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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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いまはただ、あなたのそばに(5)

書けない…
今日はアップやめよう…
わぁ~ん、無理~

そう言い続けて2時間経過。
鋼牙もズタボロなら、selfish もズタボロです。

できるだけのことはしたと思います。
本日の精一杯の成果、よろしければお読みください。



:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

カオルが遠慮がちに部屋に入ってみると、鋼牙はベッドに腰を
下ろしていた。

ヘッドボードに背を持たれ、心持ち上を向いた状態で壁に頭を
預け、眼を閉じている。
その長い脚の片方だけをベッドの上で膝を立て、もう片方はベッドの
脇に無造作に投げ出していた。
ミネラルウォーターのボトルを持っていた腕も、力なくベッドの外に
ぶら下がり、ボトルは手から離れて床に転がっていた。
こんなに無防備な鋼牙を、カオルは初めて見たと思った。

カオルが部屋に入ってきたことに気付いているのかいないのか、
その瞼(まぶた)は開かれようとはしなかった。

「鋼牙? サンドイッチ持ってきたよ。
 寝ちゃったの?」

カオルは、静かに鋼牙のそばまで近づいてから、そっと声を掛けた。
鋼牙の長いまつ毛が微かに動く。
ゆっくり開けられた瞳が、カオルの姿を探す。
カオルを認めた鋼牙は、

「あぁ…」

と絞り出すように返事をすると、深く息を吐きながら上半身を起こした。
それから、カオルの持つ皿へと手を伸ばし、黙々と食べることに集中した。
数分後、食べる手を止めた鋼牙は、ボトルから水をごくごくと飲むと、
食べ始めたときとは逆の動きで、また壁に身体を預けた。

「もう、いいの?」
「あぁ…」

先ほどより声に力と落ち着きが戻っているみたいだった。

「そう…
 えっと… じゃあ、ゆっくり休んでね。」

皿を手に立ちあがったカオルはドアへと向かった。
が、ドアの前まで来ると、ちらりっと振り向いた。
特に意味があって振り向いたのではない。
正直言うと、もう少しそばにいたかった… そんな名残惜しさからだろうか。

すると、鋼牙がジっとこちらを見ているのと目があった。

ドクン、自分の心臓が大きく鳴った気がして、思わず胸を抑える。

「あっ… えっと…」

何か言おうと思ったが、うまく言葉にならない。

「う~んと… その… おやすみなさい…」

自分の気持ちを閉じ込めて、それだけ言うと慌ててドアを開け、外に出る。
いや、まさに出ようと足を踏み出そうとしたとき、鋼牙に呼び止められた。

「カオル…」

ドクン、また跳ねた。

自分を落ち着かせるため、わざとゆっくり振り返る。

「なに?」
「…ひとつ、聞いていいか?」

鋼牙は真っ直ぐカオルを見つめている。

「あの部屋から俺が出てこなければ、お前はどうするつもりだったんだ?」

部屋から半分出掛かった位置に立ったまま、カオルは鋼牙のほうに
向き直った。

「えっ、あぁ、あれは…
 鋼牙が出てくるのを待っていたわけじゃないんだよ。
 多分、朝まで出てこないんだろうな~って思ってたし。
 それに、あたしじゃ、鋼牙の力にはとてもなれない…

 ただ、ちょっとでも鋼牙の近くにいたいなって、そう思っただけ。

 だから、鋼牙が出てこなければ、多分、あのまま朝まで寝ちゃってたんじゃ
 ないかな?  ふふっ…」

自嘲的に笑うカオルに対して、鋼牙は言った。

「カオル、お前が力になれない、などということはない。
 少なくとも、俺にとって、お前の存在は大きい。

 だから…」

そこで初めて、カオルから眼をそらす鋼牙。

(だから?)

カオルはちょっと首を傾けて、鋼牙の表情を伺おうとした。
鋼牙は顔を背(そむ)けたまま早口で言った。

「だから、ドアを閉めて、こっちに来ないか?」

(…?
 えぇ~っ!!
 どうしちゃったのぉ、鋼牙ぁ!!!)

