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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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友なればこそ(2)

MAKAISENKI で、一番最初に妄想ポイントとして目をつけたのが、
第3話「車輪」の、鋼牙が ’’穏やかな顔’ で車を運転するのはなぜ?
ということでした。

きっと以前、カオルちゃんとドライブしたのよ! きゃ~

…ってことで生まれたのが 「家に帰ろう」 という妄想でした。
でも、いざ書き始めると、ドライブは片隅に追いやられてしまい(苦笑)、
  ‘家に帰る‘ (=カオルの元に戻る)
というテーマにすり替わっちゃいました。

で、二番目に目をつけたのが、
東の管轄で、鋼牙、零、レオの3人が出会った後、何するんだろう?
ってところ。

それを妄想したのが、この 「友なればこそ」 になりますが、
いやぁ、こっちもどんどん脱線していきました~ (汗)

その結果、こんなのになっちゃいましたが、どうでしょうか?

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ドアの開く音がして、鋼牙が振り返ると、手にグラスやビンを抱えた零が
いた。

「まっ、好きなの適当に飲んでくれ」

テーブルの上に無造作に置くと、零は中から1本ビンを選んで手に取り、
床にどかっと腰を下ろした。
鋼牙もソファに場所を移し、適当な1本を掴んだ。

「レオは放っといて大丈夫なのか?」

そう言ってから、零はビンの中身を口に含んだ。

「あぁ、問題ないだろう…
 多少無理をしてでも早く直したいだろうからな。

 ヤツの好きにさせておけ」

「… そっか」



しばらくの沈黙の後、零が切り出した。

「鋼牙。
 カオルにはこのこと話したのか?」

握りこぶしから立てられた親指を、ぐいっと自分の胸に突き刺すようにして、
零が鋼牙に尋ねた。

「いや…」

一言だけ答えると、鋼牙はグラスをあおった。

『まったく、あいかわらず言葉の足りない男ね』

シルヴァが呆れた口調で呟いた。

『しゃべり過ぎってのは、男の格を下げるぜ』

ザルバも負けずに言い捨てる。

『あらっ、黙ってりゃ~いいっていうのは、違うんじゃない?』

魔導具たちがエスカレートしそうなところを

「まぁまぁ…
 ザルバもシルヴァも、そう熱くなるなよ」

と零が間に入る。
場の雰囲気がほぐれたことに乗じて、零は、一番聞いてみたかったことを
ずばりと尋ねた。

「鋼牙。
 さっき、’破滅の刻印’ のことを話したときさ…
 まさか、事実を告げるだけでおしまい…って、つもりじゃないだろう?
 その後、何か言いたいことがあったんじゃないのか?」

 あのとき、零にも ’破滅の刻印’ があることが判り、鋼牙は黙ってしまった。
 だが、そうでなければ、鋼牙は零に何かを…
 零はそう睨んでいた。

「…」

無言の鋼牙を放っておいて、零は続けた。

「もしかしてさ、

 『俺はもうじき死ぬかもしれない。 だから、後のことはお前に任せた』

 なんてことを言うつもりだったのか?」

「…」

長い沈黙が続いたが、今度は、零は鋼牙の言葉を待ち続けた。

「… 正直に言うと、判らないんだ」

ようやく、搾り出すように鋼牙は言った。

「こんなものに負けてたまるか、という思いはある。
 だが、万が一… と考えないわけでもない…
 だから、お前に後を託したい、という気持ちが全くない、と言えば嘘に
 なる」

相手が零でなければ、鋼牙は語らなかったであろう正直な気持ちだった。
そして、相手が零でなければ、口にしなかったであろうことを尋ねた。

「零、お前はどうなんだ?」

「ふっ…
 俺の意見を聞きたいっていうのか?」

少しおどけた素振りで零は受けた。

「黄金騎士ともあろう者が… って笑い飛ばしたいところだけどな。

 俺たち魔戒騎士だって、人間だ。
 恐れ、迷い、揺らぐことだってあるさ。

 だがな、これだけは言っておく」

それまでの軽い調子とは正反対に、零は睨むように鋼牙を見据えた。

「お前じゃなくても、カオルは守れるヤツはいるかもしれない。

 けどな、カオル自身が自分のことを守ってほしいと願っているのは、
 間違いなくお前だけなんだ。

 それだけは忘れるなよ」

鋼牙は無言で受け止めた。
零の言葉も、零の気持ちも。

「もし…
 仮に、の話だが…」

いつになく、零の目が座っている。

「もし、お前と俺のどちらかが死ななきゃならないってことになったら、
 俺が死んでやるよ。
 だから、お前は何がなんでも生きろ!
 いいな?」

思いもしない言葉に鋼牙は驚く。

「馬鹿なことを…」

次の瞬間、一転して、零はいつもの調子に戻り、笑顔で言葉を続けた。

「ば~か。
 俺だって命は惜しいぜ。
 ’破滅の刻印’ なんかに、みすみす命をくれてやろうとは思っちゃいない。

 ただ、俺はそのくらいの覚悟をしといてやるよ、って話しさ。

 鋼牙、俺の力が必要なら、いつでも言ってくれ。
 面倒なことは俺が引き受けてやる。
 だから、お前は前だけを見て、この ’破滅の刻印’ に立ち向かえって
 言ってんだよ」

