでも何か王子の行方の手がかりがないか、みな必死です。



そのときです。
急に横手の茂みの奥が
ガサゴソと動きました。

一行の先頭を進んでいたレイはすぐに馬を取って返し、カオルンたちを
後ろ手にかばうようにして、茂みのほうを睨み、剣の柄に手をかけて
油断なく身構えました。

しばらくして、茂みからヒョッコリ顔を出したのは、1人の少年でした。
手には小枝の束を持ち、背中の背負子(しょいこ)には太い枝が沢山
積まれています。
どうやら森に薪を集めに来ているようでした。

茂みの中から現れた少年は、レイたちを見て、驚いたようにちょっと
立ち止まりましたが、すぐにぺこりと頭を下げて、レイたちが今来た
道のほうへ去ろうとしました。

クマや狼などの類ではなく、ホッと胸を撫で下ろした3人でしたが、
レイはすぐに慌てて少年を呼び止めました。

「おい、君!
 ちょっと待ってくれないか?」

呼ばれた少年は訝しそうにしながらも振り返って、わざわざレイたちの
ところまで数歩戻ってきてくれました。

「なんですか?」

「ちょっと聞きたいんだけど…
 君はいつもこの森に来てるのかい?」

何を言われるか内心ビクついていた少年は、にこやかなレイの様子と、
質問の内容に安心したのか、少し表情が緩みました。

「うん。 …あ、はい。
 天気さえ悪くなければ、毎日来てます」

それを聞いて、レイはもっとニコニコして、馬から降りました。

「じゃあさ、昨日のことなんだけど…
 森の中で、王子の姿を見なかったかい?」

レイは、少年と目線を合わせるように少ししゃがんで尋ねました。
目の前のレイに、少年は親近感を感じたのか、

「あぁ… うん、昨日、王子を見たよ。
 ウイドーの館の方に行こうとしてたから、あんまり近づかないほうが
 いいよって、教えてあげたよ」

と、すっかり打ち解けた口調で話してくれました。
それを聞いて、ゴーザンとカオルンは顔を見合わせて嬉しそうにしました。
王子の行方の手掛かりを見つけたかもしれないからです。

「へぇ…
 で、そのウイドーの館っていうのは、どこなんだい?」

レイは、さらに少年に尋ねます。
すると、少年は前方を指差しながら言いました。

「この道をもう少し行くと、左のほうに入っていく道があるんだ。
 手入れがされていないから道に見えないかもしれないけど…

 それでね、その道に入ってしばらく進むと、湖に出るはずだよ。
 その湖を挟んで反対側に見える建物が、ウイドーの館さ!」

「そうか、ありがとう!」

レイが笑って礼を言い、ポケットに手を突っ込んでゴソゴソしていたかと
思うと

「はい。
 こんなもんしかないけど…」

と、キャンディを2つ少年の手の平に乗せました。

手掛かりを掴んで晴れやかな顔をするレイとは対照的に、少年は顔を
曇らせて尋ね返します。

「まさか、そこに今から行くつもり?」

「そのつもりだけど…
 何か問題でもあるかい?」

「あそこには、魔女がいるって噂だよ。
 だから、王子にもそう言ったんだ。
 近づかない方がいいって」

「なるほどね…
 ありがとう。いろいろ教えてもらって助かったよ」

レイが礼を言うと、じゃあね、と、少年は去っていきました。




「どうやら、そのウイドーの館が怪しいですな」

ゴーザンがレイに言います。
レイは、馬にまたがると、

「あぁ、そのようだ」

と言いました。

「じゃあ、今からそこに行くのね?」

カオルンが期待するように聞くと、

「そうだね…  でも、カオルンはダメだよ。
 ゴーザンと一緒にここから引き返すんだ。
 その屋敷には魔女がいるっていうからね。

 ここから先は、俺ひとりで行くことにする」

レイが真剣な顔でカオルンに言いました。

「そんなぁ!」



to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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