大きく眼を見開いて驚いたカオルは、その後、手の中の皿を見つめて
考えた。

パタン…

ドアの閉まる音を聞き、鋼牙は思わずドアの方へ顔を向けた。
そして、こちらに近づいてくるカオルの姿を見た。
一瞬、鋼牙の瞳に驚きの色が宿り、次の瞬間、喜びの色が浮かんだ。
カオルが鋼牙の目の前まで来たときには、鋼牙は落ち着きを取り戻していた。

「カオル、今日の俺は指一本動かすのも億劫(おっくう)だ。
 言っておくが、お前の期待するようなことは何もないぞ。」
「ちょっ… 何言ってんのよ!
 あたしがいったい何を期待しているっていうの?!」

猛烈に慌てまくったカオルは、抗議の声をあげながら、鋼牙に詰め寄ると、
鋼牙は涼しい顔で、

「だが、このくらいならできる…」

そう言うと、カオルを引き寄せ、その柔らかい唇を奪った。

「カオル、今だけでいい。
 俺のそばにいてくれ。」

カオルは、鋼牙の瞳の中に閉じ込められた自分の姿を見つめながら、
こくりと小さくうなずいた。



fin
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


終わりましたぁ~
やっとですぅ~
長かったぁ~

最後のカオルの叫びは、selfish の叫びでもあります。
そんなこと言っちゃうのぉ、鋼牙ぁ~
でも、これでも、めっちゃセーブしたんです!
(えっ、セーブなんかしなくていいって? ダメですって、寸止めです!)

気障(きざ)なこと言う鋼牙は、大丈夫ですか? 許容できますか?

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鋼牙さん実は天然なのでは?w
実はキザなことを言っても気づいてない気が・・・w

普段無口、たまに口を開いても口数は少なくて
時々さらっとキザなことを言っても
それがキザだとすら
わからないんじゃ?wwwとか
思ったりしてます(ひどっw)

ちなみにキザなこと言う鋼牙さんも
龍鈴的にはOKOKw
龍鈴 2012/08/09(Thu)23:51:25 編集
Re:鋼牙さん実は天然なのでは?w
あらっ、龍鈴様の言うとおりかもしれない…
鋼牙は気づいていない… ほんとにそんな感じですね~

鋼牙に2行以上喋らせるとき、selfish は罪悪感というか恐怖感というかを覚えるのですが、じゃあ1行で言わせようとすると、何やら、キザっち~くなってしまうのです。
(あのビジュアルで一言喋れば、どんな言葉もキザ以外の何物でもない気がしますが…)

そんな鋼牙に、龍鈴様からOKもらったので、安心しましたぁ (ほっ)
【2012/08/10 08:13】
無題
You! そのまま押し倒しちゃいなyo と 思わず口走ったhitoriです。ああ……でもこれって一期の鋼カオなんですものね。この後 イタリアー北の大地と離れ離れなんですもんね うぅぅ(T_T)

鋼牙に2行以上喋らせる時← 同意します!
うちの鋼牙さんも 一行派。
なんなら、「ああ」の五段活用(同意のああ、疑問のああ、怒りのああ、悲しみのああ、喜びのああ」で会話を終わらせようとする始末(爆)

気障セリフ、どんと来いですよ!
簡素でサラっと核心をつく鋼牙セリフに
むしろ 痺れます!
hitori 2012/08/10(Fri)15:22:31 編集
Re:無題
押し倒してもよかったのですが(おいおい…)、この後、北とイタリアに分かれてしまうので、あのTVシリーズ最終話のサバサバ感につなげるのは、そりゃあもう至難の業ですよね?

そ・れ・に…
それじゃあ、あんまりカオルちゃんが可哀想かな~って。
鋼牙のいない寂しさを、ちょいワルイタリア男で紛らわそうなんて、バカな方向に走りませんかぁ?
(それは、ぜ~ったいイヤだぁ~~~っ)

>うちの鋼牙さんも 一行派。

うわぁ~、hitori様と一緒、うれしいなぁ~
映像だと、眼や表情で伝わるのですが(さっすが、アイアクター)、「…」では伝わらないので、ついつい喋らせてしまいます。
hitori様のように「ああ」の五段活用の域まで辿り着きたいもんですぅ~

できるだけシンプルに。
ズキュ~ンって殺傷(悩殺)能力の高い感じで。
でも、下品NG。
…それってめちゃくちゃ難しいですぅぅぅぅ~
【2012/08/10 19:33】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



hitori 様[07/08]
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