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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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最近の’お礼’

やさしいキスを

まったく別の妄想を現在書いている最中なのですが、昨晩、事務員Gさんの
ピアノアレンジでGeroさんが歌ってる歌を聴いてしまい…

突発性妄想症候群が発動!
ゴゴゴゴゴ…

現在、selfish は風邪のせいで、しゃべろうとすると全部咳になってしまい、
呼吸が困難な状態なのですが、やっちまいました。
勢いだけで書いちゃった…
(いや、横になると、咳が出て苦しいのね… と言い訳してみる)

そんなこんなで、よかったら読んでくださいませ。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

カオルの絵を見た、あるギャラリーのオーナーが、
「もう何点か見たい」
と言うので、カオルは、
「これまで書いたものと一緒に、今描いている作品を仕上げて持っていく」
と返事をした。

1枚仕上げてしまうと、すぐに別のインスピレーションが沸いてきて、
もう1枚… というふうに欲が出てきてしまい…
そんなわけで、ここ何日かはアトリエにこもり、カオルは、冴島邸に
足を運んでいなかった。

もう少しで絵も完成して、

(明後日には鋼牙やゴンザさんに会えるかな?)

などと思いながら作品に取り組んでいた夜、カオルは、冴島邸からの
電話を着信した。

「もしもし、ゴンザさん?
 あのね、明後日には…」

「カオル様!」

のんびり話し出したカオルを、やや厳しい調子でゴンザが遮った。
驚いて黙ったカオルをよそに、ゴンザが語りだした。

「鋼牙様が、お怪我をなさいました」

「えっ」

驚き、気が動転するカオルを落ち着かせるように、ゴンザはゆっくりと
落ち着いた声で続けた。

「大丈夫でございます。
 命にかかわるようなお怪我ではございません。
 それに、怪我の処置はもう済んでいます。
 その点はご安心くださいませ」

(ほぉ~っ)

息をするのも忘れていたカオルは、大きな大きな息を吐き、そのまま
深呼吸を繰り返した。

「よかった…」

「鋼牙様は、 『カオルには知らせるな』 と仰ったのですが、一言だけでも
 と思いましてお知らせした次第です」

「ゴンザさん、ありがとう。
 あたし、今からすぐ行きます。
 こんな時間に行っても大丈夫?」

「もちろんでございますとも。
 お待ちしております」

「じゃ…」

カオルはゴンザの返事を待たずに電話を切り、手早く外出の支度を整えると
アトリエをあとにした。

暗い夜道をただひたすらに走る、走る…

「鋼牙、待ってて。
 今行くから…
 すぐに行くから…」

カオルは、走ることで苦しいのか、説明のできないこみ上げる感情に
潰されそうで苦しいのか判らなくなりながら、涙がこみ上げ、息を詰まらせ、
ただ闇雲に先を急いだ。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

冴島邸の玄関先には煌々と明かりがついていた。
まだ施錠されずにいた玄関に転がり込み、玄関ドアにすがりついたまま、
カオルは荒い呼吸を繰り返した。

「カオル様っ」

駆けつけたゴンザは、カオルを一目見ただけで、

「只今、お水をお持ちします。
 鋼牙様は部屋で休まれていますから」

という言葉を残し、キッチンへと姿を消した。

カオルは呼吸が整うのを待つのももどかしく、もつれる足を平手でぴしゃりと
叩いてから、ゆっくりと階段を昇っていった。

鋼牙の部屋の前で深呼吸をしていると、水を持ってきたゴンザがカオルに
追いついた。
グラスを受け取り、ごくごくと飲み干す。
空いたグラスをゴンザに返すと、カオルはドアをノックした。
返事を待たずにドアを開く。

鋼牙はベッドの中にいた。
上半身を起こして、顔をこちらに向けている。
膝には書物が乗っている。
ベッドサイドのスタンドがついている状態で、膝の書物の辺りは明るかったが、
鋼牙の顔の辺りにまで十分な光が届いていない。

(もっとよく鋼牙の顔が見たい…)

足早に鋼牙の元に足を進めたカオルは、ベッドサイドでひざまずいた。
足にはもう立っているだけの力が残っていなかった。

「カオル…」

鋼牙が名を呼んだ。

(駄目だ。
 鋼牙の顔がよく見えない…)

