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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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もしもの話(4)

「満月の夜から新月の夜、つまり、月が欠けていく間は房事を控えよ」

この言い伝えに従い、カオルンは満月から新月にかけての2週間を、コーガからのラブ~♡な誘いを躱(かわ)しに躱(かわ)し続けました。
さてさて、新月の夜を無事に迎えてからは、いよいよ

「そして、新月から満月にかけての月が満ちていく間は励むのがよい」

の番です。
今度は、交(か)わしに交(か)わし続けなければ… (きゃ♡)
どうなりますやら…


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

それから2週間後のこと。
コーガ王は、深い深い溜息とともに、身体を執務室の椅子に深々と沈めました。

カオルン妃の様子がおかしいとコーガ王にゴーザンが尋ねられてから、王の機嫌がずっと悪かったわけではありません。

コーガの悩みに、ゴーザンもどうしたものかと悩んでおりましたが、しばらくすると状況が変わってきたのでした。
あれほど機嫌の悪かったコーガ王が、1週間ほどでニコニコと… ということはありませんが、それはそれは大変上機嫌な日が続いたのです。
コーガやカオルンに事の次第を聞いたわけではありませんが、よい方向に転がったのであろうことは明白。
ゴーザンもほっと胸をなでおろしておりました。

ところが、それからまたしばらくすると、コーガ王の様子に変化が見られました。
日に日にお疲れのご様子で、心なしか少しやつれたようにも見えます。
何か悪い病気にでもかかったか、あるいは、まさか毒でも盛られているのでは、とゴーザンは王の健康と食事の面に、今まで以上の注意を払いますが、少しも好転の兆しが見えません。
王のみに何かがあっては困ります。
ゴーザンは、そっと王にお伺いをたてました。

「コーガ様」

「なんだ…」

執務の途中のコーヒーブレイクの折に、ゴーザンは王に声をかけました。

「この頃、お疲れのご様子ですが、何か気になるようなことなどございませんでしょうか?」

単刀直入に切り込むゴーザンに、チラリとだけ目をやったコーガが顔をそむけて

「別に…」

と答える。

(なんだろう、コーガ様のおカオが赤いような… はっ、お熱でもあるのでは!?)

そう思ったゴーザンが、コーガの顔を覗き込むようにしてなおも訊きます。

「大丈夫でございますか?
 どこか、おつらいのではございませんか?」

鬼気迫る追及に、コーガは盛大に溜息をつきました。

「はぁーっ」

「コーガ様っ」

「ゴーザン、落ち着け。俺はどこも悪くない。
 ただ、ちょっと疲れているだけだ…」

「ほんとうに? ただのお疲れ、なので?」

真剣な顔で見つめるゴーザンに、コーガは顔を赤くします。

「バルザ。おまえ、うまく説明しろ!」

少しぶっきらぼうに話を振られたバルザが、やれやれというふうにしゃしゃり出てきました。
そのくせ、実はノリノリなのは言うまでもありません。

『ゴーザン。
 コーガのことが心配なら、何かスタミナのつくもんでも食わしてやれ』

「スタミナ、でございますか?」

『コーガは毎晩、カオルンの要求を満たすためにがんばってるんだよ。
 つまり、まあ、そういうことだ…』

「…」

しばらくの無言の後、ゴーザンもコーガに負けず劣らず赤くなりました。

「なるほど… そういうことにございましたか。
 それは結構といいますか、何と言いますか…」

変な汗が出てきて、ゴーザンはハンカチを出して額の汗を拭(ぬぐ)います。

『結構、ねぇ。
 そいつはどうか知らないが、何やら取り憑かれるでもしてるかぐらいの様子だったぜ。カオルンのやつ…』

少々呆れたように言うバルザの言葉に、

「それは俺も気になっている…」

とコーガも同調しました。
とはいえ、ここで男3人(バルザの男か?)が額を集めていてもなんの解決にもなりません。

『ま、他の男に迫るようなことはないんだから、おまえさん次第だな』

とバルザが言い、

「お食事のほうは、さっそく手配させますので」

とゴーザンも応じました。

(それでなんの問題も起こらなければいいが…)

と思うコーガは、ただ無言でうなずくしかありませんでした。





ところが。
心配していたことが起こってしまったのです。

コーガには、サエジーマ国の王として国を治める表向きの姿の他に、人知れず民を守る裏の姿とでもいうべき秘密の使命がありました。
夜な夜な現れる、ホラーと呼ばれる人間の邪心から生まれる化け物を蹴散らすのが、魔戒騎士としてのコーガのもうひとつの姿でした。

今宵、しばらく鳴りを潜めていたホラーの出現を、バルザが感じ取ったのです。

『コーガ! 邪悪な気配を感じるっ!』

コーガはその声に従い、金色の鎧を纏(まと)ってホラーを狩るために愛馬ゴーテの背にまたがり、城を出ようとしました。

「待って!」

「っ!」

今しも駆けだそうとするゴーテに、カオルンがすがろうとします。
コーガは慌てて手綱を引きました。

「カオルンっ
 危ないではないか!」

驚きのあまり、コーガの声もつい大きくなります。

「お帰りは?
 月の隠れる前には帰ってくる?」

カオルンはコーガの叱責にもめげずに叫ぶように尋ねます。

「カオルン、離れろっ!」

「そんな… お願い、月の出ているうちに帰ってきて?
 そうじゃないと… そうじゃないと…」

なおもしつこく食い下がるカオルンにコーガは苛立ちます。

「そんな約束はできんっ!
 ゴーザンっ!」

コーガはカオルンの後ろでオロオロしていたゴーザンの名を呼びました。
その一言で、ゴーザンは主の意図を汲み取ります。

「カオルン様、危のうございます!」

ゴーザンはカオルンをゴーテから引き離し、コーガに目線で

(あとはお任せください)

と伝えました。

「うむ」

金色の狼をかたどった鎧がうなずくと、ゴーテの横腹を強く蹴り、駆けだしました。

「あっ」

カオルンは手を伸ばしますが、そのときにはもう、コーガの姿は夜の闇の向こうに吸い込まれた後でした。
自分の願いを聞き届けられなかった失望でカオルンはがっかりと肩を落とします。
そんなカオルンをゴーザンはしっかりと支えながら、

「コーガ様はじきに戻られます。
 ささっ、お部屋に戻りましょう」

と促しました。

「…そうね」

弱々しく返事をしたカオルンは、とぼとぼと部屋に戻るしかありませんでした。


to be continued(5へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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