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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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おみやげなあに?

家に閉じこもりっきりの G.W.  が終わりました。
この陰我、と~ってもしつこくはびこってて、もううんざりですね…
なんともいえない閉塞感を、少しでも忘れるように妄想に耽(ふけ)ましょう。

拍手[11回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

鋼牙が5日ぶりに屋敷に戻ったのは、夜の8時を過ぎた頃だった。
玄関のドアを開け、屋敷内に一歩入ってからパタンとドアが閉まる音を聞いたときに、鋼牙はようやくほっと安堵の吐息をつき、肩から少し力を抜いた。

どこでどう知るのかはわからないが、主の帰還を察知した執事のゴンザが奥から姿を見せ、穏やかな笑みを浮かべながら真っすぐに歩み寄ってくる。
そして、鋼牙の前でひたと立ち止まると、見本のようなお辞儀をして

「おかえりなさいませ、鋼牙様」

と出迎えた。

「今帰った」

鋼牙が落ち着いた声で応じるそばから

『ふぅー、やっと帰ってこれたな』

と少し気の抜けたザルバの声がしたので、ゴンザは鋼牙と目線を交わしてひょいと肩を竦(すく)ませてから、

「ザルバもお疲れ様でした…」

と、その労をねぎらった。



すると、そこへ…

  パタパタパタ

と軽い足音が近づいてきた。
鋼牙はそちらに目をやると、ふわっと表情が緩んだ。
鋼牙の目線の先には、パジャマを着て、まだ少し髪が濡れている4歳の男児がにこやかに駆けてくる姿があった。

「おとーさーん!」

可愛らしい声とともに、両手を広げた雷牙が鋼牙の足に飛びついた。
足に抱き着いたまま顔をあげ、

「おかえりなさい!」

と言う雷牙は、母親に似た大きな瞳を持ち、額からすっと通った鼻筋は父親譲りの聡明そうな顔立ちをしていた。

タオルを手にしたカオルが雷牙を追いかけて、鋼牙の元にたどり着く頃には、雷牙は鋼牙の手によって抱きかかえられていた。

「おかえりなさい」

喜びが溢れたような笑顔を浮かべながらカオルが言うと、

「ただいま」

と鋼牙も穏やかな目を彼女に向けた。
そして、雷牙の顔を覗き込むように見やる。

「風呂に入ったのか?」

「うん!」

「ほら、雷牙、まだ頭ちゃんと拭いてないでしょ?
 風邪ひいちゃうんだからねっ?」

そう言いながら、カオルは雷牙の頭にタオルをかぶせて拭こうとする。
そこには、ごく一般の家庭の親子と同じ愛情深いやりとりがあり、それをゴンザはしあわせそうにニコニコと見守っていた。



雷牙を抱えたまま、鋼牙はリビングへと足を向けた。
中に入るとそっと降ろし、白いコートを脱いでゴンザに手渡してから、雷牙に向きなおった。

「雷牙…」

父に呼ばれた雷牙が、

「なあに?」

と言いながら近づく。

「おまえに土産がある」

「みやげ?」

きょとんとした顔をした雷牙に、鋼牙はそれを差し出した。

鋼牙の手には、木製のサルの人形があった。
手が長くて、手足の先がフック状に曲がっているので、そこを指に引っ掛けるようにして持つと、まるで本物のサルが木にぶら下がっているようにユラユラと揺れた。

「わぁぁ」

目を輝かせ、そっと手を伸ばす雷牙に、鋼牙はそれを渡した。
ひんやりとしてはいたが、木製だからか手にしっとりと馴染むような感触だ。
さっそく雷牙はサルの両手を持ち、ブランコのように前に後ろにと揺らしてみている。