そこまで言うと、零はボトルをぐいっと飲み干した。
それまで黙っていたザルバが、惚れ惚れしたように会話に加わった。

『零、お前、男前だな』

『あらっ、今頃気づいたの?
 零のよさが判らないのは… ’人間の女’ だけかと思ってたわ』

シルヴァはもう少しでカオルの名前を出しそうになったが、ギリギリの
ところで飲み込んだ。

「ザルバ、褒めてくれてありがとな。
 でも、そう言われるなら、やっぱ、女の子からのほうがいいなぁ」

魔導具たちの会話に、零が楽しげに加わった。
その様子を見ながら、鋼牙は思った。

(ほんとにお前は大したヤツだ…
 俺は、お前の ’友’ として、恥じることのないように覚悟しなければ…)

鋼牙は、わだかまっていたものが少し氷解したのを感じた。

「零、お前に会えてよかった」

言ってしまってから照れたのか、グラスに視線を落とし、残り少ない中身を
飲み干した。
零は、魔導具たちに向けていた少年のような笑顔を、そのまま鋼牙に
向けた。

「それはこっちの台詞さ。
 俺たちは仲間だろ?」

零のウィンクがきれいに決まった。

鋼牙は、またひとつ、零に借りが出来たように思った。
だが、その借りは、鋼牙にとって少しも重荷には感じられなかった。
それは、涼邑零という男ならばこそだとも思った。



この先、どうなるかは鋼牙に知りうるはずもない。

だが、道に迷ったとき、進むべき方向を示し、力を貸してくれる ’友’ が
鋼牙にはいるのだ。

友だからこそ、本音を吐露し、苦言を呈し、何も言わなくても伝わり、
判っていながら黙っていてくれる。



「零、久しぶりに、気持ちよく酔えそうだ」

心が軽くなったような鋼牙の表情を確かめ、零は静かに言った。

「そいつぁ、よかった…」



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


お題 「鋼牙と零とレオの3人は、出会った後、何をするでしょうか?」

レオくんはコルトの修理をするだろうな~
じゃあ、鋼牙さんと零くんは?
閑岱の夜、リターン?
今度は、おしゃれなバーにでも行く?
おぉ~ 面白そう…

ってことで、書き始めたんですよ、最初は。
ところが、レオくんひとりを置いて飲みに出掛けるのはないなぁ~ と、
家飲みに変更したら、なんだかどんどんシリアスに…

いつの間にか
  ’カオルの元にもう戻れないかもしれない’ と揺れる鋼牙
  ’ば~か、カオルのために何がなんでも帰ってやれよ’ と叱る零
という具合になってしまいました。

ラブ~な要素は ’ほぼなし’ なので、みなさんのお気に召すかは
疑問ですが、カオルに対する、零のほろ苦い感情に触れることが
できたので、 selfish としては満足してます。

さぁ、また1週間の始まりです。
また、書けない日々が続くのか…  (やれやれ)

拍手[33回]

コメント
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急げ~
まずは、「お題 「鋼牙と例とレオの3人は」 ”例” → ”零” に修正でござるよ~
お仕事忙しいでしょうが、楽しみに待ってますよ~~
ファイト!

なな 2012/10/08(Mon)23:13:27 編集
Re:急げ~
誰か気づいてくれるかな~ ってことでワザとですよ!

…嘘です。
なな様、教えてくださって、ありがと~
たまに「玲」って変換されてしまうのは注意しているのですが、まさかの「例」… あははは

また、1週間がんばりますよ~!
【2012/10/08 23:33】
零君ラブ
第2シリーズの洞窟シーンで零君が「カオル」と呼び捨てにするとこありましたよね?。あれ私的には、捕らわれた鋼牙の代わりにカオルを守るのは俺だ!的な気持ちがあったんだろうな~と感じてました。零君的に、後を託されたような気分になってたんだと思います。自分が鋼牙の一番の「ザルバ」だという自負もあるだろうし。

でもカオルちゃんの言葉を聞いて我に返ったから「カオルちゃん」と元に戻ったんだと思ったなと、画面見てて思いました。
今回はそれに繋がるいい話だと思います、ママン的にw。

連休終わりましたね、だんだん秋も深まってきて冷え込む朝晩になってきました。慣れない職場だと気疲れなさるでしょうから、ゆっくりお風呂で温まって体休めてくださいね♪。
心太 2012/10/08(Mon)23:18:38 編集
Re:零君ラブ
うふふ、ママンと一緒。 嬉しいな~
カオルのことを、「守るべき対象」と捉えたときは、零くんは「カオル」と呼び、そうじゃないときは「カオルちゃん」なんだろうな~と思ってました、 selfish も。

そこら辺にクローズアップした妄想も、「友なればこそ」とは別に、ちょっぴり書いてもみたのですが、あんまり発展しなかったので抹殺しましたけどね。 へへへ

selfish の身体を気遣ってくれて、ありがとうございます。
ほんとのママンのようです… (しみじみ)

会えない時間が愛育てるのさ、という歌もありますが、書けない時間が妄想を育ててくれるかも… (いや、くれないか?) ですので、気長に無理せず、ぼちぼちやりますね。
【2012/10/08 23:48】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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