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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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オーディオコメンタリー「絵本」(3)

もっと1シーン1シーンいろいろなことを語りたいのに、あっという間に次のシーンに行っちゃうんですよね。困ったもんだ。
でも、ドラマを作るときって、このくらいのテンポじゃないと、見る人を物語の中にグイッと引き込めないんでしょうね。

…というわけで、カオルの「笑い」について、種明かしです。
どうぞ~

拍手[15回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

心配そうな鋼牙に気付いたカオルは、慌てて謝った。

「あ、ごめん、鋼牙。
 大丈夫! なんでもないから…」

そう言われても、ホラーの返り血を浴びるという深刻なシーンで「笑う」という合点のいかない行動をとられては、気にならないわけにはいかない。

「しかし…」

「ほんとに大丈夫なの!
 ちょっとね… 可笑しいなぁと思っただけなんだから!」

屈託のない笑顔を見せながらそういうカオルに、鋼牙は聞かずにはいられなかった。

「なぜだ?」

「えっ?」

「可笑しい、というのが解らない。
 見るのが辛いというのなら、話はわかるのだが…」

そんな会話をしている間にも、画面の向こうでは物語が進んでいた。




【絵を抱えて牙狼の前に立つカオルに剣が突きつけられるシーン】
「なぜ逃げなかった。
 ホラーの返り血を浴びた者は斬る。それが、掟だ…」
振り上げられた剣に、カオルの気は遠のく。
--------------------------------------------------

「鋼牙… 見たでしょ?」

何かを探るようにカオルは鋼牙に向かって言った。
だが、カオルの意図するところが掴めない鋼牙は、率直にそれを言う。

「何を?」

「だから!
 …あたしがホラーの返り血を浴びたところよ」

わからないかなぁ、とでも言いたげに、カオルは少し苛(いら)ついて言う。




【鋼牙に抱かれ、運ばれるカオルのシーン】
『何をためらっている?』
「この女が浴びた血の匂いに誘われて、ホラーが次々と現れるはずだ。
 つまり、こいつを生かしておけば、今後も狩りが楽に進む」
『エサとして使うということか…』
--------------------------------------------------

「んもう、鋼牙もザルバもひどいよねぇ?
 あたしのこと、エサだなんて…」

鋼牙との話の途中だというのに、カオルはふいに画面の中で語られた魔戒騎士と魔導輪の会話に不満を漏らす。

「いや、だから、それは…」

コロコロ変わるカオルの話の展開に追いつけずに、少し混乱しつつも何か言い訳をしようとする鋼牙に、

「わ・か・っ・て・る!」

カオルは食い気味に強めの口調で言った。
それからグッと口調を和らげて、そっと呟くように

「わかってるから…」

と言って、優しく鋼牙を見つめた。




【カオルが自分の家で目覚めたシーン】
「その元気ならもう大丈夫だ… じゃあな」
「待ちなさいよ!」
初めての展示会を滅茶苦茶にされたため、カオルは鋼牙に苛立ちをぶつける。
--------------------------------------------------

「おまえはそう言うが… やはり俺にはわからん。
 なぜあのシーンで、おまえは笑っていたんだ?」

話を元に戻そうとして、鋼牙はそう言った。

「え、ああ。
 だって… 可笑しくなかった?」

「可笑しい? 何がだ?」

先程のシーンを頭の中で思い返すが、鋼牙には「可笑しい」ところに心当たりがない。

「あたしの顔…」

鋼牙からわずかに目をそらしたカオルはそう呟いたが、鋼牙はまだ納得できずに何も言えないでいる。

「あたしの顔についたホラーの血が… 変だったでしょ?」

それを聞いた鋼牙は、眉間に少し皺を寄せるとすぐさまリモコンに手を伸ばした。

「あ、ダメ!」

カオルは鋼牙の意図に気付いてそれを遮ろうとするが、黄金騎士と画家では勝負にもならない。
カオルの行動を鋼牙は腕一本で防ぎつつ、問題のシーンまで巻き戻した。

  ピッ

「いいじゃない、もう見なくっても!」

どうしようもできないことはわかっているが、それでもカオルは抵抗を試みて手を泳がせる。




【アングレイの最期のシーン】
牙狼剣を抜いた黄金騎士は、ジャンプすると回転しながらアングレイを一刀両断。
激しく飛び散るアングレイのどす黒い血。
--------------------------------------------------

スローモーショーンで飛び散った血が、カオル目がけて襲いかかる。
それを避けようとして反射的にあげた右手にも顔にも、ホラーの返り血は降りかかった。

  ピッ

ご丁寧にもそこでポーズボタンを押す鋼牙。

「もう、止めてまで見るかなぁ…」

情けない声を出してカオルは嘆いた。
そんなことにはお構いなく、

「これのどこが可笑しいんだ?」

と鋼牙はカオルを振り返った。
すると、唇を尖らせたカオルは自棄(やけ)気味に

「頬のところの血が、変じゃない?
 キノコみたいな… 雨雲みたいな… 火星人、みたいな?」

と言った。
そう言われて、鋼牙は再び画面へと視線を戻す。

(ああ、確かに。
 火星人というのはよくわからないが、雷雨でも示す雨雲に見えるような気がしなくもない…)

すると、今度はカオルが素早く動いた。鋼牙の隙を突いて、リモコンを奪取したのだ。
そして、早送りボタンを押してシーンをいくつか飛ばすと、鋼牙の手が届かないように、クッションの下にリモコンを隠したのだった。

「もういいでしょ?
 あんな間抜けな顔、あんまり見られたくない…」

そう言ったカオルの目は不安げに揺れていて、自分でもそのことに気付いたのか鋼牙から目をそらした。
その仕草が、鋼牙を誘っていることを気づきもせず…

鋼牙はその誘いに抵抗などせず、カオルの腰に手を巻き付けて力任せに抱き寄せた。
そして、優しく、甘く、少しだけ強引なキス。
カオルのことが愛おしくて滅茶苦茶に奪い去りたいのに、それと相反するような大事にしたいと思う強い理性によって踏みとどまっている。
そんな鋼牙の大きな愛情が、カオルを痺れさせる。




【第1話のラストシーン】
「思い出の絵本に描かれた黄金騎士が、わたしの目の前に現れた。
 しかしそれは、これから始まる新たな騎士伝説の、ほんの幕開けに過ぎなかった」
--------------------------------------------------

鋼牙の唇が離れた。
カオルは荒くなった息遣いの中で、鋼牙に訴えていた。

「鋼牙、あたしね…
 今、生きているのも、絵が描けるのも、あなたのお陰だから…」

鋼牙を見上げるカオルは、うっすらと涙が浮かんでいる様にも見える。

「だから、あのシーンも平気…」

そう言ってにっこり笑う。
そんなカオルを、鋼牙はふわりと抱きしめると、彼女の髪を優しく撫でた。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


ひとまず、終了!
↑この意味、わかります?
あ、いや、わからなければいいんです!
どうかお気になさらず…

次回、頑張るかもしれないし、頑張ら(れ)ないかもしれないので、「ひとまず終了」…

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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