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別に君を(1)
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「さて、と… 昼飯、どこで食おっかなー」
小さめのスーツケースをガラガラと引きながら移動していた宇佐美は、大通り沿いのビルが作る日陰に足を止めて辺りをぐるっと見渡すした。
(やっぱ、ケータイで探すか…)
そう考えて、通行の邪魔にならないよう道の脇に移動してスマホを取り出した。
なにせ、出張でこの地にやってきて土地勘がないのだから仕方がない。
というのも、ここには出張でやってきた。今日で出張3日目だ。
ただし、仕事のほうは昨日までで終わっているので、あとは帰るばかりとなっている。
(せっかくこんな遠くまで来たんだからな、ちょっとばかり観光できたらいいな…
あと、ここならではの美味いもんも食っときたいし…)
「うーん、どこがいいかな…」
真剣にスマホの画面を見ながら悩んでいると、
「宇佐美くん?」
と遠慮がちな女性の声が聞こえて、ハッとした。
慌てて声のしたほうに顔をあげてみると、こちらを覗き込むようにして見ている女性がいた。
ネイビーのクロップドパンツにバレエシューズというカジュアルなボトムスに対して、トップスはグレーがかった薄いブルーのフレンチスリープのとろみのあるブラウスという装いの女性。
その顔をじっと見て、見覚えがあるぞ、と宇佐美は記憶の引き出しを片っ端から開けてみた。
すると、それを手助けするように、女性がヒントを口にした。
「高校のとき… 同じクラスだった…」
そこまで聞いて、宇佐美は思い出した。
「御月? えっ、ほんとに?」
思わず指を差して、目を見開いた彼に、カオルはにっこり笑って大きくうなずいた。
「うん! あたし! 御月カオル!」
「おー、まじかー!
なに? おまえ、今こっちに住んでんの?」
予想以上の反応に気をよくしたカオルが思わず笑う。
「ふふふ、まーねー。
宇佐美くんは? 旅行か何か?」
「あ、俺? 俺は仕事。
うちの会社の北部支社がこっちにあって、一昨日にこっち来て、仕事は昨日までで終わってるんだー
今日はもう帰るだけなんだけど、帰りの飛行機は夕方の便にしたから、それまでどっか近場で観光できたらなぁ、なんて考えてたんだけど…
いやあ、まさかこんなところで同級生に会うとは思わなかったから、滅茶苦茶驚いたわ」
「だよねぇ、あたしもびっくりした。
ちょっと似てるな、とは思って見てたんだけど、スーツケースのそれ見て、やっぱり宇佐美くんかもって思って…」
そう言ってカオルが指差した先のスーツケースには、某サッカーのチームロゴがデザインされたネームタグがついていた。
「T.USAMI」と書かれたほうは裏向きになって見えなかったが、チームロゴはしっかり見えている。
「そのチーム、好きだったでしょ?
今でも好きなんだねぇ?」
「おー、好き、好き!
でも、へぇー、そんなこと、覚えててくれたんだー」
「覚えてるよー
って言うか、宇佐美くん、クラスでも人気あったじゃん。
あたしの友達だって、キャーキャー言ってたよ」
「へぇー、誰だろ、その友達って。
何? 御月はキャーキャー言ってくれてなかったの?」
「あたし?
はははー、どーだろーねー? ご想像にお任せしまーす」
「何それ、軽っ…
うーん、俺、今フラれたの? なんかちょっとショックだわー」
楽し気な会話は続く。
宇佐美もカオルも10年以上会っていなかったというのに、そんなブランクを感じさせないくらいテンポよく話せていることに驚きつつも、嬉しくもあった。
高校時代の宇佐美は、まあまあかっこよくて、スポーツ(特にサッカー)が得意で、陽気で人当たりもよかったからクラスでも中心的な位置にいたし、他のクラスや後輩からもモテていた存在だった。
カオル自身とは特別親しいわけでも親しくないわけでもなかったが、阿佐美とはまあまあ仲が良くて、そんなところからも違和感なく話せたのかもしれなかった。
「なぁ、御月。
俺、これから昼飯食おうと思ってたんだけど、どっかいいところない?
あっ、おまえ、時間ある? よかったら一緒にどうよ?
ひとりで食うのも寂しいと思ってんだけど…」
何気ないふうを装いながら、実のところ、宇佐美はちょっと緊張していた。
高校のとき、カオルに対してほんのりと、ほんとうっすらとではあったが、好意のようなものを感じていたことがあったからだ。
内心ドキドキしつつも、爽やかな笑みを浮かべながらカオルの返事を待つ宇佐美。
すると、カオルは、うーん、と難しい顔をした。
「お昼はちょっと…
実は、画材の買い出しに来ただけで、すぐに帰るって言って来たから。
きっと、お昼の用意をして待ってると思うんだよねぇ」
ガーン!
ショックのあまり、つい表情が暗くなった宇佐美だったが、なんとか立て直して聞いてみた。
「そっかぁ、それは残念だな…
それにしてもさ、その待ってる人って、彼氏とか旦那さんとか?」
それを聞いて、カオルはキョトンと目を丸くしてから、慌てて手を振って否定する。
「違う、違う!
うー、なんていえばいいんだろ?
家族っていうか…
それに近いっていうか…
ま、そんな感じの人っ!」
急に暑くなったのか、汗を掻いて手でパタパタし出したカオルを眺めながら、宇佐美は低く呟いた。
「ふーん…」
「60代? くらいの人だよ?」
「おまっ、そんな人と付き合ってんのっ?」
慌てる宇佐美に、カオルはもっと慌てる。
「だから、つきあってないって!」
カオルは焦りつつも、なんとか話題を変えたくてひとつの提案を絞り出した。
「う、宇佐美くん!
あのねっ、ランチは無理なんだけどコーヒーの一杯くらいならつきあえるよ? どうかなぁ?」
こちらの様子を窺うようにするカオルは、首を傾げて若干上目遣いのせいで、本人無自覚なのだがなかなか殺傷能力は高く、宇佐美は少し耳を赤くしながらうなづいた。
「あっ、いいの?
じゃあ、もうちょっとだけつきあってもらおうっかな…」
to be continued(2へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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