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きんのまなざし ぎんのささやき

友なればこそ(1)

この妄想の前に、「家に帰ろう」 をすでにお読みでしょうか?
もし、お読みでないなら、そちらを先にお読みいただくことをおすすめします。
MAKAISENKI 第3話で、レオとドライブしている鋼牙の ’穏やかな顔’ の
ほうの理由を妄想したのが 「家に帰ろう」 となっています。

その後、レオとザルバの会話中、やたらと ’厳しい顔’ をしている鋼牙に
ついては、こちらで妄想しています。

カオルとのラブ要素は 0(ゼロ) の妄想ですが、それでもよろしければ、
どうぞご覧くださいませ。

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「驚いたな。

 鋼牙さんもそんな穏やかな顔するんですね」

レオにそう言われて、鋼牙は我に帰った。

東の管轄へ号竜を届けに行くレオと、そのルートの途中でホラー討伐を
命じられた鋼牙とが、車で移動しているときのことだった。

「別にこれが普通だ」

鋼牙はうそぶいたが、それは、レオを前にしながら、あまりに素を
さらけ出していたことを恥じたがために出た言葉だった。



鋼牙は思い出していたのだ。

緑まぶしい山あいを走る道路…
陽光を受け、光る水面…
髪や頬を切るように過ぎていく冷たい風…

かつて、カオルを助手席に乗せたあのときのことを。

「俺は必ず戻る。
 どんなことがあっても」

あのとき、鋼牙はそう心に強く決めたのだった。

あれから程なくして、北の神官の命で、名だたる魔戒騎士たちが腕の優劣を
競うサバックに潜入し、悪夢のように甦った暗黒騎士キバに立ち向かったときも、
その直後に、元老院の朱雀議長を介して受けた指令により、各地に潜む
7体の使徒ホラーに対峙(たいじ)したときも、その想いは少しも揺るがず、
あらゆる困難に打ち勝ち、鋼牙はカオルの元に帰ってきた。

だが、今は…

鋼牙の胸には、赤い仮面の男の手により ’破滅の刻印’ が刻まれた。
その刻印が、身体を蝕んでいっていることは、時折襲われる激しい痛みが
教えていた。
その痛みは、不意に容赦なく訪れる。
カオルと過ごす心穏やかな時間ですら…

(俺はあと何度、カオルの元に帰れるのか…)

鋼牙の中で揺らぎが生じていた。
あのときの誓いを守れるのか、と…

レオとザルバとの会話もそっちのけで、鋼牙はそんなことを思いながら、
ステアリングを強く握り締め、前方をきつく睨みつけていた。

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ホラーの本能が呼び覚まされてしまったコルトを、すんでのところで
鋼牙は止めることができた。
そこへ、東の管轄から号竜を受け取りに来た零が現れた。

「ちゃ~んと直してやってよね。
 神官が首をなが~くして待ってるから」

破損した号竜を前にしょげるレオに、優しく声をかける零は、風格すら備え、
落ち着いた大人の魔戒騎士として鋼牙の目に映った。
そんな零を友として頼もしく、誇らしく思った矢先、鋼牙は、’破滅の刻印’ が
零の胸にも刻まれていることを知った。
沈鬱な空気がその場を覆った。
痛ましげに眉をひそめる鋼牙の表情から、友ゆえに解る何かを嗅ぎ取った
零だったが、その場では触れず、代わりに、零はレオに明るい調子で
声をかけた。

「その号竜、早く修理したいんだろ?
 俺ん家でよけりゃ、好きに使ってくれて構わないが…」

なんと返事をすればいいのか戸惑ったレオは、鋼牙へと視線を向けた。
そこで、零は、今度は鋼牙を振り返って言った。

「鋼牙、お前も来るだろ?
 レオが修理している間、俺につきあってくれよ」

鋼牙は零と視線を交わすと、零の気遣いをすぐに感じ取った。

(俺にもっと何か話したいことがあるんじゃないのか?)

鋼牙は、すぐにレオに向けて断りを入れた。

「レオ、それでいいな?」

「はい…」

「零、すまないが、厄介になる」

「いいって、いいって…
 何のもてなしもできないがな…」

こうして、鋼牙たちは、ポートシティの郊外にある零の家へと移動することに
なった。

正式に東の管轄の魔戒騎士となったとき、零はこの家を手に入れた。
これまでどおり仮暮らしを続けていたのでは、魔戒騎士としての務めを
十二分に果たせないと考えたからだ。
零の家は、市街地からさほど離れていないが、人家からは少し離れた
場所にある、ごくシンプルな作りの一軒家だった。

レオはさっそく一室にこもり、号竜の修理に取り掛かった。
鋼牙は、リビングと思われる広い部屋に通された。
だが、その部屋にはソファとローデスク以外、家具らしい家具は
ほとんどなかった。

「まぁ、楽にしてくれ」

それだけ言うと、零は部屋を出て行った。
ひとり残された鋼牙は、窓辺に近づき、表の様子を見た。
零の家は少し小高い場所にあるため、木々の間からポートシティの
町の明かりを見ることができた。

かつて、鋼牙が守っていた町の明かりだった。
そして今は、零が守っている明かりだ。

鋼牙は、その町の明かりに温かみを感じ、心和むような感覚を覚えた。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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