「よかったわね、雷牙」

雷牙の両肩に手を置き、カオルが言うと、肩越しに振り返って

「うん!」

と元気な声が響いた。
そして、すぐに父を振り返ると、

「ありがとう、おとーさん!」

と嬉しそうに言い、ゴンザのほうにそれを見せに行った。

「見て見てー」

「おおぉぉ、よぉございましたねぇ、雷牙様」

「おとーさんのみあげだよ!」

「ほっほっほ、み・や・げ、でございますな」

「みやげ?」

「はい、土産です」

そんな微笑ましい会話を交わしていた雷牙とゴンザだったが、ゴンザが

「ささ、雷牙様、お部屋に行って髪を乾かしませんと…
 それから、ゴンザにもお父様のお土産を、よく見せてくださいませ?」

と言いながら、雷牙を連れてリビングを出て行った。



『すごく喜んでいたな、雷牙のやつ』

ザルバの声に、

「ええ、ほんとね。
 お父さんからのお土産が、とっても嬉しかったんだね」

と答えたカオルが、雷牙の出て行ったドアを見つめながら微笑む。

だが、その後すぐに笑顔を引っ込めて、じりじりと動き出した。
視線を揺らしながら、そっと鋼牙に近づき、鋼牙の腕に触れるか触れないかといったところでもじもじする。
そんなカオルに気づいたザルバは

『なんだ、カオル?
 おまえも何か土産が欲しいのか?』

と揶揄(からか)うように言った。

「ちがっ… 別にあたしはお土産を強請(ねだ)ろうだなんて思ってま・せ・んっ!」

慌ててそう言った後で、カオルは心の中で思った。

(あたしは、鋼牙さえ無事に帰ってくればそれで…)



なんだかはっきりしないカオルの様子に何を思ったか鋼牙まで

「すまない、おまえへの土産はないんだ」

と少し眉尻を下げて詫びた。

「だから、あたしはそんな、お土産なんて…」

両手を前に出して振りながら否定するカオルに、もともとそんなに離れていなかった距離をぐいっと縮めて、鋼牙はカオルの腰に手をやり引き寄せた。
鋼牙の腕の中に囲いこまれるように閉じ込められたカオルは、目を大きく見開き、その後、動揺する。

「こぉ… が?」

鋼牙の腕の中で見上げるカオルの額に、鋼牙はそっと口づけし、耳元で囁く。

「土産がない代わりに、この身では駄目か?」

「えっ?」

驚いたカオルが鋼牙の顔を見ようとするが、後頭部を鋼牙の手で押さえられて、それは叶わなかった。

「今晩一晩、おまえの好きにするがいい…」

耳たぶを食(は)むようにしながら、熱い吐息を感じつつ聞こえる鋼牙の声は、甘やかな毒でも注いだかのように、カオルの身体の奥深くを痺れさせる。

(やだ、足に力が入んない…)

思わずへたりこみそうになるカオルだが、しっかりと鋼牙に支えられているでの、なんとか立っていられた。

『おいおい、大丈夫か?
 まあ、明日の朝は別の意味で足腰立たねぇかもしれないがな?』

半分呆れたようなザルバの言葉に、顔を紅潮させながらカオルは叫んだ。

「ザルバッ!」

『くっくっく…』

恥ずかしそうに憤慨するカオル。
けれども、次の鋼牙の言葉に呼吸することも一瞬忘れた。

「なんだ、土産(俺)はいらないのか?」




「…欲しいです」



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


ふふふ、ちょっぴり大人の香りのお土産、いかがだったでしょうか?
いやん、鋼牙さんのお土産、selfish にも分けてもらえないかなぁ…

そうそう。
妄想の中に出てきたおサルの人形ですが、カイ・ボイスンのものを参考としました。
デンマーク王室御用達だというカトラリーの会社らしいのですが、木製玩具でも有名なんですって。
いやあ、今回、初めて知りました。
画像を見て、かわいいなぁと思ったんですが、お値段を見てびっくり!
こりゃ、おもちゃの値段じゃないな…

ま、鋼牙さんにとっては息子くんが喜びそうだと思ったら、そういうところは気にしないんだろうな。

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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