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きんのまなざし ぎんのささやき

主導権は渡せない(1)

2016年を迎え、一発目の妄想です。
昨年、一昨年と年の初めの妄想は[大人限定]だったので、今年もそうしようか?とちょっと迷ったのですが、さすがにそれはやめました。ははは。
ただ、鋼牙とカオルのお話ではなく、翼と邪美のお話を持ってきたということで、ちょっとひねくれてみました… (^▽^;)

ちなみに、これは、以前書いた「誰も知らない」という妄想のその後のお話になります。
ただ、お話を書くのが、お正月を挟んで2週間ぶりになるので、なんだかおぼつきません。
(書くのがとってもヘタクソになった気分です…)

もし、それでもいいよと言う方は、続きをどうぞ!


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柔らかい日差しが閑岱の空を支配する昼下がり。
上空のお天道(てんとう)様が、少し前からその行き先を西の方へと進路を変えていた。
里の者はめいめいの家で昼食を終え、昼寝や日向ぼっこなどしてのんびりと過ごしているそんな時間帯だ。

そんなのどかな空気の中を、背筋を伸ばして一分(いちぶ)の隙もなく歩いている男がいた。山刀翼だ。
急ぐわけでもないが、タラタラと歩いているわけでもなく、目的地に真っ直ぐに向かっている様子は、とてもその… ’彼らしく’ 見えた。
だが、その颯爽とした様子とは裏腹に、片手にはなぜか里芋の入ったザル、そしてもう片方の脇には立派な白菜を抱えていて、そのアンバランスさがひどく滑稽だった。

(まったく鈴のやつときたら…
 芋など自分で持っていけばいいんだ。 なぜ、俺がっ!)

腹の中で思っている妹への不満で、翼の顔に不機嫌そうな皺が浮かんだ。
…と、翼がとある家の前で足を止めた。
そして、玄関の戸を睨む。
この家の住人は… 邪美だ。
正直なところ、今の翼は、邪美と2人きりになることにかなり抵抗を感じていた。
それは…



コクリュウダケの胞子を吸い込んだ邪美を、翼が ’玻璃(はり)の泉’に連れていったのは1ヶ月ほど前だった。
そこでの短い滞在時間で、ふたりは特別な時間を過ごした。
今、思い出しても赤面するほどに濃密な時間を。

だが、身体の回復した邪美とともに里に戻ってくると、ふたりの関係は逆戻りしていた。
あの場所、あの状況だったからこそ、翼も邪美も自分の気持ちに素直になれたのかもしれない。

そんなわけで、多少の気まずさから、翼はなかなか目の前の戸を叩くことができなかったのだが、

(何を迷うことがある。俺は鈴に頼まれたものを持ってきただけだ!)

と気持ちを決めると、大きく深呼吸をしてから戸を叩こうとして拳(こぶし)をあげた。
そして、まさにその拳が戸を叩こうとしたときだ。中からサッと戸が引きあけられたから、不意を突かれた翼はひどく驚いた。

「うわっ」

のけ反るようにしている翼を見て、邪美は言った。

「ん?なんだ翼か… あたしに何か用かい?」

  こほん!

照れ隠しで咳払いをひとつする翼。

「鈴に頼まれてな… これを持ってきたんだ」

そう言うと、抱えてきたザルのほうを邪美のほうに突き出した。
そのザルの中に目をやり、邪美はにっこりと笑った。

「いいのかい? いつも悪いねぇ」

ザルを受け取った邪美は、それを持って家の奥に入りかけると、くるりと振り返り、

「悪いけど、そっちの白菜のほうはこっちまで運んでくれないかい?」

と言った。
それを聞いた翼の顔が奇妙に歪む。

「い、いや、それはできん…」

渋い顔をして唸るように言う。

「は? どうしてさ?」

できない理由がわからずに、怪訝そうに問い返す邪美。

「その… なんだ…
 独り暮らしの若い女の家に、男が入るようなことはあってはならんだろう?
 里の者に変な誤解を生むではないか!」

怖い顔でそういう翼に、邪美はポカンとしてからカラカラと大笑いする。

「あははは、何をどう誤解するって言うのさ。
 確かにあたしは独り暮らしの女かもしれないけど、この里の誰もが知っているとおり、若くてか弱い女じゃないからね。
 家に誰が入り込んだからって、心配されるようなことなんかあるもんか」