カオルの目には涙が溢れていた。

「ゴンザに聞いたのか」

こくんとうなずくカオル。

「お叱りは、明日、いただきます」

部屋の戸口にいたゴンザは、主人にそう言うと、深々と礼をしてから、
ドアを閉めて下がっていった。

「ゴンザさんを叱らないで。
 あたしが鋼牙に会いたかったから来たの…」

布団にしがみついて、カオルは必死に弁明した。
鋼牙はふっと笑うと、

「叱りはしないさ…」

そう言い、カオルの髪を撫でた。
そのときになってカオルはハっとした。

「やだ、急いできたから、あたし、髪も顔もぐちゃぐちゃ…」

慌てて髪を撫でつけ、目尻を拭う。
そんなカオルを鋼牙はベッドの上に引き揚げようとした。

「うっ…」

顔をしかめる鋼牙。

「大丈夫?
 まだ痛いの?」

「あぁ、あばらを何本か持ってかれたが、処置は済んでいる。
 心配ない」

カオルの心配を取り除こうと、鋼牙は意識して、なんでもないふうに言った。
だが、カオルの顔から緊迫感は拭えなかった。

「…ない…」

「ん?」

何かを呟いたカオルの言葉が聞き取れず、鋼牙は思わず聞き返した。

「…心配ないこと、ないよ…
 でも…」

鋼牙はカオルを見つめ、次の言葉を待った。

「今日って日が終わるときに、
 一日が終わるときに、
 鋼牙がちゃんと戻ってきてくれたら…

 ほんと、それだけでいいから…」

そう言うと、カオルの表情からようやく力が抜け、優しい笑顔が溢れた。

鋼牙はカオルの腕を引いて、自分の胸の中にカオルを閉じ込めた。




今日、鋼牙が不覚を取ったのは、ホラーとの闘いの最中、

(今日こそ、カオルに一目だけでも会いたい…)

などと思っていたからだったが、それはカオルには絶対内緒だ。




「カオル。
 今日が終わる前に、会えてよかった」

鋼牙は優しい声でそう言った。

しばらく、鋼牙の腕の中で鋼牙のぬくもりを感じ取っていたカオルだったが、
やがて、そっと身体を引き離し、鋼牙の視線を真正面に受けた。

「鋼牙が眠るまで、そばにいていい?」

「あぁ」

カオルは鋼牙の返事を聞くと、伸びあがって鋼牙の額に優しくキスした。

「おやすみ、鋼牙…」



今晩だけは、鋼牙はカオルの腕の中。
穏やかな鋼牙の寝顔を、カオルだけが独り占めした。



  この出会いにやさしいキスを
                これが運命なら




fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


ドリカムの楽曲 「やさしいキスをして」 からの妄想でした!

以前から、この曲で妄想できそうだなぁと思っていたのですが、
Geroさんの激しい歌いっぷり(一部ですけど)を聴いたら、ストッパー解除!
妄想が止まらなくなりました~~~

今回は、カオルが 「やさしいキスを ’する’ 」 というふうに妄想したので、
タイトルから 「して」 の部分を外しました。

歌詞も全文掲載したいくらいですが、著作権のこともあるので、
どうしても使いたかった最後の部分だけを使いました。
お時間あれば、オリジナルを聴くなり、歌詞を確認するなり、よろしくです。

それで、ニュアンスが伝わると嬉しい…


(ところで、この妄想、突発性なので、「もくじ」のどこに掲載するのが
 よいのかしら?
 一期でも、白夜でも、MAKAISENKIでもない…)

拍手[45回]

コメント
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無題
ただ一人の運命の人♪ってね。中居君主演の「砂の器」のドラマ主題歌でしたね、切なかった~。

ってか不覚とるぐらいならもう嫁にしてそばに置いとけw。
心太 2012/10/07(Sun)00:16:59 編集
Re:無題
あんまり(っていうか全然)ドラマ見ないんですよ、selfishは…
なぜ?
感情移入していろいろな感情を揺さぶられるのにも疲れるし、毎週同じ時間に見る(録る)のも面倒くさいし… かな?
年取ったからってワケじゃないんですよ。
若い頃から、ドラマは見てない。
ダメじゃん、若い頃から、すでに枯れちゃってるじゃん… (苦笑)

んっ、嫁ですか?
いやぁ、まだまだ嫁にはしませんよぉ~
嫁にすると、なかなか妄想できませんもん。
嫁じゃない今のうちに、妄想しまくらないと… (笑)
【2012/10/07 10:24】
はじめまして!
はじめまして!こんばんわ♪
コメント書くのになれてないので
こんな感じでいいのでしょうか!?
小説読ませていただいております!
毎日気付けば丑三つ時(笑)
時間を忘れて読んでおります(*´∀`)
さて今夜も丑三つ時まで...
ちなみに私は小説を読んでいるときは
ドリカムの『月光』が 頭の中をながれます♪
かんこちゃん 2013/08/10(Sat)00:24:14 編集
Re:はじめまして!
はじめまして、かんこちゃん様!
コメント、とっても嬉しいです。
いいも、悪いもありません!
コメントしていただけるだけで、ほんと、感謝、感謝です。

丑三つ時って、あなた! (←あっ、すいません、馴れ馴れしくて)
ホラーが跋扈する時間帯ではないですか。
かんこちゃん様の貴重な睡眠時間を取り上げているってことですか?
うわぁ、どうしよう!
こんな、テキト~な妄想にお付き合いさせてしまって、ほんと申し訳ないです…

「月光」を知らなかったので、慌てて聞いてきました。
とっても素敵な楽曲だったので、拙い妄想が恥ずかしいやら、恥ずかしいやら、恥ずかしいやら… (えぇ、とっても恥ずかしい! ってことです)

また、おヒマなときでいいので、いつでも覗きに来てください。
そして、面白いって思っていただけたものがあったら、一言でいいので、また教えてください!
【2013/08/10 15:56】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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