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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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誰も知らない(11)

本日は、「誰も知らない(10)」と「誰も知らない(11)」の2本を同時アップしています。

大人の方は、「誰も知らない(10)」を先にお読みになってますか?
もし、「読んでないよ」という方はそちらを先にお読みくださいね。

そうでない方は、「誰も知らない(10)」には何が書いてあるんだろう、と、めいっぱい妄想してから、こちらをお読みくださいませ。


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水鳥が助走をつけて、湖を飛び立っていった。
鏡のような湖面に、水鳥の足がちょんちょんと触れて、切り取り線のような線をつけていく。

玻璃の湖の朝は、静かでどこか厳かな冷気にあふれていた。

湖のそばに立つ小屋にも、そんな空気でひたひたと満たされていた。
明け方になってグンと冷え込んだ小屋の中で、翼と邪美は暖を求めるように、互いにしっかり抱き合って眠っていた。

ふっと、邪美が目を覚ました。

目の前に翼の顔が見え、瞬時に昨晩のことが思い出されて顔が火照る。
翼の腕の中で翼の温もりを感じ、翼の匂いに包まれて目覚める朝。
そんな朝を迎えることになろうとは、思いもよらなかった。

(翼が起きたらどんな顔をすればいいんだろうね…)

ふふふと声を立てないように笑い、そんなことを考えてみる。

(誰も知らない翼を感じたこと。
 誰も知らない自分を翼に見せたこと。

 こんなに幸せな気持ちになるなんて知らなかった…)

どういうわけだか涙が滲みそうになって、邪美は慌ててごそごそと翼の懐に潜り込んだ。




その日の夕暮近くになる頃、翼と邪美は閑岱の里にたどり着いた。
コクリュウダケの毒に倒れたという邪美のことを、鈴も里のみんなも心配していたが、邪美の元気そうな顔を見て一様にほっとしていた。

帰着の挨拶に我雷の元をふたりが訪れたとき、我雷も里の者と同様に邪美の無事を喜んだ。
そのとき、邪美の気がいつものような ’強さ’ を感じさせなかったのだったが、それはきっと邪美が病み上がりだからだろう、と我雷は勝手に理解した。

しかし、それ以降の邪美が翼に接するときの様子や、翼が邪美に見せる態度を見て、

(あのときに何かあったか…)

と思うようになるのだが…
夫婦然としたふたりを見て我雷がにやりと笑うのは、今しばらく後のことだった。



fin
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長い間、お付き合いいただきありがとうございました!!
ようやく「fin」にこぎつけました。

思い起こせば(?)この妄想を書き始めた頃には、こんなに長くなるとは思いも寄りませんでした。
いつまでも進展しない翼と邪美にやきもきして、「ほらほら、おばちゃんがお膳立てしてあげるから、少しは距離が縮めてきなさいよ」とシチュエーションだけを決めてのフライングスタートでした。
それがまぁ、よもやこんなふうに急接近しちゃうなんて… みなさんの応援コメのお蔭です。
自分でもかなり驚いてますが、コメいただいたみなさんに気に入ってもらえると幸いです。

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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