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きんのまなざし ぎんのささやき

魔界の隣の日常(1)

日常の一コマを書く!

MAKAISENKI での冴島邸のシーンは、鋼牙とカオルの何気ない日常を切り取っていました。
あの延長線上な感じで書けたらいいなぁ…

やってみよう…


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ここは冴島邸のリビング。
そろそろ午後のお茶の時間か… という頃。

大きなダイニングテーブルを挟んで、真剣な表情で何やら古びた書物のページを繰る鋼牙と、その鋼牙をちらちらと盗み見しながらデッサンしているカオルの姿があった。

そして、もうひとつ(1匹?)。
カオルの周りを、赤いひらひらしたものが右に左にと飛び交っていた。
魔戒竜の稚魚だ。
ザルバが ’カオル’ と名付けたその稚魚は、人間のカオルが描く絵を興味深そうに覗き込んでいるかのように、時にスケッチブックに近づいては離れ、離れてはまた近づき… という行動を取っていた。

「どう? うまく描けてると思う?」

カオルは、視線をモデルとスケッチブックの間に何度も往復させながら、ふと魔戒竜の稚魚に声をかけた。
カオルの問いかけに答えるように、カオル(竜のほう)は小刻みに尾びれを震わせた。

「フフフ…
 きっと、 ’そうだ’ って言ってくれてるのよね?

 ありがと♪」

にこにこと稚魚のほうのカオルに笑いかけた人間のほうのカオル(ええい、ややこしい!)は、

「あら?」

と、稚魚の身体の一点を注視した。
背びれと尾びれの中間にあたる場所に、何かゴミのようなものがついている。
カオル(人!)は絵を描いていた手を止めると、テーブルの上にスケッチブックと鉛筆を置き、カオル(竜!)のほうにそっと手を伸ばした。

「取ってあげるね。
 じっとしてて…」

ところが、カオル(竜っ!!)のほうはというと、大人しくじっとしてくれるわけもなく、カオル(人っ!!)の手が届きそうになると、ひらりと身を翻してすり抜けてしまう。



それまで、カオルどうしのやりとりを聞くともなしに聞いていた鋼牙は、低い声で、

「やめておけ…」

と言いながら、視線を書物から離してカオルのほうを見た。
すると、そのとき、カオルのほうが、あっ… と小さく呟き、手で右目を覆った。

「どうした?」

鋼牙がすぐに声をかける。


「うん、ちょっと…  目にゴミが入ったみたい」

目をぱちぱちさせてカオルは答えた。
それを聞いて安心したのか、鋼牙が再び書物へ注意を向けようとした。
だが、

「この子にくっついてたゴミかもね…」

と魔戒竜の稚魚を指さして何気なく言ったカオルの言葉を聞いて、鋼牙は書物をパタンと閉じてテーブルの上に置いたかと思うと、すぐさま立ち上がって足早にカオルのそばまでやって来た。

「見せてみろ」

そう言った鋼牙の声には少し緊張感が含まれていて、それを感じ取ったカオル(人)は、なんだか落ち着かない気分になる。

「な、なに?
 ただ、ゴミが入っただけだよ?」

そう言うカオルの言葉を無視して、鋼牙は、まだ目を押さえている彼女の手首を掴んで顔から引き離した。

真剣な表情をして右目を覗き込む鋼牙に、カオルはちょっとドギマギしながらも、平然を装うように努めた。

(目にゴミが入ったくらいで、ちょっとオーバーなんじゃない?)

そう思っているカオルの心が読めたのか、ザルバが鋼牙に代わって説明をしてくれた。

『カオル。
 おまえの目に入ったのがただのゴミなら、鋼牙もそうは心配しないさ。

 ただな、そのゴミが、もし、そいつの身体にくっついていたゴミだっていうんなら話は別だ。
 ひょっとしたら、そのゴミは魔界からくっついてきたものかもしれないんだからな。

 そうだとしたら、大変なことになるかもしれないぜ』

「え?」

いつもの茶化すような口調ではなく、低いトーンで早口に告げたザルバの説明を聞き、そんなことは考えもしなかったカオルは驚いて、大きな瞳をまんまるに見開いた。
ザルバにそう言われてみて、なんだか急にゴミの入った目がシクシクと痛み出してきた気もする。

「…」

鋼牙が無言でいるということで、ザルバの言ったことは過大表現でもなんでなく、事実なんだろうと思えてくる。

(え、やだやだ。
 失明とかしちゃうのかな? …ま、まさか、命にかかわる、とか?)

こめかみのところがドクドクと脈打っているのを感じながら、緊張で身体を固くして、覗き込んでいる鋼牙に身を任せた。



ちょうどそのときだ。
お茶の用意をしたゴンザが、リビングに入って来た。

 カチャ…

「鋼牙様、カオル様、そろそろお茶など…」

話しながらドアから姿を見せたゴンザは、目にした光景に声を失った。
それはそうだろう。
ダイニングテーブルの脇に立つ鋼牙がカオルの肩を掴み、カオルに顔を近づけている姿を見たのだから。

「こ、これは失礼しましたっ!」

早口でそう言うと、慌てて逆戻りしてドアを閉めようとした。
だが、すかさず鋼牙が叫ぶ。

「ゴンザ!
 ’ラクリマの雫(しずく)’ を!」

「は?」

閉まりかかったドアが再び開き、ゴンザが顔を見せる。

『何を勘違いしているんだ、ゴンザ!
 聞こえなかったか? ’ラクリマの雫’ だ! 早く!』

鋼牙に代わってザルバが叫び、

「は、はい! ただいま!」

と慌てて返事をしたゴンザが慌てて駆け出した。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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