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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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月の光を集めて(7)

いよいよホラーとの決戦!?
えっ? 戦闘シーンなの?


…嫌だな (>_<) ハ~ッ


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ホラーと零の闘いは一進一退の攻防を繰り広げていた。
だが、零のほうが確実にじわじわとホラーを追い詰めているのは間違いなかった。
それに気をよくしたシルヴァが、零を鼓舞するように言う。

『今夜こそは仕留めるのよ、ゼロ!』

「わかってるさ」

不敵な笑みを見せた零が、双剣を握り直してホラーに飛びかかると、ホラーのほうも黒く禍々しいフォルムの剣を手にして応戦した。
だが、零の双剣から縦横無尽に繰り出される、息をもつかせぬ波状攻撃に防戦一方となり、ついには手から剣を取り落としてしまった。

  ガチャ、ガチャン

重量を感じる金属音が、辺りに響き渡り、つい、零の気が緩んだその時!
ホラーはふいに方向を変えると、脱兎のごとく逃げだした。
どうやら、剣を落としたのは、零の気をそらすための故意の行動だったようだ。
(しまった!)

胸の内で舌打ちした零は、

『ゼロ!』

というシルヴァの声を聞くより先に後を追って駆けだしていた。
逃げ足の速いホラーではあったが、零はその姿を見失うことなく追い続けた。



夜の街を疾駆する2つの影。
やがてその影は、例の林の中へと突入していった。
そして、はたと気づくと、闇の中で動くのは零ただひとりとなっていた。

『信じられない。また、見失ったわ!』

「…」

零は足を止めて無言で辺りを見渡してから、おもむろにシルヴァを促した。

「シルヴァ。おまえ、奴に何か小細工をしていただろう?」

『あら、気づいてたの?』

とぼけたようにそう答えるシルヴァ。

『まさかね、同じホラーを3度も取り逃がすとは思えなかったけど、念のための用心としてちょっとね…』

ホラーとの闘いの最中、彼女がホラーに何かキラキラ光るものを浴びせていたようであることに零は気づいていた。
実際には、シルヴァは、ホラーに最も接近した際に、涙状の小さな雫をプィッと口から噴き出していた。
その雫はシルヴァの身体の一部であり、万が一ホラーを取り逃がしたとしても、その雫の気配を辿って奴の居場所が分かるだろうことを見越しての行動であった。
それは、零には何の相談もなく、独断での行動であった。
けれども、零には彼女の行動の意味がなんとなくわかっていた。

「で、奴はどっちに行った?」

細かい説明を求めるでもなく、零はシルヴァにそう尋ねる。

『この先を2時の方向に進んでちょうだい!』

「OK!」

零は言うなり、ずんずんと大きなストライドで歩き出した。





『ゼロ、止まって!』

シルヴァの声に従い、ゼロはピタリと止まった。

『下を見て…』

零はその場にしゃがみ込み、片膝をついた体制で辺りに注意を払う。
すると、ソレにすぐに気がついた。
零の右足の先、30cmほど先の場所に、キラリと光るものがあった。
零がそれにシルヴァを近づけると、

『どうやら、ここでこれに気づかれて、振り落としていったみたいね』

と残念そうな声で言った。
そして、スウッと口をすぼめるように息を吸うと、積み重なる落ち葉の上にあった銀色に光る小さな雫が、霧か霞のような姿に変わり、シルヴァの体内へと戻っていった。
それを見届けた零はスッと立ち上がると、ちょっと考えてから、シルヴァに言った。

「シルヴァ、昼間のあの木の場所を教えて?」

すると、シルヴァはカチカチとまばたきを2回してから目をつむった。
’昼間のあの木’ とは、不思議な懐中時計を見つけた木のことを言っているのだろう。

昼間、その木から離れる前に、零は懐から取り出した短剣で自分の髪を一房切り取り、
木の根元にそっと埋めておいたのだ。
シルヴァは、今、その零の髪の埋められた場所を探索しているのだった。

『ゼロ、ここから近いわ… ほら、あそこ。あの地面が青く光っているあの場所よ』

シルヴァの言葉に零は視線をあげる。
すると、2~3m先の木の根元がぼぉっと光っていた。
零はすぐにその木に近づき、幹に手を掛けて、懐中時計をぶら下げたはずの場所を見た。



そこには、懐中時計はなかった。



それを確かめた零は、上を見上げる。
そこには、夜の闇よりも暗く茂る枝しか見えない。
けれども、そんなことに躊躇することもなく、零はまたその木を登り始めるのだった。
昼間よりも視界の悪い中、零はぐいぐいと登っていった。

(確か、このくらいの高さじゃなかったかな…)

そう思いながら、目を凝らして闇の中を見る。

『ゼロ、もう少し上よ!
 1mほど上の右のほう…』

シルヴァの指示を頼りにじっと見ると…

(あった!)

零は木の枝をよじ登り、懐中時計をまじまじと見る。

(間違いない… また同じ場所に掛かっている…)

零は、懐中時計に注意を残しつつも、後ろを振り返った。

(この場所にあることに何か意味があるのかもしれない)

そう思った零の目には、半分予想していた通りの景色が見えた。
そこに見えたのは…

そう。
サヤの住む小屋と、月明かりにぼんやりと浮かび上がるルピナスの花畑だった。



o be continued(8へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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