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きんのまなざし ぎんのささやき

水をください(2)

間が空いてしまいましたが、「水をください」の続きです。

思った以上に間が空いたので、妄想の設定を忘れかけ、表現のテイストなども
違ってきてるかもしれないと心配しています。
(いや、書き方を変えるような器用なことはできないから、案外、大丈夫?)
へへへ、自分自身ではよくわかりません! (言い切ったwww)

でも、まぁそれは、’勢い’ 重視ということで、スル~して走りま~~~す!


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「おかえりなさいませ」

いつものように、執事のゴンザに迎えられ、鋼牙は自分の屋敷に帰宅した。

「今、戻った。

 …何か変わったことはなかったか?」

普段と変わらぬ感じで聞かれたものの、主が何を意図してこう尋ねたのか、
この執事には十分過ぎるくらいにわかっていた。

「はい。
 本日も、カオル様はお見えになりませんでした」

「…そうか」

執事の芳(かんば)しくない返事に、鋼牙はさほど表情を変えずにいたが、
内心とても残念に思っていることを、やはり、執事にはわかっていた。
だが、あえて、そのことには触れずに、

「鋼牙様、お食事はいかがなさいますか?
 もうしばらく後になさいますか?」

と、執事は尋ねた。
夕食を摂るには少し早い時間であったが、鋼牙が「食べる」と言えば、
すぐにでも食べられるように、準備には怠りがない。

「そうだな…」

  ジリリリ…

鋼牙がその問いに答えようとしたとき、屋敷の電話が鳴りだした。
この屋敷に電話をかけけるような相手は、そう多くはいない。
執事の顔がパッと輝き、

「鋼牙様、もしや…」

と、主を振り返ろうとした。
すると、ゴンザの目の前を風が通り過ぎた。
鋼牙が一直線に電話へと歩み寄っていったのだ。
慌てた様子ではなかったが、大きなストライドで、あっという間に電話の
前にたどり着く。
そして、躊躇なく受話器を取った。

「はい、冴島…」



ゴンザは、しばらく鋼牙の様子を見守っていたが、会話の進行具合から
電話の相手を予想して、そっとその場を静かに離れた。







(え、これって…  …鋼牙?)

まさか、鋼牙が電話に出るとは思わなかったカオルは、息を飲んだ。
耳に触れているケータイは冷たかったが、耳に届く鋼牙の声が、じんわりと
温もりを伝えてくる気がした。

「…」

何も言えなくなり言葉を探していると、

「…カオルか?」

と向こうから呼びかけてきた。
つぅーっと温かいものが頬を流れた。
感情の高ぶりも何も感じないうちに、’それ’ はカオルの目からこぼれていた。

(やだ! なんで?)

慌てて頬を手でぬぐった。
張り詰めていたものが、一気に弾けたのかもしれない。
急に、自分の脈拍をドクドクと感じながら、カオルは電話の相手に対して
応える。

「あ、うん。あたし…」

少し潤んだ声になってしまい、一層、慌てる。

「別に、これっていう用事はないんだけどね。
 なんか、ちょっとね…」

取り繕おうとして言った言葉が、やがて、尻すぼみに消えていく。

「そうか…」

「…うん」

言葉少なく会話を交わし、やがて沈黙。
でも、沈黙が嫌ではない。
つながってる…  ケータイを通じて、カオルには、確かに、そう感じられる
から。
そして、それは、たぶん鋼牙も同じはず。



「ちゃんと食べてるか?」

ふいに、鋼牙から尋ねられる。

「あー、うん… まぁね…」

カオルが、歯切れ悪く答えると、

「相変わらずだな」

と呆れたように鋼牙が呟いた。
そして、やや間隔をあけてから、

「…ゴンザが心配してるぞ」

と付け加える。

その、ちょっとした間(ま)が、カオルにとっては気になった。

(心配しているのはゴンザさんだけ?

 … ひょっとしたら、鋼牙も?)

そう思っていると、自然に顔がにやけてくる。



「そうだよね、ごめんなさい…

 えっとね、この仕事が終わったら、すぐに顔を出すから。
 あんまり心配しないでね、って…  そうゴンザさんに伝えてね」

ケータイの向こうから、笑ったような、フッという息が聞こえて、

「…わかった」

と、鋼牙が返事をする。



(ああ…)

鋼牙の声が、耳から入り、ひたひたとカオルの身体全体に浸透する気がする。
温かい血潮が全身に行く渡るような、そんな感覚だ。



「あのね…」

まだまだ何か話したい気持ちもしたが、何も話さないでいいような気もする。

「… ううん、なんでもない」

そう言ったカオルに、

「なんだ?
 いいのか?」

と、鋼牙が優しく問う。

「うん、なんでもないの。
 それじゃあ、もう切るね」

「ああ…」


鋼牙の声音に、少しでも残念そうな響きがないか、カオルは一生懸命、
耳に伝わる声に全神経を傾ける。


「…じゃ、おやすみなさい」

「おやすみ…」


  プツリ…


電話は、鋼牙によって切られた。
そのタイミングは、早くもなく、遅くもなく…


  プー  プー  プー


無機質な通話終了の音が響いてきたのを聞くと、カオルは小さく息をついてから
ケータイを耳から離し、終話の操作をした。



to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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