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きんのまなざし ぎんのささやき

誰も知らない(9)

最初にお断りを…

この先は、決して ’大人限定’ ではございません。
どうか、安心(?)してお先へどうぞ。

いやぁ~こんなこと言うと、「失望させやがって…」ってなるんだろうなぁ~
ひぇ~、ごめんなさぁ~い!


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 ザザ… ザザ…

’玻璃の泉’ の岸辺に規則的に打ちつける波を乱すように、湖からあがってくる人影があった。
邪美だ。
均整のとれたプロポーション、しなやかに動く長い四肢。
一糸まとわぬその身体についた水滴が、月光を浴びてきらきらと光るその姿は、月並みではあるが、まるで月の女神か湖の化身のように美しかった。



翼に抱き締められたときに、邪美は

「水を浴びたい」

と願った。
翼は無言で見つめていたが、

「そうか」

と言って、邪美を抱きしめていた腕を解いたのはつい先ほどのことだ。

少し離れた焚火のところに、こちらに背中を向けて座っている翼がいた。
恐らく、こちらを振り返るようなことはしないだろう。
それでもなんとなく、邪美は身体を隠すようにして服を脱いだ場所に急いだ。
すると、そこには、よく乾いたタオルがきれいに畳まれて置かれているではないか。
普段は武骨な翼にこういう気遣いをされると、かなりググッとハートを掴まれる。
なんだか耳まで赤くなるのを感じたので、もう一度湖に戻ってクールダウンしたい気もしたのだが、さすがにそうも言ってられないので、邪美は素早く身体を拭いて服を着込んだ。
胸元を掻き寄せるようにして、翼のところに戻る。

「翼…」

背中に小さく呼びかける。
すると、翼は、

「先に小屋に戻っていてくれ。
 火の始末をする…」

と振り向かずに言って立ち上がり、だいぶん小さくなっていた焚火の炎に砂をかけ始めた。

「…」

邪美は黙って翼の言葉に従い、小屋に向かって歩きだした。
程なくして、背後にあった焚火の明かりが消え、翼が後ろを歩いて来る気配を感じた。

小屋に入るとすぐに、水を張った盥(たらい)が目についた。
そう言えば、裸足で歩いてきた足はここまで来るので砂まみれだった。
翼の細やかな気遣いに、またもや邪美はグッとくる。
どうしたものかと思っているところに、翼が入ってきた。

「翼、これ…」

目で盥を示しながら尋ねると、

「あぁ… 足を洗わないと上がれんだろう?」

と翼は事もなげに言った。
それじゃ、と、邪美は上がり框(がまち)に腰を降ろし、自分で足を洗おうとした。
すると、翼が

「洗ってやろう…」

と言い、邪美の足元にひざまづいた。

「駄目だよ。そんなことしてもらっちゃ…」

すぐに足を引いて断った邪美だったが、

「気にするな… 今日だけだ」

とやや強い調子で翼に言い切られ、結局、邪美は足を差し出すことになった。
ふくらはぎの辺りを翼に掴まれ、邪美はびくりと身体を固くした。
もう片方の手で水をチョロチョロと掛けられると、足についていた砂は徐々に盥の底に沈んでいった。
両足ともほとんど砂が洗い流されたところで邪美がホッとしていると、今度はカカトを持たれた。
何をするのかと訝しく思っていると、翼は邪美の足の指の間に入り込んだ砂を、指を差し入れて洗い出すのだった。

(あ…)

他人に触られることのない場所なだけに、くすぐったさと同時に何とも言えない奇妙な感覚を感じる。
一本一本、急ぐでもなく翼の指がなぞっていく間、邪美はじっと耐えた。

「よし、上げていいぞ。 それを貸せ…」

そう言われてなんとなくホッとした邪美が、持っていたタオルを翼に渡すと、片方ずつ足をきれいに拭いてくれた。

「ありがと…」

邪美は顔を赤らめて礼を言ったが、翼はそちらには顔を向けずに今度は自分の足を洗い出した。

「あたしが…」

と邪美が言いかけたが、大丈夫だ、自分でできる、と断られた。
上がり框に座る翼の背中に向かって、

「今日の翼は優しいね」

と感じたままのことを邪美が言うと、翼は感情を押し殺したような声で言った。

「いつまで優しくいられるか… わからんぞ」

その言葉に、邪美はドキリとして黙った。
足を洗い終わった翼が振り向くと、確かに彼の様子はちょっと違っていた。
少し思いつめたような、妙な緊張感がふたりの間に漂っている。

邪美が立ちすくんでいると、翼が目の前に来て言った。

「邪美、これが最後の確認だ…」

こんなふうに自分に向けられた男の真剣な目を初めて見た、と邪美は思った。

「おまえに触れたら俺はもう止められん。

 …おまえに触れていいのか?」

激しい熱情とそれを押さえつけようとする優しさがそこには見え隠れして、その視線で射(い)殺されてしまうのではないかと思うほどの強い力を感じた。


to be continued(大人の方は、10[大人限定]へ)
to be continued(大人以外の方は、11へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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