それを聞いて、翼は苦虫を噛み潰したような顔をする。
確かに邪美の言う通りなのかもしれないが、彼女だって女なのだ。

(他の誰も心配しないかもしれんが、俺は…)

玻璃の泉から戻ってから、ふたりの仲は何も進展してはいなかった。
だが、だからと言って何もなかったわけにはできない。
翼は翼なりに、邪美のことを真剣に考えていたし、できればこれまでとは違う付き合い方というものを彼女としたいと思っていた。
だが、翼の目から見ると、翼の思うようなことを邪美も望んでいるのかどうかが今ひとつ確証を持てなかった。
つまり、邪美の翼に対する態度が、ほんとにまったくこれっぽっちも以前と変わらないからだった。
’あの日’のように熱を帯びた視線で見つめるようなことも、翼に甘えるようなことも全然ないのだ。
今だってそうだ。
ふたりの仲が噂になるようなことに対して、「そうなればいい」とも「それは困る」とも言うのではなく、「そんなことはあり得ない」と笑い飛ばされてしまった。
そのことが、翼としては面白くなく不機嫌にさせた。

(邪美は、俺との仲は進展しないほうがいいと思っているんだろうか…)


to be continued(2へ)
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拍手[9回]

コメント
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こんばんは!
ご無沙汰してました、はるです!
久しぶりの邪美姉さんと翼の話ですね?
誰も知らないから読んでみました。
あの二人は大人で素直で愛しいと感じられる二人だけど主導権~はお互いぎこちなさがあって素直になれない二人の様子がとってもわかりやすくって大好きですよ!
いずれまた愛し合う二人になるんでしょうか?
楽しみです!
そして、翼って堅いイメージはあるものの、ちょっとズレてる話が他のサイト様もありますよね?
かっこいい翼はいませんよね?
かっこいい翼がみたいですね。
MAKAISENKIの翼は破滅の刻印をうけながらも無茶して四十万先生との戦いで怪我をして元老院で治療受けてましたでしょ?
あの時の翼が好きなんですよね?
変な奴ですみません!
真魔界での三人揃い踏みの戦いはかっこよかった。
何だか本当に牙狼が好きだ!
中の人ももちろん。
そうそう、リアル真澄様が帰ってきますよ!
9月からですって。
私は地方なんで無理なんですが。
かっこいい真澄様拝みたいです!
ではまたです!
はる 2016/01/16(Sat)22:50:51 編集
Re:こんばんは!
「誰も知らない」を読み返していただいて、ありがとうございます!
ちょっと照れ臭いけど嬉しい、嬉しい!

MAKAISENKIでは、翼の久し振りの登場… と思ったら、魔戒法師(仮の姿)のレオに向かって「おまえに魔戒騎士の何がわかるっ」と魔戒法師を蔑むとも思える信じられないセリフを言ったんで「目がテン」になりましたとも、わたし…(その後、昔と変わらんヤツだなぁ、と苦笑)
翼は生真面目すぎて頑固なところが難点(魅力?)だけど、端正な顔立ちで美声(滑舌も抜群www)なので、「誰も知らない」では男っぽいところを強調するよう意識して書こうと思ってました。
確かに、かっこいい翼の話って、少ないかもしれませんね。
余所様のサイトでは、四角四面な翼を、世慣れた邪美がいいようにおちょくってる(手玉に取ってる?)関係性のお話をよく見かけます。
こういうのは、読んでてとても楽しいですよねぇ~
だから、そういう楽しいお話を selfish も書いてみたいな、とも思うんですけど、これがなかなかうまく書けません… (+_+)
だから、ここでは、selfish なりの翼×邪美が書けたらいいなぁ、と思ってます、はい。
【2016/01/17 13:45】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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