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牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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悲しみの色(4)

カオルちゃんにやっと明るさが戻ってきました!
よかった、よかった…

でもね、もう少し 「秘薬の効果」 が残っているのです。

どんなふうに?

こんなふうに… です。


拍手[43回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

軽口も飛び出すようになったカオルを見て、

(ようやく、いつものカオルに戻った…)

と、鋼牙が少し安堵したそのとき、カオルは、鋼牙の肩先に漂うものに
気付いた。
それは、昼間レオと公園で見たのと同じような光り輝く ’気’ だった。

「あぁ、きれい…」

「…?」

カオルが何を見てそう言うのか判らない鋼牙が、少し怪訝な顔をした。

『そいつは、カオルと鋼牙の間に生まれた、新しい ’気’ だな』

ザルバがカオルに教えてやった。
カオルは、その ’気’ に触ろうと手を伸ばすが、それはフワフワと漂い、
あっという間に天井近くまで浮かび上がった。

次々と美しい色に変わる ’気’ を、幸せそうな表情をして目で追うカオルを、
鋼牙もまた優しい表情で見つめた。

「あっ、またひとつ…」

心奪われるものに出会うと、周囲も省(かえり)みずに没頭するところは
少しも変わらない、と鋼牙は思っていた。

そうやって、しばらくの間、’気’ を興味深そうに眺めているうちに、
カオルは眠気を覚えた。
今日は、レオとふたり、霊獣を見るためによく歩いたのだった。
その疲労と、鋼牙のそばにいる安心感とで、普段寝る時間よりもずいぶん
早い時間だったにも関わらず、カオルは目を開けていられなくなってきた。
そんな様子を見て、鋼牙は、

「ベッドに入って寝ろ」

と勧めた。

「うん…」

そう言いながら、カオルは鋼牙を見た。

鋼牙のそばにも、美しい ’気’ が見えた。
鋼牙の影に見え隠れする、その ’気’ は、とても小さかったが、
他の ’気’ とは異なり、本当に美しくきらめき、深いブルーの色が
潤んで見えた。

(なんだかとても寂しい、悲しい色…

 鋼牙? 何か悲しいことでもあるの?)

そう思いながら、カオルの意識はすでに眠りの世界に足を踏み入れていた。



ベッドにもたれるように眠ってしまったカオルを、鋼牙はそっと抱き抱え、
ベッドに寝かせてやった。
その寝顔は、とても穏やかだった。
鋼牙はひざまずき、カオルの髪を優しく撫でた。


『このまま、朝までそばにいてやるか?』

ザルバは鋼牙に尋ねた。

「…」

鋼牙は答えなかった。

やがて、カオルの唇に優しくキスをして、ほんの少しだけカオルを
見つめると、鋼牙は立ち上がり、部屋を出ようとドアを開けた。
ドアを閉めるとき、もう一度カオルの寝顔を見たが、すぐに目を閉じ、
その目を開けることなくドアを閉めた。

そうでもしないと、この部屋から出られなくなるような気がしたから…

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

屋敷までの帰り道、鋼牙は重い身体を引きずるように歩いていた。
1日がかりで仕留めたズフォーマーとの闘いのせいばかりではない。
鋼牙の身体は、’破滅の刻印’ のせいで、ずいぶん弱っていたのだ。

(俺の命は、あとどのくらい残っているのか…)

このまま、みすみす命を失うつもりはない。
だが、打開策があるわけでもない。

カオルのためを思えば、あらかじめ話しておいたほうがいいのは
判っている。
だが、鋼牙は話したときに悲しむカオルの姿を見たくないのだ。

(話せないでいるのは、俺の弱さ…)

それを十分に判っていながら、鋼牙にはどうすることもできなかった。

十字架を背負って丘をのぼるキリストのように、鋼牙は、ただ、
’破滅の刻印’ がもたらす痛みに耐えながら歩き続けるしかなかった。


そんな鋼牙の左手中指で、ザルバは鋼牙が何を思い、何を考えあぐねて
いるのか、おおよその察しは付いていた。
だが、

『カオルに話したほうがいいんじゃないのか?』

と言いたくなるのをぐっと我慢していた。
こういうことは、魔導輪がとやかく言っていいことではないことを、十分に
知っていたから。

ザルバが今できることは、鋼牙の周りできらきらと悲しげに舞う ’気’ を
じっと見つめることだけだった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


第10話「秘密」を見たとき、selfish は、2つのことを思いました。

まず1つ目は、

「秘薬の効果が1日あるなら、この後、鋼牙と会ったりしたら、
 カオルちゃんの恋する気持ちが爆発しちゃうじゃ~ん」

もう1つは、ホラー退治から屋敷に帰ったとき、ゴンザさんの前では
平気そうに装って、書斎に入ったなり、苦しげに身体を引きずる鋼牙に、

「あ~、家族同然のゴンザさんの前でも虚勢を張っちゃうんだ…」

ってこと。

で、この2つのことでいつか妄想しよう! とずっと思っていたのです。


でも、第17話での 「’破滅の刻印’ がある」 という告白のせいで、
鋼牙の胸にそういう刻印があることを、このときまでカオルは知らないって
ことにしなければならなくなり、「恋する気持ちが爆発する妄想」は
露と消えました… (がっくり)

でも、カオルちゃんには、少しでもハッピーな気分を味わってもらいたくて
「悲しみの色(3)」を書いたのです。

まぁ、カオルちゃんをハッピーにした反動で、この後の鋼牙さの暗さが
際立ったかもしれませんが…


痛いのに 「痛い」 と言えない(言わない)男のプライド。
カオルのそばにいたいのに、自分に罰でも科すかのように、ズタボロな
身体で帰ろうとする男の不器用さ。

悲しみの色とは、そんな鋼牙から生まれた ’気’ の色でした!
コメント
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無題
こんばんは、悲しみの色、無事愛読をわりました、ありがとうございます、秘密の回のお話をもとに書かれたとのこと、魔界バーでも秘密の回のレオとカオルのこどが話題になっていましたが、この秘密の回はいろんな意味でみんなにそれぞれ思い入れがあるみたいで最高です、
かなまま 2012/11/10(Sat)22:01:12 編集
Re:無題
かなまま様、いつもコメントありがとうございます!
牙狼とメルヘンが融合した回が「秘密」ですね。
メルヘンと言っても西洋的なものではなく、狐のお面の子や、笠の五人衆、白い行列など、和テイストなものが出てきて、A監督の持つ独特な世界観が selfish には面白かったです。

実は、「秘密」がらみで、まだ1つ2つ隠し持っている妄想のパーツがあるんですけど…
(できあがった妄想じゃなくて、ほんとにカケラみたいなもんですけど)
いつか日の目を見るといいな~ とぼんやり考えてます!
【2012/11/10 22:47】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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