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きんのまなざし ぎんのささやき

おかーさんのすきなところ

何か月ぶりか、髪をカットしてきました。
はぁ~、すっきりした~♪

…なぁんてことは、今回の妄想には全然関係もないんですけどねwww

さてさて、そんな妄想(どんな妄想だよ…)、少しでも楽しんでいただけたらいいんですけど…
どうぞ~


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「おとーさん!」

幼い息子からかわいい声でそう呼ばれたのは、庭で鍛錬していた鋼牙が小休止しようと水のボトルに口をつけたときだった。

まるで空に向かっておしゃべりするかのごとく、首を精いっぱい上に向けた雷牙に、鋼牙は視線を落とした。

「なんだ?」

そう言いながら、ボトルの口を閉めてテーブルに置き、真っ白なガーデンチェアに座ると、鋼牙のすぐ横にとことこ近づいてきた雷牙は、父親の膝に手を置いて身を乗り出すようにして、また見上げる。

「おとーさんは、おかーさんのどんなところが好きなの?」

そんな無邪気な問いかけに、鋼牙は一瞬、目を見開き、かすかに眉をひそめた。そして、雷牙のほうに手を伸ばすと、両脇の下に手を差し込んで抱え上げ、すとんと膝の上に座らせた。

「おかーさんの好きなところ?」

「うん!
 どこが好き?」

首を傾げるようにしてつぶらな瞳でじっと見てくる雷牙に、もしここにカオルがいたら、かわいい~、と抱き着いて、イヤイヤするように身を捩(よじ)らせていることだろう。
もちろん、鋼牙はそんなことはしないが、とても穏やかな表示で雷牙の頭にポンと手を置く。

雷牙の問いにほんの少し困った鋼牙は、

「雷牙はどこが好きなんだ?」

と、質問で返した。
すると、

「うーん…」

とちょっと顔をしかめて真剣に考え始めた雷牙が、すぐにパッと笑顔を浮かべて、

「かわいいところぉぉぉ!」

と答えた。

「…そうだな」

「それからぁぁぁ」

「うん」

「あそんでくれるところぉぉぉ!」

  フッ

つい先日、雷牙と一緒になって追いかけっこをして、捕まえた雷牙もろとも芝生の上をごろんと転がっているカオルの姿が思い出されて、鋼牙は思わず笑みを浮かべて、

「そうだな」

と相槌を打つ。

「あとはねぇぇぇ」

一生懸命考える雷牙に、鋼牙はじっと彼の言葉を待った。

「ぼくに、だーい好きって言ってくれるところも好きぃぃぃ!」

「そうか…」

そう言いながら、鋼牙は雷牙を抱き寄せるので、雷牙も両手を伸ばして父親の首にしがみつく。
お互いにきゅうっと抱きしめ合って互いの愛情の確認が終わると、雷牙は鋼牙の顔を近くから覗いて、また問いを投げる。

「ねぇ、おとーさんは?
 おとーさんは、どこが好きなのぉ?」

再びストレートに問われると、今度は躱(かわ)すことは難しくなる。
どう答えようかと、鋼牙は中空に視線を投げ、そうだな… と考える。

「かわいいところ…」

「えー、ぼくと一緒ぉぉぉ!」

「それと… 父さんのことをよくわかってくれているところ」

「おとーさんのこと???」

「好きなものは何か、とか、嫌いなものは何か、とか、なにを大事にしているか、とか、そういうことだよ」

「ふーん」

「あとは…」

脳裏にカオルの姿を描きながら、鋼牙は考える。
彼女のことを考えると、どうしてもその手で抱きしめているイメージが浮かんできてしまう。

「いい匂いがして、温かくて、すごく… すごく… 安心できるんだ」

そんなふうに思ったことがついポロリと零れ落ちてしまい、子どもに聞かせるには相応(ふさわ)しくないかと気づいて少し慌てた。

けれども、それを真剣に聞いていた雷牙は、

「おとーさんもおかーさんのことがだーい好きなんだね?」

と言ってにこにこ笑うので、そう言われた鋼牙は

「いや、えっと… 」

と動揺がさらに深まってしまう。

「ん? 違うの?」

鋼牙の狼狽(うろた)えた様子に、雷牙が訝(いぶか)し気に首を捻る。

すると、鋼牙はふぅーっと息をひとつ大きくついてから、

「ぜんぶ…」

と言った。

「ぜんぶ?」

「そうだ。
 母さんの好きなところは ’全部’ だ」

  ぽかーん

雷牙は口を半分開いて、少しの間、呆けていた。
けれども、すぐにちょっと起こったような顔をして、

「ずるーいっ!」

となじるように言う。
そして、

「ぼくも!
 ぼくも ’全部’ にするーっ!」

と身体を揺すってそう宣言した。
フッと鋼牙の口角がわずかに上がる。
そして…

「雷牙も父さんも、母さんのことは、全部大好きだな?」

と言い、雷牙はそれに

「うん! ぜーんぶ、だいすきーっ!」

と大きな声で言った。




そこへ…

「雷牙ー、ほら、ジュース持ってきたよー」

と、ジュースの入ったコップの乗ったトレイをひょいっと上げながらカオルが屋敷から出てきた。

「おかーさんっ!」

いそいそと鋼牙の膝から降りた雷牙が、カオル目掛けて突進する。
そして、彼女の膝に抱き着いた。

「ちょっと!
 んもう、雷牙、危ないよ?」

大きく波打つコップに焦るカオルが、雷牙に注意する。

「ごめんなさーい!」

ちっとも悪びれるふうもなく雷牙が言って、

「えっと、それからね?」

とカオルの顔を仰ぎ見て言う。

「おかーさん、だーいすき!」




そんな雷牙たちの様子を見ながら、

(今ここで、自分もカオルを抱きしめ雷牙と同じようにカオルに大好きだと言ったらどうなるだろう…)

と鋼牙は思った。

  くすっ

思わずこぼれた笑み。

(雷牙の前では、とてもそれはできないな…)



fin
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カオルちゃんのこと、「全部」好きな男は鋼牙ひとりじゃないってことですね。
う~ん、愛される女~♡

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も8年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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