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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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呪縛を解き放て(1)

忘れた頃にやってくる、カオルンとゆかいな仲間たち(?)の物語が
始まりますよぉ!

よい子のお友達、寝ないで待っててくれたかな?
(あ、よい子はみんな寝てる時間ですね… 笑)

久々過ぎていろんなことを忘れてますが(苦笑)、書きだしたら思い出す
だろう… というイイ加減な感じでスタートでございます!

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ここは、サエジーマ国。

この国の王子であるコーガは、ほんのちょっと前までは化け物によって
深い眠りについていましたが、バルザという髑髏の形をした王子の指輪に
導かれてやってきた三人の旅人によって眠りから覚め、化け物を退治する
ことができました。

この三人の旅人は、
生涯をかけて愛することが出来る伴侶を求めていた少女カオルン、
生涯仕えるにふさわしい主人を探していた凄腕使用人ゴーザン、そして、
生涯を通して高め合う剣のライバルを望んでいた青年レイであり、
三人は、それぞれが追い求めていた人物こそ、このコーガ王子であると
確信して、今ではサエジーマ国で幸せに暮らしていました。

そんなある日のこと。

そろそろ夕食の時間だというのに、コーガ王子は狩りに出掛けたまま、
なかなか帰ってきませんでした。

いつもなら、森に狩りに行くときにはレイと一緒に出掛け、お互いに
狩りの腕前を競い合うところなのですが、その日に限って用事のあった
レイを残して、王子はひとりで出掛けていったのでした。

「王子はどこまで行ったのでしょうな…」

ゴーザンは心配そうに、夕食の支度の整った部屋の窓から、王子が狩りに
行ったであろう森のあたりを眺めました。
陽はまだ完全には落ちていませんでしたが、森の中はもうすでに闇に
閉ざされ、明かりがないと一歩も進めないような暗さでした。

「…」

食卓についているカオルンは、祈るように手を組んで、何かにじっと
耐えているようでした。

帰りの遅い王子を心配をして、レイも駆けつけてきました。

「コーガは?
 王子はもう帰ってきた?」

部屋のドアを開けるなり、そう尋ねるレイを、普段ならゴーザンは無礼だと
諌(いさ)めるのですが、今はそんな余裕はありません。

「いえ…
 探しに行ったほうがよいものかどうか…」

心配そうな顔で、ゴーザンはレイに助言を求めます。

「そうだな…」

腕を組んで考え込みながら、レイはちらりとカオルンの顔を見ました。
カオルンは何も言いませんでしたが、大きな瞳は口以上に物を言って
いました。
それを見て、レイの気持ちはすぐに固まります。

「よし。
 すぐに、揃えるだけの人数を集めて、王子を迎えに行ってみよう。

 なぁに、大丈夫!
 じきにコーガを連れて帰ってくるから…」

そう言ってレイはカオルンにウインクをすると、すぐさま部屋を
出ていきました。

ドアが閉まるやいなや、足早に廊下を歩いていくレイの靴音と、

「誰か!
 城の警護の者以外で手の空いているヤツはいないか!」

という叫び声が聞こえ、遠ざかっていきました。
それを聞きながら、カオルンの手が、さらにギュッと強く握りしめ
られます。
ソワソワと落ち着かなそうにしていたゴーザンも、

「それでは、わたくしもちょっと行ってきます」

と言い残し、部屋を出ていきました。
ひとり残されたカオルンは、椅子から立ち上がると、さっきまで
ゴーザンのいた窓辺に近付きました。

「レイくん、ゴーザンさん、お願い。
 王子を早く見つけて…」

悲痛な表情でそう呟いたカオルンは、眼下にゾロゾロと集まる
たいまつの明かりを眺めました。





レイ達が出て行ってからどのくらい時間が経ったのでしょう。
カオルンのために用意された食卓の上のスープは、もうすっかり
冷え切っています。

食卓に肘をついて組み合わせた両手に額をつけて、ピクリともせずに
いたカオルンが、ハッと顔をあげました。
ドアの向こうの廊下に何人かの靴音が聞こえます。

部屋のドアが開いたのに合わせて、カオルンも腰を浮かせてドアのほうに
視線を伸ばします。

部屋に入って来たのは、暗い顔のレイと、泣きそうな顔のゴーザンでした。
ふたりの顔を見て、カオルンの不安は頂点に達します。

「レイくん、王子は?
 ゴーザンさん、一緒ではないの?」

救いでも求めるように、カオルンが聞きます。

その問いに、レイは思わず顔を背けました。
そんなレイをちらっと見てから、ゴーザンはカオルンに近付いてきて、
ゆっくりと言いました。

「カオルン、落ち着いてください。
 王子は…

 見つかりませんでした」

「えっ」

愕然として、ストンと椅子に腰を下ろしたカオルンは少し放心している
ようでした。

「カオルン、大丈夫です。
 王子に何かあったことは間違いありませんが、あの王子のことです。
 きっと、今宵はどこかで宿を取っているでしょう。
 明日の朝、明るくなったらまた探しに行きます。
 そしたら、王子の足取りもすぐに掴むこともできましょう。

 それに、明日になれば、案外、王子のほうから、ひょっこり城に
 帰ってくるかもしれませんよ」

ゴーザンはカオルンを安心させようと、明るくそう言いました。
カオルンもゴーザンの気遣いがわかったので、

「そうだね。
 明日になったら、きっと無事に帰ってくるよね」

と、頑張って笑顔をつくって言いました。
そして、

「レイくんもゴーザンさんも、それに探しに行ってくれたみんなも
 疲れたでしょ?
 食事をとって、今日はもうゆっくり休んでね。

 あたしは、もう部屋に下がるわ」

そう言って、カオルンは椅子から立ち上がり、部屋を出ていきました。
気丈に振る舞う彼女の背中を、ゴーザンとレイは痛ましそうに見送り
ました。



  パタン…

自分の部屋に着いた途端、カオルンの足から力が抜け、その場に膝を
ついてしまいました。
そして、そのまま項垂れそうになりましたが、無理矢理ぐいっと顔を
上げて、胸の前で手を組みました。

「あぁ、どうか、王子を無事に返してください…」



その夜、カオルンは、大きなベッドに小さくなって、寂しい気持ちに
耐えながら眠りに就きました。




翌日。
朝日が顔を覗かせた頃。
レイやゴーザンも含め、多くの人々が王子捜索隊を形成して城を
出発しようとしていました。

そこへ、カオルンが現れました。

「カオルン、どうしたの?
 そんな恰好して…」

カオルンはいつものスカート姿ではなく、以前、ゴーザンやレイと旅をして
いたときのような恰好をしていました。

「あたしも王子を探しに行くわ!」

「「え~っ!」」



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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