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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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何にする?(1)

暗~い妄想の後は、お気楽なのがいいですよねぇ?
オチも何も考えてないですけど、見切り発車、しちゃいましょ~♪
(未来の自分に恨まれそうだけど… ははは)

拍手[7回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「カオル…」

名前を呼ばれた。
ただ、それだけで、カオルは身体の芯を強く揺さぶられたような気がした。
鋼牙の腕の中にいたカオルは、鋼牙の顔を見ようと彼の胸を押して距離を作ろうとしたが、彼女を抱く鋼牙の腕に力が込められて、それは叶わなかった。
彼に閉じ込められたまま、再び、ベルベットのような耳障りのよい低い声が鼓膜を震わせる。

「どこにも行くな。
 …ここにいろ」

(はうっ)

カオルの息が止まる。
心臓が鷲掴みされたように苦しい。
けれども、じわじわと喜びが身体の中を駆け巡り、一気に熱くしていく。

(鋼牙…)

うっとりとしたまま、頬をこすりつけるようにして鋼牙に身体を寄せて、この幸福感の中にどっぷりと浸ろうとしていた。
だが…



次に放たれた鋼牙の一言がすべてをぶち壊しにした。

「これでいいのか?」

(んぐっ)

今度は、違う意味でカオルの息が止まった。
そして、次の瞬間、

「はぁぁぁぁ」

と、それはそれは深ーーーい溜め息をついた。

「んもう、鋼牙ったら!
 今ので、台無しだよ。
 だ・い・な・しっ!」

カオルは鋼牙をジト目で睨んだ。
睨まれたほうの鋼牙はカオルから視線を外して、なんとか批難から逃れようとする。

そんな悪くなった空気を打破するように、ザルバが声を掛けてきた。

『まあまあ…

 鋼牙は俳優でもなんでもないんだから、そのくらいで許してやれよ。
 な? カオル?』

とりなすようにそう言ったザルバに、それでもカオルは不満顔。

「だぁってぇ~
 なんでも言うこと聞くって約束だったじゃな~い?」



なぜ、こうなった?
それを語るには、時間を数時間遡(さかのぼ)らなけれならない。



それは昼下がりのことだった。
ゴンザとふたりでオセロに興じていたカオルに、どうした心境の変化なのか、鋼牙が勝負を挑んできた。
一回、二回、… と対戦したが、どうしたわけだか、鋼牙はカオルに勝てなかった。

「もう一回だっ!」

人差指を立ててカオルに迫る鋼牙に、カオルは溜め息をつき、ゴンザは苦笑い…

「ねぇ、もうやめとこうよ?
 キリがないもーん、ね?」

眉尻を下げてそういうカオルに、鋼牙はそれでも諦めない。

「あと一回だけ頼むっ!」

「ええーっ」

これ以上勝負しても… と困り顔のカオルに、ついにはザルバも鋼牙に加勢する。

『さすがにあれだけ勝負しておいて、一回も勝てないなんてのは、なぁ…
 おい、カオル。俺からも頼むぜ。最後に一回、鋼牙の相手をしてやってくれないか?』

そう言われて、カオルはゴンザを振り向くと、ゴンザも、頼みます、とばかりに眉を下げる。

(しょうがないなぁ…)

「わかった。 最後に一回だけだからね?」

それを聞いて、鋼牙を初めザルバもゴンザも表情を明るくさせた。
が、すぐさま、カオルの厳しい声が飛ぶ。

「ただし!」

その声に、鋼牙たちは途端に不安そうな表情になる。

「それで負けたら罰ゲームだからね?」

「『「罰ゲーム?」』」

三人の声が重なる。

「そう!
 負けたほうが、勝った方の言うことを三つ聞くこと!」

突如、カオルは仁王立ちになり、三本指を立ててドヤ顔で言った。

「言うことを…」

『三つ…』

「聞くこと?」

鋼牙とザルバとゴンザが目を瞬きさせながら呟く。

「そう!
 それでいいなら勝負しよう!」

どう? とばかりに鋼牙を覗き込むカオル。
自然とみんなの視線が鋼牙に集まる。

「…」

しばしの沈黙の後、鋼牙の顔が緊張感で引き締まった。

「いいだろう!」

まるで、手強(てごわ)いホラーに対するときのように厳しい顔をする鋼牙に、

(なんなんだ、この闘争心の無駄遣いは…)

とザルバは思うと、溜め息をついた。



そして…



予想通り(!?)鋼牙は負けた… 完敗だった…



カオルは、第一の願いを口にした。

「なんでもいいから、あま~い愛の囁きを聞かせて?」

小首をかしげて、ニコッと笑う。
鋼牙の顔はひくひくと引きつっていた。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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